表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

生い立ち

今生は家系図を遡れば室町時代まで遡れる謂わいる名家というやつに生まれた。

容姿も生まれもおおよそ願った通りになった。


だがこれはいただけない、どうやら俺の生い立ちは不義の子だ。

男じゃなければそのまま俺は市井の人として育ったかもしれない。

けれど、男はこの世界で利用価値が認められ色々揉めたものの引き取られたのだ。

このままいけば種馬扱いだろう。

良くて政略結婚の道具かな?

元の世界では種馬って扱いはあまり聞かないがこの世界では違う。



女が圧倒的に余っている。




最近の世界総人口集計結果は50億に対して男性10億弱であり、この20年前の集計結果が総人口30億人に対して男性8億人と男女比の傾きが徐々に女性に傾いていっているのだ。

理由は調査中だが二次大戦中の生物兵器研究の一部が拡散したのが原因とするのが一般的だ。

世界健康機関は男性へのストレス軽減や各種補助を厚くする代わりに精子の提供を各国に求めた。

人工授精などの一部技術は前の世界より進んでいるみたいだ。

提供者は匿名にするなどしっかりと人権に配慮している。

しかし、進んで提供する人間が少ないのが現実である。

一部の国が精子提供を義務化し男性が外国に移民するのが一大ニュースになるような世界だ。



日本の場合では精通したら役所に報告する義務が有り精子を採取検査され血液やその手の病気が無いか検査される。

そのため男性と実際に出会え触れ合える病院関係者は就職先としても人気で女性が殆どをしめる。

しかし、邪な視線に晒されこれが元で男性が精子提供に嫌悪感を感じ提供するのを拒否するのが社会問題になっている。

そのため近年では自主的な精子提供者には金銭的補助がなされておりまた、年一回の精子提供が義務付けられている。

また拒否権も存在するものの税金として拒否した家からは結構な額の罰金に近い徴収がなされる。

この法律もやむを得ず施行されたが発表当初から男性の受けは悪い。




鏡を見ながら意識を飛ばしすぎたみたいだ。

この長い髪もどうやらこの家の掟みたいなものらしい。


世話係が来る前に普段は着替えていたみたいだ

俺は前世の感覚と同じように着替えようと服を脱いだ。


しかし、ぼーっとしていたためいつもより時間がかかっていたのだろう。

世話係が着替えの途中で入ってきた。

半分着かけの服をテキパキ着せて急いで着替えを着せられてしまった。



「坊ちゃまいけません!

いいですか女性の前では――」



いわく、女性の前で着替えると性的に危険である。

とか名家の自覚を持てとか、時間は決まっているのだから時間は守れ等こってりと絞られた。

だが普段から俺は絞られていたらしい食事のマナーから始まり様々なことでこの世話係から怒られてはいるものの何故か拒否感はわかない。

屋敷で構ってくれるのはほぼこの人だけだし母親だと思っている。

後半は話半分で聞いたためあまり内容を覚えていない。

バレたら不味い……あくびを噛み殺し神妙な顔を作り頷く。

あ、涙出た……。



この女性が俺のお付きの世話係の小出麻里だ。

家庭教師と世話係を兼任するため一日の中で一番長く接するのはこの人だろう。

四角い黒縁のメガネをかけ如何にも真面目って感じで前髪は分けられてありそれがヘアピンで止めている。

できる女という雰囲気を持ち前世なら叱られたいと思わせるような女性だ。

実際叱られても何故か嬉しい……俺はMなのだろうか?

自身の性癖に特殊な性癖はないと思いたい、この人が母親のように思っているからだろう。

離れに住み表にも出せない俺を世話するにはもったいない気がする。


「麻里さん、今日の予定はなんですか?」

「今日はこのまま勉強となります」


今までの習慣で予定を聞いたが勉強だというのはわかっていた。

表に出したくないのだろう俺は小学校には通っていない。


男なので自宅で初等及び中等教育を受ける権利がある。

これを受けた場合義務に加えて初等なら検査から一年以内に一回、中等までならさらに三年以内にもう一回精子を提供する義務がある。

高校からは定時もあるし表に出たくない男は提供だけして引きこもっているやつもいるらしい。



真面目に勉強するふりをしながら前世の記憶で小学校の勉強を軽くこなしていく。

どうしたら種馬という未来を回避できるか頭を悩ませる。


どうやらこの世界の高齢出産とされる年齢は引き上がっているのだ。

前世の記憶なら35歳の初出産でも高齢出産で50歳前後で出産できなくなるはずだ。

しかし、この世界ではお婆さんと呼べる年齢でも平気で妊娠するのだ。

それは医療技術が妊娠や出産に力を注いでいて人口増加には心血が注がれている。

技術も去ることながら人体も適応もしてきいるのだろう。




だからこのまま行くと不味いのだ。

片側とは言え旧家の血脈を入れたい家や裏切りを行わないよう血縁を結ぶために種馬にされる。

血筋でだけでなくこの容姿だからハニートラップや政略結婚にも使えるだろう。

なにかと理由をつけて機械的に精子を絞られるか金持ちの婆さんと枕を共にしなければならない未来が見える。

もしくは愛の無い結婚をして仮面夫婦だろうか?


「ほほ、爺さんが死んでからしばらくぶりじゃが若いのはいいの……」


想像して吐き気がした。

このままいくと拒否権がないのだ。

当主が義母である限り忌々しいが俺の人生は日陰であり、雁字搦めの生活になるだろう……。


男の娘出したい……病気でしょうか?


お気に入り追加ありがとうございます。


感想や評価、こんなキャラクター出して欲しいや誤字脱字等頂けましたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ