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半竜娘は異界の空に  作者: 名知 あやめ
谷間の半竜娘
6/13

4 ある朝の半竜娘

 気付いたらお気に入り百件突破、PV一万を記録しておりました。本当にありがとうございます!

 夜になって、ようやく父様が帰ってきた。もう眠い時間だったけれども、私は寝床にしているふかふかの草の山の中から顔を出し、精霊に頼んで洞窟の中に明かりをともす。暗いままだとそのまま寝てしまいそうだ。

『父様、おかえりなさいー』

 眠気で間延びする声は仕方ないと思って欲しい。普段なら日が沈んで少し経ったらもう寝てしまうのだ。普通の竜は数日寝なくても平気だが、何分私は成長期。よく寝るしそれなりに物も食べる。ちなみに私の主食は果物だ。

『ただいま。寝ていてもよかったんだぞ?』

『んー…大丈夫ー』

 もぞもぞと寝床から抜け出そうとするが、その前に父様がこっちに来てくれた。長い首を差し出して頬擦りしてくれる。

『ほら。いろいろと聞きたいことはあるだろうが、明日にしよう』

『んー…父様、明日もいてくれるの?』

『ああ。明日、大事な話があるから。だから今日はもう寝なさい』

『ん…お休み父様…』

 大事な話、というのが気になったけど、眠気に耐え切れず寝床の中に埋もれる。その周りを父様が包むようにしてくれた。いつだって、父様と母様の傍が私の一番安心できる場所。

 私はその日、夢も見ずに眠った。



  *  *  *



 寝起きの悪い私にしては珍しく、今日はすっきりと起きることが出来た。父様の姿は見えなかったけど、父様が「いる」と言った以上近くにいるはずだ。寝床から起きだして、背伸びを一つ。とりあえず朝の水浴びと朝ごはんにしようと、私は翼を出して洞窟の外へ出た。


 水浴びを終えて、いくつか果物を取って食べながら住処へと帰る。今日は私の好きな木の実が熟れていてちょっと嬉しい。色が黄色で形が枇杷びわっぽいこの果物だが、食感と味は林檎だったりする。最初は凄く違和感があったが、最近はむしろこっちが普通だと思えてきた。

『ただいまー』

 そして丁度完食。ご馳走様でした。

『おかえり』

『あ、父様帰ってたんだ。お帰りなさい』

 翼をしまって住処の中へ。さて、昨日のことを聞けるかな?

『父様父様、昨日のこと聞いてもいい?』

『ああ…そうだな。先に説明しておいたほうがいいだろう』

 先に? なんだか少し引っかかって、私は首をかしげる。

『後で、長老方の所に呼ばれているんだ。リスティアージェもな』

『…もしかして、昨日のこと?』

 若干引き気味に言った私に、父様は笑って言った。

『あれは関係ない。青の長老も不問だと言っていただろう?』

『じゃ、何だろう?』

『まあ、悪いことではないよ。さて、それで何を聞きたいのかな?』

 悪いことじゃないならいい…のかな? 今のところそれは置いておくとしよう。行けばわかるだろうし。とりあえず一番聞きたいのは…

『んと、「シュゴリュウ」って何?』

『守護竜というのはね…』


 説明が結構長かったので、私なりに纏めてみた。「マゾク」とか「マジュウ」というのの説明も混ざってたから、まあ仕方ないかな。

 今から五十年とちょっと前、私の母様セリセラは、ラスティーダという国で巫女というものをやっていたらしい。巫女というののお仕事は、国に結界というものを張って、魔獣というものの侵入を防ぐことだったんだって。父様と結婚した後も、母様は巫女の仕事を続けていたらしいんだけど、その時に父様が母様を手伝っていたら、いつの間にか国を守る竜、守護竜と呼ばれるようになったとか。

 魔獣とか魔族というのは、「狂った精霊」というものを操る…らしんだけど、狂った精霊って何だろう? その辺りは専門家に聞いたほうがいいと言われたので、とりあえずいつか専門家を見つけて聞いてみようと思う。動物っぽい形のが魔獣で、人型してるのが魔族。私のまだ習ってなかった「四つ目の魔法」を使うらしい。

 ふぅ、長かった。


『さて、行こうか』

 父様に促され、私も立ち上がる。ちょっと緊張してきた…長老様は、おじい様以外にはあまり会わないからなぁ…。

 そう遠い場所ではないので、頑張って自力で飛んでいくことにした。ゆっくり飛ばせてごめんね父様! 何があるのかはよくわからないけど、とりあえず行ってきます。

 難産回その1、の続きです。

 もしかしたら前話共々後で手直しするかもしれません。

 誤字脱字等ございましたら、ぜひともご報告よろしくお願いします。

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