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永遠の桜  作者: ふがし
第1章 生誕編
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第7話 道行き

圧倒的。圧倒的説明回。

 草原を行く。風が髪を弄んでいる。新鮮な感触が心地よい。こちらに気付いたソウゲンアオトカケが、クエ! と一声、驚きを示して、慌てて逃げていく。


「乗り心地はどうですか?」


 体の下──僕と桜お姉ちゃんが乗っている鎧の中から、リリアさんのくぐもった声が届く。


「悪くないです」

「振り落とされないようにして下さいね」

「うむ」


 鎧に縄をくくりつけて、桜お姉ちゃんが縄を掴んでいる。僕は彼女の腕の中にすっぽり収まるような形で、鎧の背中に乗っていた。鎧の背中は日光に晒されて熱くなるかと思ったが、案外ひんやりしたままだ。ただの鋼鉄ではないのか、それともこの世界の鋼鉄の熱伝導率が地球と異なるのか。


 鎧は滑るように進む。いや。実際、草原を滑っている。ホバー、あるいは空気浮揚、というやつだ。実際は空気ではなく高密度のマナの流れに乗っているので、厳密にはホバーとは言えないらしいが。揺れはほとんどない。鎧は前傾して足を折りたたむような姿勢で、人間で言う脛のあたりの装甲が開き、軽く浮かんでいた。速度は、自転車をちょっと頑張ってこいだ程度だろうか。体感だけれど。


「この世界の技術水準はよく分からんのう」

「私もチキュウにいたわけではないので、伝聞になりますが」


 前おきして、リリアさんが語る。


「この世界はチキュウの先進国の近世程度、らしいです」

「ふむ。近世、か」


 日本で言えば江戸時代くらい。漠然と中世程度と予測していたけれど、思ったより進んでいるようだ。


「ただ、軍事的な水準は高く、文化的な水準は低いと思って下さい。この世界では有史以来、戦争が跡を絶ちませんでしたから」


 なんとも物騒な話だ。


「この世界の支配的な種族は5種。人間、妖精、獣人、魔人、爬虫人。この5種族は自然交配は不可能ですが、術による身体操作を行うことで相互に子供を作ることができます。5種族は無数の国家を作り、友好と敵対を繰り返してきました。

 この他に、個体数はごく少数ですが強大な力を持つ竜族、圧倒的な魔力を誇る純血の魔族、純血の魔族の配下である混血の魔族、昆虫から進化した虫人、そして神々がいます」

「神?」

「はい。この世界の神は由来も力の大小も様々です。海の深淵という概念が固まって神格化した海神ドラウ・カイ。年経た虫が化生して妖魔となり、信仰を集めて神となった剣神イー・サン・アン・ナー。桜さんもこれに近い形の神ですよね」

「うむ」


 多神教とアニミズムの集合みたいなものだろうか。


「神は様々な形で我々とかかわります。時に我々を祝福し、時に我々を嫉み、呪う。私は剣神の祝福を受けています。彼は、比較的付き合いやすいですね。たまに手合わせを要求してくるのは勘弁して欲しいですが」

「祝福を受けているかどうかは、どう確認するのですか? 前リリアさんを『調査』したときは能力と技能しか見えませんでしたよ」

 

 リリアさんは、ん? と疑問符を発して少し考えたが、やがて得心したように、ああ、と言った。


「『調査』は使い手が見ようとしたものだけを見せてくれます。貴方は能力と技能しか知らなかったので、それだけを見ようとしたのでしょう。『調査』ではこの他に、『特性』や『祝福』を見ることができます。例えば私が桜さんを『調査』すると、」



祝福

なし


特性

ロリババア

神性

樹木

叡智

マナの収束

 

「……ロリババアは特性なのか……?」


 桜お姉ちゃんが首を傾げる。リリアさんも戸惑ったような声を出した。


「私も初めて見ました。ひょっとして……」


 言って、自分で自分を『調査』した。


リリア


祝福

剣神    剣の領域


特性

ロリババア

竜殺し

英雄

金剛力   装備補正あり

完全防御  装備補正あり

叡智


「あ、やっぱり。私にもついてますね、特性ロリババア」


 複雑な表情を見せた。


「特性というのは?」

「その者が持っている性質を表したものです。技能と異なり、ランクやレベルはありません。変化することはありますが。特定の条件を満たすことで得られます。『竜殺し』は文字通り竜を殺すことで、『叡智』などは能力が一定値に達したときに得られます」

「……ロリババアは?」

「さ、さあ……? 以前見たときはついていなかったので、貴方と出会ったことが契機だと……思うのですが」


 自信なさ気に、言った。

 次は、僕を『調査』する。


無名


祝福

???   意志の増大


特性

異形の魂  固有

不屈    祝福補正あり

魔性  



 ……ん? なんだこれ。無名なのは、まだ桜お姉ちゃんから名前を貰っていないから分かるが、他は……。


「失われた神からの祝福を受けていますね」

「失われた神?」

「ええ。神は時に世代交代をするのですが、追い出された先代の神は、名前と力を奪われます。そういった神々は神性を失い、ただの生物に戻るか消滅しますが、稀に名前を失ったまま神としてとどまるものもいます。それが、失われた神です。 

 理由は不明ですが、失われた神の一柱に気に入られたようですね」


 なるほど。名前を失っているから???としか表示されないのか。

 特性『不屈』は祝福によって意志が130に達したために発現したようだ。


 不屈

 あなたの意志は超人的です。あなたは失敗にめげずに物事に立ち向かえるでしょう。

 意志依存の技能が失敗する度に、次回の成功率が倍増します。気絶又は睡眠後、成功率は基礎値に戻ります。


 意志依存の技能か。『創造主の指先』も成功率は意志に依存している。失敗する度、成功率が2倍になるなら、根気よく続ければいずれ必ず成功させられるということか。まあ、基礎成功率が0%だとどうしようもないが。

 桜お姉ちゃんを創造したとき、この特性が発揮されたのを覚えている。失われた神による祝福がなければ、成功させられなかったかもしれない。少し不気味だが、とりあえずは失われた神に感謝しておこう。

 などと考えていると、耳元でぼそりと声がした。


「気に食わんな。よその神が勝手に祝福など」


 底冷えがするような声に、思わず背中に震えが走る。慌てて、話題を変えた。


「固有、というのは?」

「固有特性のことです。特性は特定の条件を満たすことで得る、と先ほど言いましたが、例外もあります。魂に刻まれるほど深く根ざした特性が、固有特性として発揮される、そうです。私も初めて見ました」


 へえ。因みに特性の効果を見てみると、



 異形の魂

 あなたの魂は異形であり、あなたの感性は異端です。あなたは多くの無理解と、ごく少数の熱狂的信奉を得るでしょう。

 特性『ロリババア』を持つ対象の好感度上昇に+10%の補正がかかります。

 特性『ロリババア』を持たない対象の好感度上昇に-10%の補正がかかります。



「……魂に根ざすレベルでロリババア好きなのかお前は……」

「照れます」

「褒めてないからな」


 後頭部にこつん、と桜お姉ちゃんの顎が当たるのを感じた。


「まあしかし、これではっきりしたの。特性『ロリババア』はお前がロリババアと認めた相手に付与されるんじゃろ」


 なるほど。

 

 程なくして、街道に入る。ぱらぱらと、人の姿が見えてきた。徒歩の旅人、豪勢な馬車、トカゲに似た生物に跨った騎手。ごく少数だが、リリアさんの鎧を小型化したような鎧や、蒸気自動車のような乗り物、更にそれらを容易く抜いて走り去る獣耳の人の姿も見かけた。随分、雑多な印象を受ける。


 話は生活面の話題に移っていた。


「貨幣制度はどうなっているんですか?」

「銅貨、銀貨は殆どの国で共通して使えます。ただ、金貨だけは、それを造幣している国でしか使えず、デザインも独特です」


 結構面倒だな。


「私たちが今向かっているのは、人間中心の国家であるシシファの街の一つ、アイルです。物価は、安魚一尾で銅貨5枚程度。現在のレートは銅貨5000枚=銀貨50枚=シシファ純金貨1枚です」


 銅貨1枚で10~20円くらいだろうか。『持ち物袋』には銀貨50枚、銅貨100枚が入っていた。ちょっとした買い物はできるが、何もしなければすぐに食うに困るだろう、といったところ。


「筋力や耐久に補正がつく装備が欲しいが、やはり高いかの?」


 僕たちが人間の街に行くことを決めた理由の一つがそれだった。リリアさんの鎧のような補正効果があれば、桜お姉ちゃんなしでも僕の虚弱体質を補える。まあ、他者頼みな点は変わらないので、素の能力値を鍛える努力も必要だろうけれど。


「そういった装備は大概、魔力を宿した業物や一品ものですから、高いですね。比較的安い筋力+10の剣で、金貨約100枚です」


 高っ。銅貨1枚20円とすると、約一千万円か。流石に手が出ないな。


「大丈夫ですよ」


 くす、と笑い声をもらして、リリアさんが言った。


「お金ならありますから」


 ……うわあ。ヒモ一直線だー。

 流石に情けないので、辞退しておいた。


 やがて、街が見えてきた。街の周辺は広大な湖が囲っており、街道は途中で長い橋に変わっていた。旅人や行商人が、街の中に吸い込まれていくのが見える。湖面を蹴って、魚が飛び跳ねる。日の光が反射して水がきらきら輝いていた。


 日は、まだ高い。街活気がこちらまで届いてきそうだ。


 湖の街、アイル。それが、僕たちが最初に訪れた街だった。


 普段は温厚だけど可愛がってる少年が危機に陥ると本性を剥き出しにして敵を無慈悲に蹴散らす人外ロリババアは素敵だと思います。神○のおきにいりの珠○様は、普段はロリ可愛いかったり神様としての度量の深さを示したりするけれど、主人公が死に掛けると容赦なく敵を殺しに行く冷酷さがよいですね。挿絵の敵を見下した目とかドS丸出しで大好きでした。

 ネ○まのエ○ァ様は個人的にはもう少し冷酷でもよかったかな。いや十分エロ可愛いですが。プライド高いけれど一途。とてもよいロリババアでした。

 狼と○辛料のホ○はロリババアに含めるか賛否両論ですが、私はロリババアとみなしています。知識多い恋愛巧者とか素晴らしい。わっちわっち。尻尾と耳をもふもふしたい。

 El○naの元素のイツ○ロトルは差し替えグラと差し替えTEXTでロリババア化できて素敵。能力的に微妙なんで信仰はしませんが。El○naで呪い乳呪い加速の杖でペットの身長体重年齢をロリババア化させるのはロリババア好きなら当然のたしなみですね。

 ロリババア創作wikiを見ていると私もまだまだ精進が足りないと思っております。同士達のあふれんばかりのロリババア愛には頭が下がる思いです。

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