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幼馴染に告白したいのに、金髪美少女(子持ち)が全力で迫ってくる  作者: 向原 行人
第4章 やらかした! 金髪少女の痛いミス

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第35話 寂しい

「待って。リナさんの言い分は分かったよ。だけど、だからと言って僕は夜這いなんてしないからね」


 すぐにでも部屋から飛び出そうとしていたリナさんを僕が制すると、たちまち泣きそうな顔を向けてきた。


「優ちゃんはミウを助けてくれへんの!?」

「そうじゃないよ。僕だって本来のあるべきミウちゃんで居て欲しい。だけど、その解決方法が明日香を夜這いする事とは思えないんだ」

「どうして? 優ちゃんと明日香さんの子供が生まれれば、絶対にウチと結婚する! 確かに、最初からウチと恋愛関係になっていた訳じゃないけど、一緒に冒険を重ねて行くうちに、互いに意識し合って、そして……」

「そういう話じゃないよ。その、夜這いに成功したとして、一度の行為で必ず子供が出来る訳じゃないし、これが原因で明日香が僕から離れてしまったら、それこそお手上げになるよ?」


 僕の言葉でリナさんがハッとした表情を浮かべ、動きが止まる。

 ミウちゃんの事で頭がいっぱいだったのだろう。ヘナヘナとその場に崩れ落ち、助けを求めるように僕の顔を見つめてくる。


「リナさん。ミウちゃんの今の状態ですが、魔法で何とかならないんですか?」

「アカンねん。魔法で時間を遡って、過去を変えたりする事は禁忌とされているし、そもそも普通は時間の移動なんて出来へんし」

「……あれ? でも、リナさんは過去に来ているんですよね?」

「そ、それは……その、何というか、いろいろあって」


 リナさんが何やら気まずそうに僕から目を逸らす。

 だけど、この状況で隠し事をされても困るので、僕は床の上で女の子座りをしているリナさんに近づき、


「リナさん。誤魔化しちゃダメです。ちゃんと、説明してください。良いですね?」

「うぅ……優ちゃんの目が笑ってへん」


 無理矢理目を合わせて、説明を要求する。


「えっと、そもそもウチがこの世界へ来る事になった発端の話やねんけど、夫がいきなり『味噌汁が飲みたい!』って叫んだかと思うと、市販の異世界転移陣を買ってきて、一週間くらい帰省してくるって言い出してん」

「え、味噌汁!?」

「うん、味噌汁。ウチらの世界に味噌っていう調味料が無いからかな? 故郷の味が懐かしくなったみたいやねん」

「まぁ暫く飲んでなかったら、久々に味噌汁を飲みたくなる気持ちは分からなくもないけど。あ、ところで異世界転移陣って何ですか?」

「異世界転移陣は、その名の通り、床に敷いて起動させるだけで、異世界へ転移出来る魔法陣――マジックアイテムやで。それを使って、先ず夫が元居た世界へ帰ってん」


 マジで!? そんな簡単に異世界転移が出来る世界なの!? しかも、それが市販されているって……やっぱり、魔法って反則級に凄過ぎじゃない!?


「あの、言いづらいんだけど、リナさんって夫婦仲が悪かったの? 夫が突然、妻子を残して実家へ帰っちゃったんでしょ?」

「違うもん。ウチらは、めっちゃラブラブやもん。それに異世界転移陣を買ってから、使って良いかどうか、ちゃんと確認してくれたもん」

「でも、それならリナさんとミウちゃんも一緒に転移したら良かったのでは?」

「ううん。市販されている異世界転移陣は、体内の魔法の力が安定する十五歳からしか使われへんねん。だから、ミウを置いてウチだけついて行く訳にもいかず、夫だけが帰ってん」

「だけど、今リナさんとミウちゃんは異世界に来てますよね?」


 リナさんと会ったその日、ミウちゃんは未だ二歳になっていないと自ら言っていた。

 それに背丈や言動だって、絶対に十五歳だなんて事は有り得ないし、これはどういう事なのか。

 ……というか、これまでのリナさんの言動や今の話から推測すると、常に夫婦で行動を共にしていたって事だよね。しかもリナさんはお姫様だから、お付きの人たちだって居るだろう。

 川村優太は話し方が僕と同じだと言っていたし、立場の事もあって普段からリナさんと敬語で話していたのではないだろうか。

 だから、きっかけは味噌汁だけど、一人の時間が欲しかったとか……いや、でも愛する家族と離れたいなんて思わないか。こういった事は、まだ僕には分からないや。


「それなんやけど、夫が帰省して三日くらい経った後かな。夫が居らへん寂しさに堪えられへんくなっちゃってん。で、異世界転移陣を自分で作って、魔力が安定していない幼児でも使えるようにして、ミウと一緒にこっちの世界へ来てん」

「えーっと、その異世界転移陣って簡単に作れる物なんですか?」

「召喚魔法と錬金魔法の理論をちゃんと理解していれば出来るかな。ただウチ以外で出来そうなのは、国内に一人か二人くらいやろうけど」

「そ、そうですか。要は寂しさをバネに、凄く難しい事をやってのけたんですね」

「せやねん。けど、その時ちょっと欲が出てしまったというか、ちょっと小さなミスをしちゃってん」

「何があったんですか?」

「その、どうせなら夫が異世界へ旅立った三日前に転移しようと思って、三日だけ……たったの三日だけ、異世界転移と共に過去へ戻ろうとしてん。そこで、ちょっと魔法陣の記述を間違えて、三十年前に戻っちゃって。それで、今ここに居るねん……あははは」


 僕の目の前で乾いた笑みを浮かべるリナさんは、国内で数人しか出来ない異世界転移の魔法陣作りを行い、その上普通は出来ないと言う時間の移動をやってのけたので、王女という事を差し引いても凄い人なのだろう。

 だけど、国を治める王女自ら禁忌を破ってどうするんだよっ!

 しかも、三日と三十年って、単位を間違え過ぎじゃない!? 凄いのかもしれないけれど、ドジっ娘が過ぎるよっ!


「えっと、一度禁忌を破った訳だし、もう一度時間を移動して、その異世界転移をやり直しとか出来ないんですか?」

「ウチもそうしたいのは山々やねんけど、異世界転移はともかく、時間移動は簡単に出来へんねん。こつこつ十年間魔法の力を貯めた水晶の力を解放して、やっと行使出来るくらいやから、もう一度使うには十年かかるかな」

「……十年間かけて貯めた力を、三日間夫に会えなかった寂しさの為に使ったんですか?」

「だって、しゃーないやん。寂しかってんもん! だから優ちゃん、ウチを慰めてやーっ!」


 今起きている事象の原因がリナさんのドジだったと分かり、思わず僕がジト目になってしまった。

 だからだろうか。責められていると感じてしまったのか、リナさんが僕目がけて抱きついてきた。

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