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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第二章 学園・大学病院 編

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第45話 うさぎ博士登場

 ふれあい広場の中にはメイメイとボクだけが入ることになった。

 レイは固辞し、「今日は撮影係ですから」と言い続けたからだ。動物が苦手だったらあれだから、これ以上は強く言わないけど。


 ボクたち2人は、ふれあい広場の中のベンチに腰掛ける。ここで待っているとうさぎを連れてきてくれるらしい。膝の上に布を置いて、その上にうさぎを乗せて撫でるシステムだとか。


「楽しみです~」


「テンション上がってきた!」


 付き添いのはずのボクもワクワクが止まらない。

 うまく撫でられるかな。怖がらせないようにちゃんと説明を聞かなきゃ。

 古いモニターに動画が映し出され、擬人化されたうさぎたちが注意点などを説明してくれる。


「なるほど、お尻のほうはあまり触らないようにして頭から背中だけを撫でるのかあ」


「うさぎは地面から離れることを嫌うので、持ち上げたり足を触ったりしたらダメですよ~」


 メイメイが補足説明をしてくれる。


「うさぎも詳しいの?」


「おばあちゃんのところで飼ってましたよ~。ミニレッキスとホーランドロップイヤーを飼ってました~」


「ミニレッキス? ホーランド? うさぎの種類かな?」


「そうですよ~。細くてつやつやした子とたれ耳のでっぷりした子です~」


「へ~良いなあ。ペット飼ってみたい」


「カエくんはペット飼ったことないですか?」


「ザリガニは飼ったことあった気がするけど、犬や猫やうさぎみたいな哺乳類はないかな」


 だったと思う。

 ちょっと記憶があいまいだけど。


「お世話するとなついてくれるからかわいいですよ~」


 メイメイは目を閉じて笑みを浮かべていた。きっとこれまで飼ってきたペットたちのことを思い出しているのだろう。


「あ、うさぎがきたよ」


 飼育員さんたちがたくさんのカゴを両手に下げて、ふれあい広場に入ってくる。

 カゴ1つ1つにうさぎが1羽ずつ入っているようだ。


「かわいい~」


 メイメイの前には真っ白な毛の耳が長い子が、ボクの前にはたれ耳の丸々と太った子がやってきた。


「この子は……ミックスちゃんですかね~。カエくんのはロップイヤーですね」


「さっきメイメイが言っていた子と同じかな?」


「ホーランドロップイヤーもロップイヤーの1種なので、きっと仲間ですね~。おとなしくて人懐っこいので撫でやすいと思いますよ~」


「うさぎ初心者には助かる。頼むからおとなしくしててね……」


 飼育員さんがひょいと持ち上げ、ボクたちの膝の上にうさぎを乗せてくれた。


「おお、意外と重い……」


 見た目ふわふわだからもっと軽いかと思ったけれど、ずっしりとした感触が腿にある。うさぎは浅く息をして小刻みに震えているけれど、おとなしく膝の上に座ってくれていた。


 恐る恐る頭に触れてみる。

 ふわっふわだー! 毛が深くて指が沈み込むー。

 あー、撫でると手の動きに合わせて目を閉じて気持ちよさそうにしてる! かわいいやつよのぉ。


「小さめの子でも2~3キロはありますからね~。2キロ切るのはネザーランドドワーフくらいかもしれないです~」


「ああ、聞いたことがある名前だー。ピーターラビットのやつかな」


「ネザーちゃんはピーターラビットよりももっと小さいかもしれないです。耳が短いのが特徴ですね~。日本ではすっごい人気ありますけど、人見知りで警戒心が強い子が多いので、飼うのはけっこう大変みたいですよ~」


「ネザーランドドワーフは飼いにくいからやめたほうが良さそう……と」


「性格はその子によりますから、みんながみんな飼いにくいというわけじゃないです~。会ってみて、お互いに相思相愛ならきっと仲良くできます~」


 ふーむ、そういうものなのかあ。

 まあ、人間もペットも性格はそれぞれ違うよね。


 ふと見ると、ボクに撫でられるまま、うさぎは静かに目を閉じていた。


 寝ちゃったかな?


 撫でるのをやめてみると、パッと目が開き、「撫でるのをやめたのはなんで?」って目でこっちを見てきた。


 ごめんごめん、撫でるよぉ。


 これはかわいすぎる!

 うさぎを飼う人の気持ちがわかりすぎるくらいわかってしまう……。


「メイメイ――」


 メイメイのほうを見ると、白うさぎの頭を撫でながら、なにやら会話をしている様子だった。


「私アイドル始めたんですよ~。お母さんのテレビでの最初のお仕事がうさぎカフェレポートだったんですって。どんなレポートしたのかな~。私のお母さんとお仕事したのは、あなたのご先祖様だったりするかもしれませんよ~」


 そう言いながらメイメイは、白うさぎのほっぺたをクルクルと円を描くようにマッサージしていた。


 メイメイのお母さんは今どこで何をしているんだろう。

 どこかで元気にしているといいけれど。


 メイメイの活躍を知って、会いに来てくれるといいな……。


「カエくん……うんちされてますよ」


「ええっ⁉ ああ、ホントだ!」


 膝に敷いた布の上に、丸っこいうんちが何粒も転がっていた。やられたー。布があって良かったよー。


「大丈夫ですよ~。うさぎは牧草しか食べませんから、肉食や雑食のペットと違ってうんちは無臭です」


 ほえー、そういうものなんだ。草食だから!


「でも……おしっこはすごく臭いですよ……」


 ええー、頼むからここでおしっこしないでね……。


「いたずらしたりしなければ、うさぎはおトイレでしかおしっこはしないので大丈夫ですよ。うんちはその辺にポロポロしちゃいますけど」


 頭良いのか悪いのか……。

 それにしても――。


「メイメイって動物詳しいね。これはファンのみんなにもアピールしていきたいなあ」


「そうですか~? ペット飼ってたら誰でも知っている知識だから、めずらしくないと思います~」


 うーん。みんながみんなペット飼ってるわけじゃないからなあ。

 メイメイが動物に詳しいってことを、ボクが今初めて知ったってことは、世間に認知されていなかった情報が他にもいっぱいあるんだろうなあ。

 たぶん誰でも知っているからって、遠慮して言っていない知識が他にもありそう。もっともっと引き出していきたいな。

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