プロローグ 死んだ少女と半竜娘
「私」は体が弱かった、というかはっきり言ってしまえば、生まれつき心臓に病気を抱えていて、心臓移植をしなければ成人まで生きられないと言われていた。
常々倦怠感と息苦しさに付きまとわれ、病院の白い壁と人工呼吸器がお友達で、学校へ行った記憶はほとんどない。少し体調のいいときは本ばかり読んでいた。
結局、「私」に奇跡は起こらなかった。提供者は見つからず、「私」は17歳で命を落とした。
どうか、輪廻転生というものがあるのなら、次は健康な体で生まれたい。色々なものを見て、聞いて、知って、できるならいろんな場所に行ってみたい。
そう願って……「私」の壊れかけの心臓は、永遠にその動きを止めた。
最後に、どこかから声が聞こえたような気がした。
* * *
狭い。手足をぎゅっと縮こまらせた状態で、どこか暗くて狭い場所に押し込められている。
(何これ!? 狭いって!)
じたばたと手足を動かしていると、みしっと音がした。どうやら私を閉じ込めている謎の物体のようだ。頑張れば壊せる気がする!
一生懸命中でもがく。みしみしという音が段々と大きくなってきて…割れた。
(出れた!)
暗い中から出てきたせいか、目が良く見えない。何度か目を瞬いていると、何となく目の前に大きなものがあるのが見えた。感覚も少しずつはっきりしてくる…と、突然の浮遊感。
「あなた、生まれましたわ。 見てください、かわいい女の子ですよ」
…?
「うむ、そなたによく似ておるな」
何だか、上から声がした。無駄に威厳溢れる声がしたような……
そっと上を見上げる、と……
これはあれですか。よくファンタジー小説に出てくるあの超有名な。端的に言うと、でっかいトカゲに角と羽をくっつけたような生き物。これって、あれ
(竜ーーーー!!!?)
「うにゃああぁぁ!」
叫んだはずが、口から漏れたのは全力の泣き声。
「あらあら、どうしたの?」
えっと、ちょっと待って。私、赤ん坊!?
改めまして、はじめまして。初投稿になります。
文章能力は未熟な限りですので、批評などいただけるととても嬉しいです。