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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第二章 学園・大学病院 編

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第41話 事件ですか?

 生配信から1週間ほど。

 アーカイブの再生がわりと順調に伸びているらしく、SNSのフォロワーもあと少しで5000人に届くかというところまできた。

 正直予想以上の反響で驚いている。


 あれからエゴサを繰り返してわかったことと言えば、どうやらボクたちマネージャー陣の登場がウケているらしいということ。マネージャーが前に出てくる変なグループとして、注目の対象となっているみたい。誠に不本意ながら。


 たしかにSNSの投稿に対するコメントでも、バディのツーショットを求める声が多く寄せられている、気もする。

 メイメイが調子に乗ってボクの写真ばかりあげるものだから、余計にファンたちもおもしろがっているというところはあるだろうけれどね。


 だからといって『#今日のカエくん』をハッシュタグにして投稿するんじゃない!


「カエくん、写真撮りましょうよ~」


 言ってるそばから、ほらきた。


「メイメイ、ボクの写真ばかりじゃなくてね、メイメイの自撮りを投稿しないとね。ファンの人たちはメイメイのかわいさを見たくて来てくれているんだよ?」


 マネージャーネタがおもしろがられるのは今のうちだけ。飽きられてしまわないうちに、足場固めと次のネタを作り出さないと。


「今日は私も映りますよ~。レイちゃんも呼んで、メイカエレイ探偵団の写真をアップしたいです~」


 まあ、それならいいかな?

 そうなると、またあのコスプレかあ。まだちょっと季節的にあのかっこうは暑いんだよね。


「さつきさん、お招きいただきありがとうございます。最近メイカエレイ探偵団の出番がなくてさみしいですね」


 おお、レイ。もういたのね。しかも探偵団のかっこうに着替え済みで。レイはホントコスプレ好きね。


「そうですね~。メイカエレイ探偵団は事件を欲しています~」


「物騒なこと言わないで。平和が1番だよ」


 とりあえず写真撮ってアップしましょうかね。

 近くにいたスタッフさんに何枚か撮ってもらおう。


 ふむ。モデルが良いと何してもかわいいね。



「これでヨシ!」


 写真を数点アップすると、すぐにコメントがつき始める。

 メイメイ人気出てきたなあ。


“レイちゃん特別出演きたー”

“レイちゃん!レイちゃん!”

“三角関係の人たちか”

“何を探偵するんですかねぇ”

“衣装本格的だな”


「わかる人にはわかっちゃうのかな」


 ボクたちが普段からこの衣装を着て活動していることがね!


「事件の匂いがします~」


 いや、しないでしょ。探偵みたいに鋭い人がいるってだけで。


「このアカウント怪しいですね。調査しますか」


 いや、怪しくないでしょ。どう見ても普通のファン。あ、この人、ちょっと前に配信してるところ見たわ。レイのことが好きって30分配信してた。ずっと閲覧1だったから仕方なく最後まで見てあげたよ。


『私、探偵もの大好きですから~。探偵もののマンガ原作小説も書いてますよ~』


 メイメイが別パターンの写真を載せて追加投稿していた。


“原作小説?”

“ミステリー作家?”

“読みたい”

“どんなの?”

“文豪メイメイあらわる”


 おお、さっきよりも反響がメイメイに集まってる。やっぱりみんなメイメイの作品読みたいよねえ。


「そういえば、なんでマンガ原作小説なの? マンガ化する予定があるの?」


「いつか自分でマンガも描いてみたくて~。シオちゃんに習ってます~」


 なるほどね。シオセンセに描いてもらうんじゃなくて、自分でマンガを描こうとしているのはえらい。

 うまいことコンテンツ化して、ファンを増やす活動に使いたいなあ。でもメイメイのイラストの実力は画伯的なあれだから……。

 んー、イラストの出来云々じゃなくて、マンガの描き方を教わっているところを動画化するとか? シリーズものになるし、ちょっとずつうまくなっていくのをみんなで応援するのは良さそう。


「大変よ! ちょっとみんな来てちょうだい!」


 都が慌てながら会議室に飛び込んできた。


「事件ですか~?」


 メイメイの目が光る。

 いやいや、そんな都合よく事件なんて起きるわけ――。


「事件よ!」


 マジで?


「わたしたち探偵団がお話を聞きましょう」


 レイがノリノリだ。

 ホントに事件?


「さっき廊下に置いておいた撮影機材が忽然と姿を消したのよ!」


 なんだって⁉

 これは盗難事件!


「あの、撮影機材ってこれですか?」


 レイがテーブルの下を指さして言う。

 おや、これは一眼レフカメラやレフ板の入った袋。


「あ、あったわ! 良かった~!」


「さっきわたしたち探偵団の写真撮影してくれる人を探していたら、置きっぱなしになっていたのを見つけたので、壊したらいけないと思い部屋の中に入れておきましたよ」


 レイさんえらい。


「う~事件解決です~」


 ちょっと不満げなメイメイの事件解決宣言。

 何もトラブルがなくて良かったよ。


「ありがとう。探偵団のみんな」


 都がお礼を言いながら、機材を手に部屋から出ていった。


「せっかくの事件だったのに、レイちゃんすぐに解決しちゃダメです~」


 いやいやいや、盗難事件はマジだったらマジでやばいからね? 何もなくて良かったよ。


「すみませんでした。次からはもう少し調査をしてから見つけるようにしますね」


 レイ、そこは乗っちゃダメだってば。



「大変や~! あーしが作って冷やしておいたスイーツが冷凍庫から消えてるんや!」


「事件ですか~?」


「大事件や!」


 ナギチが大変深刻そうな顔をしている。またですかー?


「なぎささん、詳しくお話を聞かせてください」


 レイが、パイプたばこ風の何かを片手にナギチのもとに歩み寄る。

 相変わらず形から入るなあ。


「昨日動画撮影をしながら、バニラのアイスクリームを作って冷凍庫に保管しておいたんや。今日ちゃんと固まって完成した後の盛り付け写真を撮ろうと思ってな」


「もしかして、そのアイスクリームが消えちゃったんですか~?」


「せやねん。あとでみんなに振舞おと思って、けっこうな量を作ったんやけどな……」


 ナギチが伏し目がちに言う。

 うーん、まあ、なんとなくオチは読めるけど、

「ちなみにどこに保管してたの?」


「それはもちろん、食堂のおばちゃんに頼んで……あっ」


 ナギチは何かを思い出したようだ。


「盛りつけ用の写真を撮りたいから、ハルにゃんに頼んで隣の会議室の冷凍庫に移してもらってたんやったわ!」


「それで都に撮影機材を頼んだ、と?」


「せやせや。心配かけてすまんの。隣でちゃちゃーっと写真撮って、アイスクリームみんなで食べへん?」


 これはこれは魅力的なご提案。


「ということは~事件解決です~」


 メイメイ良かったね。

 今日も事件などは起きず平和な一日なのでした。

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