4 私の「告白」
いいサブタイトルが思いつかないです。すみません……
「おーい葉子、葉子ってば!生きてる?」
気づくと教室には私と望の2人っきりになっていた。そんなにぼーっとしてたのかな。
窓の外はうす暗くなっていて、ところどころ街灯がつき始めている。
「望、私どうしよう」
やっとのことで絞り出せた言葉がこれだった。これ以上いったら私は泣いてしまう。
「葉子、こんな告白の仕方じゃいやかもしれないけど、チャンスと思ったら?どうせ葉子のことだから卒業まで告白できないとかそういうことになりかねないでしょ」
確かにそうかも、下手をすればまともに話せるようにもなれないかもしれない。
「でも、振られちゃうよ。まともに話したこともないし。それに西尾君って女嫌いなんでしょ?」
一番のつっかかりはこれだと思う。私ってほんとに臆病だよね。
でも望は必死で笑いをこらえている。こんなときでも私をからかうんだ。
「本気で言ってるの?少しは自覚をもちなさいよ。まわりからなんて呼ばれてるか知ってる?」
「えっ?スタイルも悪くないと思うし、顔だってまあまあだと思うけど。変なうわさでも流れてるの?」
「ちょっとむかつくんだけどね、悪気がないのが分かるから怒れないのよね」
「ねえ、教えてよ!」
「ほんとに知らないの?地域一番の美女って言われてること」
私が美女!?しかも地域一番だなんて。そりゃあ胸も大きいほうだし、顔もまずまず整ってるけど、地域一番だなんてありえないよ。望のほうがかわいいと思うし。
「あ、ありがとね。そうやって自信をつけさせてくれてるんだね」
「ほんとに知らなかったんだ。美人だからあんなに毎日のように告白されるんでしょ!」
「いや、あれは変なうわさが広まってるからちょっとした好奇心とかだと」
「それだけであそこまでなるわけないでしょ、ほんと鈍感なんだから。そういうことだから大丈夫、それに嫌われてても振られることはないよ。葉子をふったら西尾君はこの街にいられなくなるから」
「それはちょっと大げさだよ」
「大げさじゃないよ。だから告白はそんなに心配しなくて大丈夫。大切なのは西尾君の気持ちを葉子に向かせること。今は嫌いだったとしても1ヶ月後に好きになってくれたら何の問題もないよ」
西尾君はきっと私のことなんて思ってくれていない、むしろ嫌われてるかもしれない。だけど私の気持ちをちゃんと見せればきっと好きになってくれるよね。そう信じよう。
「そうだね!私、西尾君を振り向かせられるようにがんばるよ!」
「うん、そのいきだ!葉子なら頑張らなくてもいけそうだけど」
私、頑張るよ。何事も最初が肝心なんだから。ありがとね、望。
1日っていうのはあっという間だった。なんて告白するかいろいろ考えたけど、やっぱりストレートに伝えるのが一番いいと思った。
服も乱れてない、髪もはねてない。放課後に靴箱であってたよね?
そうこうしているうちに校舎のほうから2人の人影がみえた。ついにきた!
「倉橋、つれてきたぞ。それじゃわしはここで」
西尾君と2人っきり。だめ、顔があかくなっちゃう。
「話って、なにかな?」
緊張して話す西尾君。声を久しぶりに聞いたかも。なんかかわいいな。
朝から降っていた雨もやんだみたいで雲の間から太陽の光がさしこんだ。
私は手をぎゅっと握り締めた。
「突然呼び出してごめんね。私、ずっと前から西尾君のことが好きだったの。私と付き合ってください」
あぁ、いっちゃったよ。体が火をつけられたくらい熱くなっていく。
西尾君はどんな表情をしてるのだろう。見たいけどはずかしいよ。
「僕なんかで、いいの?」
みずたまりが反射してきらきら輝いている。まるで私たちを照らすように。
「西尾君じゃなきゃだめなの」
言った後だったけど、すごい恥ずかしいことを言ってしまった。そう思った。