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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第二章 学園・大学病院 編

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第47話 姫と騎士様

 いよいよ明日はスポフェスかあ。

 ≪初夏≫のみんなは練習に練習を重ねて、2曲ともなかなかの完成度に仕上がっているんじゃないかなと思う。


「まだ気温も高いし、水分をしっかりとろう。あと塩分も。こむら返りをおこしたりするからね。ちょっと疲労がたまっているみたいだから心配だよ」


「明日が本番ですのよ。休んでなんていられませんわ」


 ウーミーの鼻息が荒い。

 ちょっとハイになってしまっているみたいだ。さすがにこれ以上は止めて休養させないとまずいなあ。ウーミー、メイメイ、ハルルの寮組の3人は自主練をしすぎな感じはあって、疲労がたまっている様子。ケガが心配だ。


「うーん。今日はもう練習は終了にしよう! ちょっと動きすぎだから、マネージャー権限で休養を申し渡します!」


「ちょっとカエデちゃん! あと少しでつかめそうなのよ~。もう1テイクだけお願い!」


「……ハルルさんや。マネージャーの言うことはー?」


「絶対です……」


 ハルルが悔しそうにぼそりとつぶやく。

 それでよろしい。


「はい、今日はこれで練習は終了。明日の朝練も禁止とします。食堂に行って甘い物でも食べながら明日の作戦を練りましょう。メイメイもそれでいいね?」


「は~い。シェフにお願いしてきま~す」


 メイメイだけはさしたる抵抗もなく、1人食堂に向かって走り去った。

 なんかちょっと違った意味で心配な軽さだなあ。


 トントントン。

 音のする方向を見ると、ウーミーが左足を気にしている様子だった。つま先で床を叩いていては首をひねっている。


「ん、ウーミーどうしたの?」


「ちょっとアキレス腱のあたりに違和感があるような気がして……きっと気のせいですわ」


「気のせいで済ませちゃダメ。もし何か大きなトラブルなら一生後悔するよ。ちゃんと医務室で見てもらおう」


 ここで無理して何かあったら……。


「大丈夫ですわ。ほら、曲げ伸ばししても何も痛みはありませんわ」


 ウーミーは足首を前後に曲げてアピールしてくる。


「そういうことじゃないの。素人が判断したらろくなことがないんだから、プロに見てもらいましょ。ハルル、ちょっと先に食堂に行っててー。ボクたち医務室に行った後に合流するから」


「わかったわ。遅くなりそうならメッセちょうだいね」


「OK。たぶんメイメイがすっごい裏メニューを注文してると思うから、SNS用の写真撮ってあげておくといいよ」


「は~い」


 ハルルは返事をして練習場を出ていった。

 メイメイが頼むって言ったら、やっぱりシェフのすっごいやつ、なんだろうなあ。


「医務室行くよ。1人で歩ける? 肩貸す?」


「大丈夫……じゃありませんわ。急に足が……ああ、もう一歩も歩けませんわ」


 急に倒れこむようにウーミーがその場にうずくまってしまった。

 いや、その押さえているのは右足のほうだから。わざとらしい演技……。


「はいはい、ゆっくりで良いから、自分の足で歩いて医務室に向かいますよ」


「ちょっとはノッてくださってもよろしいんじゃなくて?」


「わかりましたよー。じゃあ……姫! おケガはありませんか⁉ わたくしが医務室までお姫様抱っこでお連れいたします」


 恭しく頭を下げる。

 フランス風だとこんな感じでいいのかな? どう満足した?


「ありがとうですわ。お願いしますですわ」


 ウーミーはそう言ったまま、立ち上がろうとしない。


「お願いしますですわ」


「え、マジ?」


「足が痛くて一歩も歩けませんわ」


 えー。ノリで言っただけで、お姫様抱っこなんてできないよ……。だって、ウーミーボクより背高いじゃん。


「お願いしますですわっ!」


 圧!

 わかりましたよー。まずボクの力で持ち上がるのかな……。


「よいしょー!」


 え、軽いっ!

 ふわふわボディだから、失礼ながらめっちゃ重そうだと思っていたのに、すごく軽い。なにこれ、どういう仕掛けなんだろう。体重ない系の人?


「なんだか失礼なことを考えていらっしゃいませんこと?」


「姫! そんなめっそうもない! ささ、急いで医務室へ」


「ちょっとお待ちになって。そこの方! お写真をお願いいたしますわ」


 その辺を歩いているスタッフさんを捕まえて、ウーミーが自分の端末を手渡す。

 そうね、SNS用の写真をね。ええ、それってボク写るじゃん。


「姫と騎士のようなお写真を。もっと顔を寄せてくださいまし」


 いやいや、これ以上寄るともういろんなところが密着して……埋まってる埋まってる! 顔面がトランポリンみたいになってるんですけど!


「ありがとうですわ~。良いお写真。さっそくSNSに投稿ですわ~」


 ウーミーは笑顔弾けていてかわいらしいお姫様に写ってますね。ボクは……これ大丈夫? 思いっきり胸に顔がめり込んでるけど……炎上しないかしら? 顔が写ってないから逆に特定されなくてセーフかな?


“カエデそこ代われ”

“カエデギルティ”

“カエデー!”

“姫の護衛が姫に手を出すなんて!”

“カエデあとで説教”


 ダメでした……。

 何で顔写ってないのにボクだってわかるの? 特定班仕事しすぎぃ。

 ウーミーのファンはガチ勢が多くて怖いから苦手……。


「ふふ。楓さんと仲良しなところをアピールできましたわ♪ さ、騎士様、医務室へ急ぎましょう」


「はい姫。仰せのままに……」


 まあ、良いけどね。ファンサービスでボクをいじって遊びたいなら遊べばいいさー。それでウーミーのファンがもっとウーミーを好きになってくれるなら、ボクも本望だよ……。



 医務室でウーミーの足を見てもらったところ、特に異常は見られなかった。「疲労がたまっているから冷やして今日は安静にするように」とのことで、明日には支障がなさそう。とりあえず良かった……。


 一方その頃、食堂にて、メイメイとハルルが巨大な氷のドラゴンの写真をアップしていたのはまた別のお話。

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