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幼馴染に告白したいのに、金髪美少女(子持ち)が全力で迫ってくる  作者: 向原 行人
第4章 やらかした! 金髪少女の痛いミス

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第31話 パニック

「リナさん? どうしたんですか? ……まだ夜ですけど」


 リナさんに身体を揺すられ、眠い目を擦りながらスマホを観てみると、まだ四時を過ぎた所だ。

 窓の外も薄暗いし、正直まだまだ寝足りない。だけど、僕の視界に涙を浮かべたリナさんの顔が映り、ようやく何かあったのかと、話を聞く姿勢になる。


「優ちゃん! ミウが大変な事になってるねん! だから、助けてっ!」

「リナさん。一先ず落ち着いてください。大変な事って、一体何がどうなっているのですか?」

「とにかく大変やねんて! だから、早く明日香さんと結婚してっ!」


 ミウちゃんにただならぬ事が起こっているのだろう。大変そうな事は伝わってくるし、必死なのも分かる。

 余程焦っているのだろう。昨日のリナさんは、一応キャミソールみたいなのを着て僕のベッドへ潜り込んできたけれど、今日は元のシースルーな服に戻ってしまっている。

 しかし、それにしてもだ。具体的な情報が何一つ無いし、ミウちゃんが大変だという事と、僕と明日香さんが結婚する事が繋がる理由も分からない。一先ず落ち着いてくれないと、何がどうなっているのかサッパリだ。


「分かりました。リナさん、一先ずミウちゃんの様子を見せてください。リナさんとミウちゃんの部屋へ行きましょう」

「待って! まだ優ちゃんには見せられへんねん。それよりも明日香さんと結婚……ううん。せめて、子作りだけでもしてきてっ!」


 要約すると、ミウちゃんが大変な事になっていて、僕に助けて欲しいけれど、見せる事は出来ない。

 それから、僕が明日香と結婚まではしなくても良いから、子供は作って欲しい。


 どうしよう。リナさんが何を言っているのか、理解出来ない。

 だけど、前者はまだ言いたい事が分かる気がする。

 例えばだけど、ミウちゃんがインフルエンザに掛かってしまったから助けて欲しい。しかし、僕に移ってしまう可能性があるから会わせる事が出来ない……とか。

 だがこの理屈だと、後者の僕と明日香の子作りに全く繋がらないので、やっぱり、ちゃんと説明してもらわなければ。


「リナさん。お願いだから落ち着いてください。でないと、僕もどうして良いか分からないです」

「こんなん落ち着いてなんて居られへんって! 明日香さんの家はどこ!? 優ちゃん、今から夜這いに行こ。ウチが一切物音を立てずに、明日香さんの寝室へ侵入させるからっ!」

「……ちょっと何言ってるか分かんない」

「えっと、つまりウチからしたら、この世界のセキュリティなんて紙も同然で、簡単に破れるって事やねんけど……あ! もしかして、子作りの方法が良く分からないって事なん? じゃあ、優ちゃん。今からウチが、文字通り体を張って教えてあげる」


 そう言ってリナさんがパンツに手を掛けたので、その動きを封じる様に、身体をギュッと抱きしめる。


「リナさん。ミウちゃんに何か良く無い事が起こったんですよね? それで、居ても立っても居られないのは分かります。だけど、だからこそ、ちゃんと説明してください。僕がミウちゃんを助けられるというのであれば、全力で応じますから」


 どれくらいの間、身体を抱きしめていたかは分からないけれど、最初はモゾモゾと僕の腕から逃れようとしていたリナさんが、暫くすると動かなくなり、


「優ちゃん。いえ、優斗さん。ミウを、ミウを助けてください」


 ようやく落ち着いた様子で口を開いた。


「何が起こったのか、説明してくれますか?」


 僕が少し腕の力を緩め、互いの顔が見えるようにしてリナさんの目を見つめると、小さく頷いて言葉を紡ぐ。


「うん。結論から言うと、ミウが……ミウが死にかけてる」

「えぇっ!? ど、どうして!? 怪我でもしたんですか!? それとも病気!?」

「厳密に言うと死にかけてるというより、消失しかかってる……が正しいかな」

「消失しかかっている!? って、どういう事なんですか!?」


 僕の腕の中でリナさんが小さく震えている。

 散々落ち着けと言っていたにも関わらず、死という言葉と、気丈に振る舞うリナさんを前に、僕が冷静さを欠きかけた。詳しい事は分かっていないけれど、娘が死にかけているのであれば、パニックに陥るのも仕方がない。

 だけど冗談を言う雰囲気ではない中で、リナさんが死ではなく、あえて消失という表現を使ったけど、これは一体何を意図しているのか。


「優ちゃん。これからウチが話す事、信じてくれる?」

「……うん。僕はリナさんの言葉を信じるよ」


 まだ内容を聞かされていないけれど、リナさんの事を信じる以外に選択肢は無く、僕が大きく頷くと、


「あんな、優ちゃん。ウチは、この世界の住人じゃないねん。異世界から来てん」


 真剣な表情で、ぶっ飛んだ事を言われてしまった。

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