1 僕の「好きな人」
まだまだうまく文章に表現できないのですが、連載を始めてしまいました。
読みにくいところばかりですが、よろしくお願いします。
「おーい、茂……ってあれ?」
むわんとしたパソコン室。6月ともなるとかなり暑くなる。先に教室を出たはずの茂がいない。しかたなしに、エアコンとパソコンのスイッチを入れた。
5分たってようやく起動、とりあえずインターネットを開こうとマウスをもった。
「卓也!俺、ふられたよう~」
「うぐっ」
なぜか突然抱きつかれた。手が滑ってシャットダウンをクリックしてしまったじゃないか。こんなことをするやつは、あいつしかいない。
「茂、突然抱きつくなよ。いないと思ったらそんなことしてたのか。誰に告白した?」
こんなことはもう慣れてしまった。いつも以上に悲しく見える『シャットダウンしています』の文字。
「えっと、葉子ちゃん」
「馬鹿だろ、おまえ」
倉橋葉子、私立桜学園高校2年。学校どころかこの地域一番の美人だといううわさが流れるほどの美人。
佐々木茂、同じく桜学園の2年。お世辞にもかっこいいとは言えない男。そしてかなりのオタク。明るい性格なので結構クラスに溶け込んではいる。
絶対につりあうわけがない。ちなみにクラスがないのは1クラスしかないからだ。
「だって、瞬也も、大地も違ったんだよ。だったら俺かなと」
葉子さんには好きな人がいる、しかも同じクラスに。そんなうわさが流れている。だからクラスの男子が次々と告白してるんだが、みんなそろってふられてるってわけだ。だが、瞬也も大地もかなりのイケメン、それだけで自信をもてるのがすごい。
「瞬也たちと僕たちじゃ、住む世界がちがうの。僕たちオタク部だよ」
オタク部、本当はパソコン部なのだが、アニメキャラクターの画像、動画探しがメインの活動となってしまってるのでそう呼ばれている。部員は茂と僕――西尾卓也の2人だ。
「それを言っちゃあおしまいよ! 人生前向きに生きなきゃ。そうだ、卓也も告白してみればいいじゃん」
僕が?ありえない。茂ほどではないけどオタクの僕が?茂みたいにクラスに溶け込めているわけでもないのに。なんて言ったって僕の顔は気持ち悪い。そんなのふられて傷つくだけじゃないか。パソコンの黒い画面に自分の顔が映っている。できることなら殴り壊したい。
「卓也? 突然立ってどうしたの? って顔真っ赤じゃん! 冗談のつもりだったのに。もしかしてお前葉子ちゃんのことがすきなの? 女嫌いのお前がか」
いつの間にか立っていたようだ、なんだか無性に暑い。
「そうだよ、なんか悪い? それと女嫌いじゃなくて女性が苦手なだけだから」
「怒るなよ、怖いから。だったらなおさら、告白してみればいいじゃん」
「いいんだよ、どうせふられて傷つくだけなら自分の中だけで思っとくほうがよっぽど幸せだから」
「そうなのか? それならこれ以上は言わないけど。むふふ、また顔が赤くなってる。そうそう、秘密のノート貸してよ、また張りたいものがある」
笑い方何とかしろよな。むふふはないだろ。
秘密のノートというのはアニメキャラクターの画像やらなんやらを張ったノートだ。よく分からないが秘密のノートって名前になっている。確かかばんの中に……
「あれ? 教室に忘れてきたかな。ちょっと取ってくる」
僕はパソコン室を出た。じめじめした空気。
もう1度パソコン室に入りたいのを抑えて、小走りで教室へ向かった。