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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第二章 学園・大学病院 編

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第52話 最後のリハーサル

「驚いたわね。零にこんな才能があったなんて」


 花さんが練習場所探しから戻る。

 レイを見て、開口一番驚きの声を上げた。


「あまりにうまくいきすぎてしまって、わたくし自身驚いていますわ~」


 レイ(ウーミー)が答える。

 いや、もう普通に花さんとウーミーの会話だよね、これ。


「脳が混乱してくるわね……」


「花さん、もう難しいことを考えてはダメです。そこにいるのはウーミー、それで良いじゃないですか!」


 レイはここにはいない。ここにいるのはウーミーなんだ!


「零がそれで良いなら私は楽だけど……」


「それでよろしくてよ。今のわたくしはウーミー。医務室で休んでいるのが零さんですわ~」


 レイ、吹っ切ってきたな。

 それで良いならそう扱わせてもらうね。


「わ~い、先輩だ~。いつもみたいに抱っこしてください~」


「いつもみたいに⁉ メイメイ、いつもウーミーと何してるの⁉」


 抱っこのところ詳しく!


「え~と~、私が泣いてると、先輩がいつも抱きしめてヨシヨシしてくれるんですよ~」


「……メイメイ、いつも泣いてるの?」


「いつもじゃないですけど~、なんだか急に涙があふれてくることがあって~、そういう時は先輩のところに行って抱きしめてもらうんです」


 そうか。メイメイがつらそうにしているところは、ボクではなくてウーミーに見せているのか。

 マネージャーのボクではなくて……うーん、ショックを隠せない。


「カエデちゃんも甘やかしてくれそうだけど、海さんやさしいの?」


 ハルルがさらに掘り下げる。


「カエくんはなんかいつも難しい顔してますし~、すぐアドバイスしてくれるから助かります~。でもちょっと泣きたい時は何も聞かない先輩のところに行っちゃって~」


「あ~わかるかも。カエデちゃんてばすぐに解決策を出してくれるもんね。困ってるときは助かるけど~ってわかるわ~」


 2人で納得しあっている。

 なんだ……ボクって理屈っぽいのかな。もっとこう、すべてを受け入れる度量を……。

 そう、レイみたいなふかふかでもちもちであったかい母なる大地のような存在に……ボクはなれそうもないな。



「はいはい、今はおしゃべりしている時間はないわよ。せっかく確保した練習場所でフォーメーションチェックしないのかしら?」


 花さんが手を叩いてみんなを立ち上がらせる。

 そうだった。ボクらに遊んでいる時間なんてないんだった!


「みんな、各自タオルと水を持って移動しましょう」


 都が指示を出す。

 衣装への着替え、メイクの時間も必要だから、練習できるのはあと1時間くらいか……。よし、がんばっていこう!



* * *


「ここかいな……」


 連れてこられたのはめちゃくちゃ広い会場だった。


「ここはいったい?」


「代々森の第二体育館よ。今日は使っていないから、あとで掃除をする条件で、短時間なら使ってもいいって」


 さすがベテラン社員、交渉上手だなあ。


「広いですね~。ワンマンライブ開催です~」


「良いですね、それ!≪The Beginning of Summer≫のワンマンライブやっちゃいましょう!」


 メイメイとサクにゃんがノリノリだった。

 観客はいない。第一体育館ほどのキャパはないけれど、数千人は入りそうな大きな会場だ。こんなところでワンマンライブをやれたらと思うと、身震いしてしまうね。


「さっそく立ち位置の確認のために、通しで2曲やってみましょう。中心だけ決めるから、あとはそれに合わせてみんな位置について」


 都がサクにゃんの立ち位置をバミる。そして、2曲目のダブルセンターの立ち位置にも印をつけていく。


「準備OK? 音楽かけるよ」


 さすがに音響設備は使えないので、端末につないだBluetoothスピーカーの音量を最大にする。


 ミュージックスタート。


 前奏が始まった。

 どうしてもレイ(ウーミー)の動きが気になってしまい、そっちばかり見てしまう。

 しかしどうだ、さっきまでの硬さはない。

 しっかりと踊れているじゃないか。


 注目して見たら、踊り自体はレイのそれだけど、そこまでわかる人は観客の中にはいないだろう。遠目に見たらウーミーにしか見えないから、これなら十分いけそうだ。



 続いて2曲目。

 サクにゃんとのダブルセンターだから、よりウーミーが注目される曲だ。


 うん、うん。お互いに多少のぎこちなさはあるものの、これなら何度か練習したらいけるんじゃないかな?

 レイの中にしっかりと振り付けが入っていてくれて助かった。

 しいて注文を付けるとしたら、遊びの部分がもっと表現できていればなあ。サクにゃんはきっちりの人だから、ウーミーがアドリブを入れたり、あえてちょっと外したり、後半に向けて、曲の主人公の心の変化を入れたりしていた。今はそれがないから、見ていても「振り付けの通りだな」という感想になってしまう。

「観客が感動する演技は、その場の雰囲気から出てくるアドリブにこそある」と偉い人が言ったとか言わないとか。

 でもそこまで求めるのは代役には酷なのか。


(たとえばどんなアドリブが良いのでしょうか)


 あ、うん。無理にはいいんだけど、一応参考程度に言っておくね。

 ボクがこの曲をアナリーゼしてみた結果なんだけど、歌詞の中、曲の中に何が込められているのかを考えてみた。


 ボクが考えるこの曲は、「サツマイモがおいしい季節だからサツマイモの上手な焼き方を知りたいね、それってどんな焼き方かな? 石焼き? 落ち葉焼き? あなたはどっち派?」そんなコミカルな感じで序盤は進んでいく。


 だけど、ウーミーはだんだんと気づいてくる。「焼き芋は焼き方が重要なんじゃなくて、誰と焼いて誰と食べるかが重要なんじゃないの?」って。


「あなたが石焼き派なら、私はそれに合わせるよ。だって私はあなたのことが好きだから。あなたの好きなものを私も一緒に食べたい。サツマイモばっかり見てないで、私の視線に気づいて。私のことも少しは見てほしいな」という、サクにゃんへ片想いを自覚するウーミーの恋の歌へと変わっていくんだ。


 だから曲の前半1サビと後半2サビ、最後のラスサビで同じ振り付けが出てくるところのウーミー側の雰囲気が変わっていると、より曲のドラマ性が伝わるかなと。

 ラスサビはサクにゃんもうっすら気持ちに気づいて、2人で両想いっぽい雰囲気が出ると最高だなあと思ったりはしてる。


 あ、ごめん、語りすぎたね。

 これはあくまでボクの解釈だから、レイはレイなりのアナリーゼをしてほしいけどね。


(ありがとうございます。参考にして自分でも考えてみます)


 時間もないし、まずは振り付け通り正確にできることを優先してね。

 あと少しで本番だからね。

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