12 私の「決意」
望に引っ張られるようにファミレスをでた私は、そのまま近くの公園までつれてこられた。
入り口の近くにあったベンチに座る。
西尾君があんなになっちゃったのは私のせいだよね。あのときの佐々木君の忠告を聞いていれば、西尾君の変化にもっと早く気づいていれば。なんてことをしちゃったんだろ、昼休みのことで調子に乗ってたんだな。
「望、私……」
これ以上いえなかった。前が涙でかすむ。
「葉子、大丈夫」
望はそれだけ言うと、優しく体をだきよせ、頭をなででくれた。
とっても暖かかった。
私はそのまま気が済むまで泣いた。そのせいで望の服にしみができるくらい。
「私、どうしたらいいの」
絞り出すように声を出す。よく聞いてないと分からないような声になってしまった。
「葉子は今までどおりでいいのよ、さっきのことなんてなかったように。西尾君にはきっとあんなふうになるほどのトラウマがあるのよ。女嫌いもきっとそのせい。だから葉子には何の責任もないから」
「そう…… なのかな?」
「そうだよ! それでも悪いと思うなら西尾君の女嫌いを直してやりなさいよ!」
「えっ、どうやって」
「葉子から積極的にかかわっていくのよ! まずは普通に話すことからね。それができるようになったら、手をつないだりとか少しずつレベルの高いことをしていけばいいのよ」
「私にできるかな、今まででさえぎりぎりだったから」
「ふふ、なんのために私がいると思ってるのよ。しっかり助けてあげるわ。 西尾君、私を本気にさせるとは、なかなかやるわね」
ふふ、と不気味に笑う望は、獲物を見つけたライオンのような恐ろしいオーラを放っていた。望にまかせていいんだろうか、なんだか急に不安になった。
「そうと決まったら早速作戦会議よ! さあ、早く早く」
ものすごく楽しそうな望。絶対まかせちゃいけなかったな、そう思いながらも、私にはとめようにもとめれないんだよね。
そのまま家まで引っ張られて、望の家に1晩とまりこみで作戦会議をするはめになった。