表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とある休日の破滅使者  作者: てんてん
ラティナの秘宝
7/25

7-グリフィス事件

長らくお待たせしました。てんてん

「ラティナは治安が悪いから気を付けろ。」

ん、なんだ今の、・・・空耳か。ユーヤは気にしなかった。するとまた、

「特に、夜の徘徊者には特に気をつけな・・・

金がごっそり持っていかれるぜ」

!?・・・。また、空耳?まあ、よくあることだな、空耳なんて。


―ラティナに来た、チーム<TkD>一行。

ラティナって、RPGとかによくある洞窟の名前かな、と思っていたユーヤだったが、全然違かった。ラティナとは遊星の四大陸の一つ、シャルガフ大陸の東北部。その地方の名前をラティナと言う。ラティナの東部に位置する、ラティナ唯一の繁華街「グリフィス」の宿を、チーム<TkD>の5名は、男部屋と女部屋の2部屋を、一晩3000T(タケー)で借りた。その日の夜のことであった。

――ここは男部屋。

「そういえば、今日は日曜日だったなぁ」

と、タケイがあぐらをかいてテレビを見ながら、かつポテチを食べながら言う。

「課題やってません。助けてください。」

ユーヤが「数学の友」と筆箱を持ちながらタケイに助けを求めた。

するとギガ、本名上田カイトが、

「どれどれ?俺に見せてみろ。実は俺な、数学検定4級もってるんだよ」

「まじですか!?カイトさんが!?」

中学生2年生レベルの検定を持ってるということに驚いたユーヤに対し、カイトは一発殴った。

「このやろ、見せてみろ、解いてやるよ!」

カイトが、ユーヤが殴られた頭をさすっているうちにユーヤの課題を取り上げた。

そして課題のページをめくると・・・

「三平方の定理、発展問題3・・・

BC=CA=4、∠C=90°である△ABCにおいて、辺BC上の点PはBP=1を満たす。また、点Qは辺CAの中点である。辺AB上を点Rが動くとき、PR+RQの最小値を求めよ・・・・・・・・・・」

顔が青ざめていくカイト。そしてとうとうユーヤの課題「数学の友」をぶん投げた。

「このやろう、やってられっか!」

「ほら、言わんこっちゃない。まぁ、僕は三平方の基本くらいしかできませんけどね」

「こ、この問題やんなきゃなんないのか、今日中に」

カイトがユーヤに言及すると、

「はい。だから助けてほしいんです。わかんないから」

と、いうと、タケイがその数学の友を手に取り、鉛筆を右手に持ってスラスラと解き始めた。

ユーヤは思わずその腕の動きに見入ってしまった。そして、5分もしないうちに・・

「解けたぞ。答えは√17。少し簡単だったような気もするが、もう少しひねった問題を出してほしいな」

「え、え~~!?」

ユーヤが思わず声に出す。あのタケイが、こんなに頭が良かったなんて・・・。

と、彼らの夜はこれで終わった、と、思いきや、彼らの部屋に管理人らしき人が入ってきた、と思うのも束の間、

「なに、お客ら、お金払ってないの」

いきなり言われた言葉に、彼らは何とも答えられなかった。

「お金、払ってないんらったらでてってもらうしかねえけんど」

すると、タケイが答える。

「は?なんだよお前、きっちり3000T(タケー)、払ったけど。なんなら、10000T(タケー)くらい払ってやるか、え??」

喧嘩ごしのタケイ。そういえばタケイは知らない人とよくケンカする。この前もそうだったし。

「ここの宿泊料は、100万 T(タケー)ですが、なにか」

「は!?」

いきなり提示された額に、タケイは動揺を隠せなかった。

「お前、偽物だろ」

ギガ、本名上田カイトが言葉を発する。

「俺の、レベル180以上のプレイヤーにのみ支給されるHTCWB(ハイテクノロジーウィークエンドバングル)は、お前を「プレイヤー」だと示している。これは、お前がここグリフィス都市のNPC(ノットプレイヤーキャラクタ)じゃないことをはっきりと、示している。」

何を言っているかわからなかったユーヤはこっそりと後ずさった。

「なるほどな、つまりお前は、俺らから金を巻き上げようとしているのか」

カイトがその謎の男に問い詰める。

「ふっ。さすがは最大ダメージ記録第2位・・・。

まぁ、そのくらいは見破れないといけないな」

その言葉の直後に、謎の男から閃光がほとばしり、カイトの胴体に直撃――。<78463>という文字が浮かび上がった。

「くそ、こんな時に戦闘態勢かよっ」

カイトのHPが4分の1減っていった。

「お前ら、伏せてろ!」

・・・・と、ここで、時間がとまった。

ユーヤがなにかを思い出した。さっきの、ほら、

――「ラティナは治安が悪いから気をつけろ」

いや、それじゃない、もう片方の・・・

――「特に、夜の徘徊者には気をつけな。

金がごっそり持っていかれるぜ。」

!!!

ユーヤが思い出した。時には、もう遅かった――

「カイト!!大丈夫か!!」

タケイがカイトに駆け寄る。見ると、カイトのHPは0になっており、謎の男の姿はもうなくなっていた。

「・・・何が、起きた・・・」

カイトが、遠くを見つめるような目をしていた。かなりの衝撃だったんだろう。

ここ遊星では、ダメージはプレイヤーに衝撃となって伝わる。ダメージが高ければ高いほど、衝撃が強い、つまり、すごく痛い。いや、190レベル台の戦いならば、痛いどころでは済まないだろう。

「何が起きたんですか、タケイさん」

「わからねぇ、ただ、一瞬でカイトが500万くらいのダメージを受けていたような気が・・・」

すると、ユーヤがあの言葉をまた思い出した。

――「金がごっそり持っていかれるぜ。」

な、なんだこれは・・・強い既視感に襲われたユーヤは、その場に座り込んでしまった。

――「金がごっそり・・・」

――「金が・・・」

――「金・・・」

・・・やめろ、やめろ、とユーヤは心の中で念じる。

WB(ウィークエンドバングル)を見ると、所持金が0T(タケー)になっているのに、タケイが気づいた。

「おい、どういうことだよ!?500万T(タケー)くらいあったはずが・・・!?」

・・・そう、ユーヤの既視感は本物だった。いったいどこで、こうなることを聞いたんだっけ・・・

まったく思い出せなかった。いや、これがもしかしたら、ユーヤに備わった「能力」なのかもしれない・・・

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ