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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第二章 学園・大学病院 編

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第46話 メイメイは工作が得意?

「動物園シリーズの反響なかなかいいねー」


 牛と羊のエサやりは、ファンの間でもなかなか好評だったらしい。SNS上のコメントも多めだったし、ファンの配信でも取り上げられていた。

 とくに北海道出身で畜産にかかわっていた経験を素朴に語っていた部分に親近感を覚える人たちが多かったみたいだ。

 メイメイのおばあちゃんが住んでいる町ではないみたいだけど、北海道の役場の公式アカウントが引用投稿しているのにはちょっとびっくりした。でも、こういうところから仕事につながったりするのかなとも思う。少し手ごたえみたいなものを感じるね。


「うさぎ界隈の人たちがいっぱいフォローしてくれてます~」


 メイメイが端末を眺めながらうれしそうにしている。


 うさぎ界隈……そう、正直うさぎを舐めてました。

 ペット関連の投稿なんて、どのアイドルもやってるだろうし、スイーツと一緒でそこまで伸びないだろうなって気を抜いてました。すみません。

 気を抜きすぎて、ボクってば動画に普通に映りこんでたし、ラフに会話しているところがバッチリ編集で切り抜かれていたし……。いや、そもそもこの動画おかしくない? シオがまたふざけたよね?


「すっごい再生数稼いでいるのはうれしいんだけど、このふれあい広場での動画……実際のところ、メイメイは全然映ってないよね?」


 なんていうか、ボクが初めてうさぎを撫でて喜んでいる視点で映像が構成されてるし、メイメイの顔は全然映ってなくて、ボクのリアクションばっかりだし。


「ちゃんと声は入ってるから大丈夫です~」


 むしろ、ほとんど声しか入ってなくない? うさぎについてボクに教えてくれている声だけの出演になっちゃってるよね。誰だよ、これでゴー出したの……。


「でも~、うさぎ好きの人たちから、なんちゃってうさぎ好きアイドルじゃなくて、真のうさぎ好きアイドルとして認定されててうれしいです~」


「それはとてもステキなことだね。うさぎ好きの人たちがバックについてくれるなら、動物番組の出演依頼が来るかもしれない!」


 それとお母さんみたいに、うさぎカフェの取材もできるかもしれないね!


「こういう注目されそうな柱を何本も持っておきたいなあ。趣味関連で仕事を取ってこれると強いし、各方面でコアなファンをつけられれば、それだけブレイクする可能性も高まるし」


「柱ですか~。次は何にチャレンジしましょう~?」


 ファンからの匿名投稿一覧を眺めて、メイメイが唸る。

 ボクも唸る。


 なんだろうなあ。

 写経は絶対違うでしょー。メントスコーラはユーチューバーの人がやるやつだよね。ASMRは絶対やりたいけど、もうちょっと人気が出てから満を持してってイメージなので後にしたいかもしれない。

 料理は絶対やらせたくないし、きっと裁縫も苦手そう。血だらけになった事故映像は困る。

 富士山登頂とか自転車で日本一周はちょっと過酷だし時間がかかるなあ。


 あ、これはどうだろう。


「メイメイはキャンプの経験ある人?」


「キャンプですか~? 小学校の時、カレーのお鍋を倒して、他の班の人に分けてもらいました~」


 うん……ごめんね。つらいことを思い出させて。


「料理しない系のキャンプは?」


「なんですかそれ~?」


「テント張ったり、火をおこしたりするだけ? 自分で言ってても意味わからなかった」


「テントは張ったことないですけど、火はおこせますよ~」


「え、そうなの? ライターとか使わずに?」


「もちろんです~。ファイヤースターターはお守り代わりに持ってますよ~」


 端末のストラップをゆらゆら揺らして見せてくれる。

 ファイヤースターターって何? その金属の棒で火をおこすの?


「これで火花を散らして、麻の布や削った木に着火するんですよ~。フェザースティックも作れますよ~」


「なんかすごそう。でもぜんぜんわからない! ちょっと待ってー」


 試しに「フェザースティック」とやらを検索してみる。

 最初に着火させる役割なのね。細い木の皮を何度も薄くナイフで削って、まるでパイナップルの葉っぱみたいになている。

 え、これってナイフで木を削って作るの? めっちゃ細かい作業じゃん。


「これをメイメイが? ナイフで?」


「そうです~。わりばしでも作れますよ~」


「わりばしでフェザースティックを……もしかして手先器用なの?」


「料理やお裁縫は苦手ですけど、工作みたいなのは得意です~」


 メイメイがガッツポーズを作る。

 自信満々だ!

 ほえー、そうだったんだね。そういう細かい作業全般ダメなのかと思ってた!


「そっか! じゃあ工作の何かにチャレンジするのもいいね。とりあえず、そのフェザースティック作って写真撮ってみる? あ、でも、細かそうだし、時間かかったりするのかな」


「わりばしとアウトドア用のナイフがあれば10分もかからないです~。さすがにナイフはこっちには持ってきてなくて……」


 メイメイがすまなそうな顔をする。

 ナイフを持ち歩いているのは、中二病の人か、それこそ中学生の男子だけでは? 女子高生のかばんに入っていたらそれはそれで怖いんですけど……。


「花さんに聞いてみようかー」


 花さんに事情込みでメッセで確認してみると、数分後に返事があった。


「備品にあるってー。ケガしないようにちゃんと軍手もしなさいって書いてある。さっそくやってみよう!」


「わ~い。やりましょう~」


 備品倉庫にナイフを借りに行く。ついでに倉庫の一角をお借りして、フェザースティック作りの写真と動画も撮ってしまうことにした。



「めっちゃきれい……」


 メイメイが慣れた手つきでわりばしを削っていく。

 参考サイトで見た通り、いや、それよりも細かい。削り出された羽の1枚1枚が均一で美しいかもしれない。

 わりばしはナイフでどんどん削られていき、中心の軸は細くなっていく。と同時に軸の周りに薄い木の皮の花が咲いていく。


 ものの10分。あっという間に1膳の割りばしが、2本の花へと変化した。


「メイメイ、これはすごいよ……」


「そうですか~? おばあちゃんはもっと速いしきれいですよ~」


 おばあちゃん何者なの?

 めっちゃ会ってみたい……。


「早速写真をアップしたいです~」


 よしきた。

 削っているところの動画も1分ほど切り出して、あとは完成したフェザースティックとメイメイの笑顔を載せて、と。

 これでよし。ファンの人たち喜んでくれるかな?


“メイメイ不正?”

“影武者が削ったな?”

“プロを雇うのは反則です”

“仕上がりがきれいすぎてバレるwもうちょっと下手にやれw”

“プロの犯行”

“メイメイがっかりです”


「なぜだ! 誰もメイメイがやったって信じてくれない! 証拠の動画も上げてるのに!」


『私がちゃんと削ってますよ~』


 メイメイは泣きそうになりながら、潔白を訴える投稿をしている。


“うそうそー。動画も見た!あまりにもきれいだったから”

“ホントに自分で削ったんだ”

“メイメイの才能がどんどん明らかになっていく”

“メイメイ見直しました”

“こんなにうまくナイフは使えるのに、どうして料理は……(ここで途切れている)”


 信じてもらえたみたいで良かった、かな?

 ナイフを使わせたらNo.1アイドル選手権なら優勝できそう!

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