アメリア戦記
久しぶりの投稿です。
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軍事大国アメリア。世界でも有数の軍事力と資本を持つ人口2位の大国である。
東の列島である日本はアメリアとの大戦で敗れ。統治支配される事になった。
小国である日本はアメリアの開発した人型機動兵器モビル・ナイトの前に成すすべなく大敗を喫した。
大戦から10年。アメリアとの不平等条約の元、日本は自治権を回復し経済大国として世界に認められる迄になっていた。
アメリアの主導する中央政府の元。政治的にも安定した平和を享受していた。
東郷翔平。40歳を過ぎた彼は20代を軍隊で過ごし、優秀な成績を収めたが。戦争を嫌い軍隊に嫌気がさし。政治家へと転身した。
公明平和党と呼ばれる政党に所属し、平和と独立を目指し活動していた。
その日も必死に街頭演説を行っていた。
観衆もまばらな中一機のモビル・ナイトが彼の前に姿を現した。元軍人の彼はそれが旧式のモビル・ナイトだという事を訝しんだ。
両手を上げ抵抗の意思が無い事を示した彼は。目隠しをされ何処かへと連れて行かれる事になった。
数10分運ばれた後に目隠しを外された彼は、何処かの廃工場にいた。
そこには銃器で武装した十代の少年、少女と旧式のモビル・ナイトが並んでいた。
「東郷翔平だな?あんたの軍時代の成績を見込んで頼みがある。」
モビル・ナイトから降りた少年がそう口を開いた。
「俺の名は千堂駿。じいさんからあんたの話は聞いている。」
千堂と言えば彼の元上官である千堂幸之助の姿が思い出される。
「見ての通りのレジスタンスだ。だが指揮する人材がいない。近く日本残存軍が無謀なクーデターを起こすと言う情報を掴んだ。馬鹿な大人が騒ぎを起こすと俺達の活動がしづらくなる。そこでこのクーデターを潰す作戦をあんたに考えて貰いたい。」
そう言って駿は主要なメンバーを紹介した。翔平はレジスタンスの戦力を聞いて既に作戦を考えている自分に呆れていた。
「評価して頂いて恐縮だが私は既に軍を退役し、平和的な世界を目指す政治家だ。争いには関わりたくない。」
翔平はそうは言ったがメンバーの若さに先行きの不安を覚えていた。
十代の彼らが残党とはいえ正式な軍人の大人との戦闘に作戦も無く挑むのはクーデター以上に無謀に思えた。
「じいさんから聞いてあんたは少しマシな大人だと思ったんだがな。」
駿の言葉から落胆の色が伺えた。その言葉は大人への不信感を表し、強い眼差しは自立心が溢れていた。
翔平はもう1度彼らを見渡し十代に満たない幼い姿もある事に愕然とした。
「今回だけは手を貸そう」
様々な考えが頭を巡り翔平は渋々承諾した。
それからレジスタンスの戦力を再び確認し、メンバーと打ち合わせ作戦を決める事となった。
「いいかい。アメリアの正規軍が動くと大事になってしまう。日本の自衛軍も動かない内に残党軍を蹴散らさないといけない。そこで高速で移動出来るモビル・ナイトでの電撃作戦を取る事にする。」
翔平はレジスタンスからの情報を元に様々なパターンを想定し作戦を立案した。
「十中八九、地方の武力蜂起は陽動で残党軍の狙いはアメリア中央政府だ。先程も言った様に正規軍が動く前にかたをつける。」
翔平は自信に満ちた声で告げる。レジスタンスの一堂の視線が期待の色を滲ませた。
それからクーデターの決行日迄入念な打ち合わせを繰り返し、当日を迎えた。
翔平は戦闘の舞台を中央政府のある首都直前の山間部と定めた。特に索敵に力を入れ、残党軍の位置を正確に把握し、初撃は背後からと徹底させた。また、残党軍のモビル・ナイト一機に対しこちらは三機での攻撃の戦法を取った。なかでも駿の活躍はめざましく。初撃を加えると、難しい山間部を巧みに移動し、次の相手へと攻撃を加えていった。
小高い丘の指揮車の中で翔平は全体の動きを見定めていた。軍隊を離れ久しぶりの実戦に内心は汗をかいていたが指揮官が動揺している姿を見せるわけにはいかない。表面だけでも堂々として見せていた。
「どうやら勝てそうだな」
指揮車のディスプレイに示された敵味方を表す点が次第にこちらだけになっていき、翔平は安堵の息を漏らした。
しかし突然戦況は一変した。
「東郷さん!何かおかしい。奴ら脆すぎる!」
駿からの通信の後、他の部隊からの悲鳴にも似た通信が翔平の元に届けられる。
「いったい何が起きてる。」
翔平はなるべく冷静を装いオペレーターに尋ねる。
「首都方面よりモビル・ナイトの部隊が展開中!アメリア軍です!」
その声とともに味方を表すディスプレイの点が次々と消えていく。
翔平はすぐさま残党軍のクーデター自体がアメリア軍の仕組んだ罠だと察知する。レジスタンスの旧式の戦力ではアメリア正規軍を相手どる事は出来ない。
翔平はすぐさま撤退を命じる。
多数の被害の元、かろうじて全軍の3分の2を退避させる事が出来たのは翔平の的確な指示と、殿を努めた駿の活躍のお陰だった。
アジトに何とか再集結したレジスタンスは敗色の空気に包まれていた。
「全部アメリアの仕組んだ罠だったんだ。東郷さんがいなけりゃ全滅だった…」
メンバーの誰かが失意の声を漏らす。駿はモビル・ナイトから降りると皆に励ましの声をかけて回る。
翔平はその姿を見ながら敵の強大さを改めて実感していた。
アメリア中央政府とその傀儡となっている日本自衛軍。そして自衛軍を陰で支配する地球統一教団。
翔平とレジスタンスの目指す日本独立の前には様々な困難が待ち受けているのだった。
翔平はそれからレジスタンスと行動をともにし、ある情報を待っていた。
精神的敗戦から1ヶ月後とうとう探していた情報を手にする。翔平はレジスタンスのメンバーを集め次の作戦を伝える事にした。
「前回の戦いで敗れたのは貧弱な旧式の装備による所が大きい。そこで我々の次の目標は日本自衛軍の兵器工場とする。新型のモビル・ナイトを製造中という情報を掴んだ。それらを手に入れる事が出来ればこちらの戦力は格段に向上する。」
レジスタンスの一堂を見ながら翔平はそう告げる。
新型のモビル・ナイトのロールアウト迄1週間。作戦を再確認し、訓練とモビル・ナイトのカスタムが急ピッチで進められた。
そして当日、攻撃は深夜に行われた。
東郷の戦法は索敵による敵の位置の把握と3対1の背後からの攻撃に特化していた。兵器工場の入り口を守る2機のモビル・ナイトをほぼ同時に倒した。敷地内に進入した駿達は次々に現れる自衛軍を蹴散らしながら新型のモビル・ナイトを目指した。
翔平は指揮車の中で手に汗を握っていた。ここまでは情報通りだが思ったより抵抗が激しく、なかなか目的のポイントに辿り着けない。
「東郷さん。指定のポイントに着いた。」
駿からの通信が入る。仲間の援護を受けながら駿は新型のモビル・ナイトに乗り移る。
「起動完了。行ける!」
それから状況は一変した。駿の操る新型のモビル・ナイトはまさに一騎当千の活躍を見せていた。
周囲の敵が沈黙するとレジスタンスのメンバーは次々と新型のモビル・ナイトに乗り移っていく。
「よし、速やかに撤収せよ!」
翔平はタイミングを見計らい撤退の号令をかける。
アジトに無事戻ったレジスタンスは歓喜の声に包まれる。
新型のモビル・ナイトから降りてきた駿が翔平に手を差し出す。翔平もその手をがっちり握り返す。
「じいさんの言った通り、あんたには軍事的な才能がある。」
手を離すと駿がそう言った。
「おだてないでくれ。前にも言った通り、私は平和を願う一政治だよ。」
そう言って翔平はひっそりと立ち去って行った。
そして今日も平和な世界を作る為、街頭で演説を行うのだった。
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