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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第二章 学園・大学病院 編

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第43話 ファンと触れ合おう大作戦

「というわけでアプローチの方向性を変えたいと思います」


 メイメイとの緊急バディ会議だ。

 広い会議室に2人。メイメイをイスに座らせて、ボクはホワイトボードの前に立っている。


 このままSNSで情報発信するだけではファンは一気に増えたりしない。動画投稿も同じ。

 アプローチの方法を大胆に変えるしかない。


「『ファンと触れ合おう大作戦』を発動します!」


 ボクはあらかじめホワイトボードに書いておいた作戦名を読み上げて宣言した。


「それってなんですか~?」


 メイメイの頭の上にはハテナマークが浮かんでいる様子だ。


「説明しよう。『ファンと触れ合おう大作戦』とは、ファンがメイメイに求めていることをヒアリングして、それを1つずつ叶えちゃおうという双方向のコミュニケーションを可能とする夢の企画なのだ!」


 ボクの渾身のアイディアはどうだー!


「それってなんですか~?」


 うう……全然理解してもらえてない。がんばって考えたのに……。


「えっとね。これまでのSNS投稿は、メイメイが好きな写真をアップして、それをファンのみんなに見てもらっていたよね」


「そうですね~。カエくんやレイちゃんと一緒だとたくさんファボもらえます~」


 メイカエレイ探偵団の写真はいっぱい喜んでもらえたね。


「うん、動画のほうも同じで、好きなスイーツを食べて、それをファンのみんなに見てもらっていたよね」


「おいしいスイーツたくさん食べたいです~」


 メイメイのしあわせそうな顔が見られるのはボクもうれしいよ。


「しかーし! それだと新しいお客さんを呼び込むことは難しいのですよ! もうすでにコメントくれる人たちが古参感出してるからね! 正式にはまだデビュー前なのにねっ!」


 コミュニティが閉じていくと、一体感は生まれるけれど新規層の獲得はどんどん厳しくなる。なんならコミュニティメンバーが意図的か意図的ではないかにかかわらず、排除してしまっているケースも少なくない。


「そこで、今いる古参っぽいファンの人たちに、メイメイのことを他の人に宣伝してもらおうと思います」


「すごいアイディアです~。でもどうやって宣伝してもらうんですか?」


 メイメイは首をかしげる。

 そう来ると思ったよ!


「それがさっき言った『ファンと触れ合おう大作戦』なんだよー。メイメイがこんなことをしたら、他の人にも紹介できるのに、っていう意見をたくさんもらって、1つずつ実行していっちゃおうって作戦ね」


 楽しむ、から、他の人に勧める、にシフトしていくためには強い動機付けが必要にはなると思う。デビュー初期段階の今だからこそ、未熟なアイドルを育てたいという青田買いの好きなファンが集まっているはず。そこに賭けていきたい。


「例えばー、今スイーツの動画をあげてるけれど、甘いもの好きのメイメイが激辛料理を食べてヒーヒー言ってるところなら、他の人にも勧められます、とかかな?」


「いやです~。辛いものは食べたくないですよ~」


 両手でバッテン印を作って断固拒否の構え。


「例えばの話ね? でもホントにそういう案が来たらやってもらうけどねっ!」


 この段階ではファンの言うことは絶対!

 まあ、悪意がありそうな意見は当然排除するけれど、それ以外は可能な限りチャレンジして可能性を広げていきたい。


「みんな意見くれると思いますか~?」


「たぶんね。最初はそんなに多くないと思うけど、1つ1つ答えてるよっていうのが認知され始めたら数も増えていくと思う。SNS上に匿名投稿できるフォームを用意して、なるべく気軽にご意見を送れるようにしてみようね」


「良いと思います~!」


 メイメイもバンザイポーズで賛成してくれた。

 じゃあさっそくチャレンジしてみよう。



『私を推してくれる人を増やすアイディアを募集します! 私がこういうことにチャレンジしたら、もっと推しが増えるのにな~、他の人にもお勧めできるのにな~みたいなアイディアをください。写真や動画で実現できるものならなんでもチャレンジしていこうと思ってます! 匿名投稿でお1人様何度でも応募歓迎です~』


 投稿してすぐに反応が現れ始める。


“メイメイどうしたの?なんか困ってる?”

“唐突にチャレンジ企画始まった?”

“困ってそうなら何かアイディア考えるか”

“さっそく応募しました”

“姫が困っていらっしゃる”

“男は黙ってスイーツ”


 古参の人たちは温かいなあ。もっとこういう人たちが増えてくれればなあ。


「お、もう応募してくれた人がいるみたいだね」


 匿名サービスの投稿内容を確認してみる。

 お、ホントに1件きてるね。


「『毎日1枚マンガ(イラスト)チャレンジ』だってさ」


「絵を描いてアップするってことでしょうか?」


「たぶんそういうことじゃないかな。ボクは悪くないと思うけど、メイメイはどう思う? 実際やれそう?」


 マンガ原作の小説を書いていること、それの絵を自分で描きたいので練習していることはコアなファンの中では認知されていることだ。

 それをちゃんと練習してますよ、と見せていくのはとても良いアイディアだと思う。日々成長していく姿はみんな気になるはず。


「まだホントに下手で~、人に見せられるようなものは描けなくて~」


 メイメイがモジモジしている。

 相当自信がない様子。


「それでいいんだよ。いきなり完成品を見せられても感動は薄いし、このアイディアを投稿してくれた人が求めているのは、今は下手でもちょっとずつうまくなっていくメイメイを応援することなんだよ」


「私を応援、ですか?」


「そう、メイメイのことを応援したいと思っている」


 メイメイはその言葉をかみしめるように黙ってしまった。


 デビューに向けて歌やダンスの練習をしながらマンガの練習もするのはとてもきついと思う。でも、ぜひ試してみたい。


「わかりました~。がんばってチャレンジしてみます~」


「よし、がんばっていこう! 毎日決まった時間に絵を描く時間を取ったほうが良いだろうね。やっぱり練習後かなあ。最初いきなりマンガは厳しいだろうから、イラストだろうね。シオセンセのスケジュールも確認しなきゃ」


 シオにメッセージ。事情をかいつまんで説明して、マンガとイラストの指導をお願いしてみる。


『OK。さっそく今から行くで~』


 あっさり。

 助かる。フットワーク軽いなあ。



「うちやで~。ビシバシしごいたるで~」


 と、タブレットを抱えたシオが会議室に現れた。

 早いよ。お願いしてから3分も経ってない。


「シオちゃんだ~。お願いします~」


 メイメイが深々と頭を下げる。

 やる気があってよろしい。


「じゃあ、ボクは何か軽食を用意してくるから、シオセンセお願いします!」


「まかしとき~。液タブを貸したるから、これで練習していくんやで。毎日となると、長くても1時間くらいやな。未完成でもそこまでで必ずアップロードする習慣にしとこか」


 うまく意図を組んで段取りを組んでくれている。

 ではお願いします。ボクは食堂に行って食料を用意してきます。

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