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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第二章 学園・大学病院 編

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第34話 ファンを増やす方法を考えよう

 デビュー告知から1週間。

 ≪初夏≫のメンバーは、それぞれの方針でSNSや動画の投稿はこまめにおこなっている。


 しかし、あまり順調な滑り出しとは言えないかもしれない。

 ハルルの4000フォロワーを筆頭に、他のメンバーは1000フォロワーを少し超えた程度。

 動画のほうもハルルの自己紹介動画と、あのあとシオがしれっとアップした長縄跳びの切り抜き以外はそこまで見られることもなく、ぶっちゃけて言って≪初夏≫はSNS戦略において伸び悩んでいた。


「なかなか動画も見てもらえないですね~」


 メイメイもすごく悩んでいた。


「そうだね……。コメントくれる人がわりと決まってきた感じがするね。固定のお客さんはとってもありがたいけれど、新しい人たちにも見てもらえる方法がないかなあ」


 どうしていったらいいのか、正直ぜんぜん思いつかないなあ。

 やっぱりここはみんなの知恵を持ち寄りたい……緊急会議かな⁉



* * *


「全員集まったわね。楓の提案で、緊急会議を始めます」


 都の号令から、シオがホワイトボードにお題を書き込んでいく。


『ファンを増やす方法を考えよう』


「残り3週間、スポフェスに向けてダンスや歌の練習もしっかりやっていかなきゃいけないんだけど、もうちょっとフォロワー数や動画再生数がほしいとは思いませんか?」


 ボクはほしいです!


「サクラもほしいです……。春さんがうらやましいです」


「えっ、私? たくさんフォローしてもらえるのはうれしいけど、変なコメントばっかりで反応に困るわよ……」


 ハルルが複雑そうな表情を見せる。

 売れかけている人のセリフだー。フォロワーたくさんになって言ってみたいセリフですね。


「けっこうがんばって撮ったんだけど、アイドルの歴史を語る動画はぜんぜん再生されないし……」


 そういうのを語りたいオタクたちは多いだろうから、生配信のネタとしては喜ばれそうではあるんだけどね。もうちょっとファンとの関係性が温まってからチャレンジしたいネタだなあ。


「あーしの『パティシエなぎさのスイーツ講座』はまあまあの反応やで? 再生数のわりにコメントが多いのが謎やけどな」


「見た見た。ナギチのところだけコメントの系統が違ってるよね。『かわいい』とか『きれい』とかじゃなくて、『火入れのタイミングは何秒から何秒ですか?』とか『次は失敗しにくいシュー皮の焼き方のコツを教えてください』みたいなのばっかり」


「コアなファンを押さえられているので、なぎささんの戦略勝ちです」


 レイがドヤ顔でメガネキランッしている。

 レイさんや?≪初夏≫内で再生数争いしてるわけじゃないからね?


「わたくしは趣味のピアノを弾いてみているのですが、ぜんぜん再生されませんわ」


 うーん。ウーミーはとりあえずコスプレしてピアノ弾くのが良いのでは? いっそのこと――。


「ウーミーは長縄跳び人気だし、縄跳び動画シリーズ出す?」


「楓……最低ね」


 ウタにシンプルに罵倒された。

 もはや、さん付けすらなくなった……。


「なんでよ! 需要があるならそれに縋ったって良いじゃない!」


「海さんに胸の揺れでファンを集めろって、あなたそう言ってるわけよね?」


「うっ……それは……」


 全部端折ってまとめるとそういうことになるんだけど……やっぱりいきなりその路線はないかあ。


「詩さん大丈夫ですわ。自分の武器くらいわかってます。少しずつそういう方面も出していくつもりでしたの。でも、それ一辺倒だとすぐに飽きられかねないので、他の可能性も探ってみたいのですわ」


 ウーミーは怒ったりせず、冷静に自己分析をしていた。

 胸が武器、ではなくて、胸も武器になる。たしかにそのほうがずっと強い存在になれるね。


「海さん……サクラも成長したいです……。普段いったい何を食べてらっしゃるんですか?」


「わたくしは、1日1スイーツを必ず。それとスイーツを作ってくださった方に感謝を忘れないことを大切にしていますわ」


「なるほどです。スイーツと感謝。深いです」


 サクにゃんがメモを取っている。

 たぶんその情報、役に立たないメモだよ……。

 ハルルもこっそりメモ取るのはやめなさいね?


「私は1日3スイーツですよ~」


 はい。ダイヤモンド会員様はさすがですね。メイメイはお腹周りが成長しないように気をつけましょうね。


「みんなの現状がわかったところで、ファンを増やす対策のほうに話を進めましょう」


 都がいったん仕切りを入れる。

 シオがホワイトボードに『現状把握よし』と書き加えた。


「みんなは1日どれくらいの投稿をしているのかしら?」


 都の質問にそれぞれが答える。


-----------------------------------------------------------------------

 不定期に投稿するから回数は決めていない:春、早月、渚

 朝晩のあいさつと食べたものを投稿する:桜

 毎時1回何かを投稿する:海

-----------------------------------------------------------------------

 こんな結果だ。


「朝晩のあいさつは良いわね。これを日課にしているアイドルの方は多いわね」


「一緒に自撮りを載せたりすると、ファンも軽く反応しやすいからね」


「たしかに、あいさつの投稿が一番コメントやファボも多いかもしれないです。次からは写真も載せてみようかな」


 サクにゃんはあいさつに手ごたえを感じている様子。


「これはみんなも真似してみましょう」


『朝と晩にあいさつの投稿をする。自撮り写真推奨』


 ホワイトボードに1つ有力な情報が書き加えられた。



「うみ先輩の『毎時投稿』の効果はどうですか?」


 レイが積極的にウーミーに絡みに行っていた。どういう心境の変化だろう。


「ええ、この間、零さんにアドバイスをもらった通りやってみてますわ」


 レイがウーミーにアドバイス、だと?

 まさか⁉


(はい、2人でこっそりデートしましたよぅ)


 マジか!

 ボク、その様子撮影してなんだけど⁉


(そういうのはまた次の機会にお願いしますよぅ)


 ええ……仲良くなれたの?


(もちろんです。また今度ちゃんとお話ししますね)


 おお、それは良かった。詳しくはまた教えてね。



「最初のうちはいろいろ工夫して投稿できていたのだけれど、最近はネタ切れ気味よね……。時刻と変顔ばっかりで『時報ちゃん』って呼ばれてるわね」


 ウタがちょっとおもしろがっていた。


「時報ちゃん。海さんかわいいですね!」


「わたくし1人で時報をするのはけっこう大変ですわ。もしよろしければ、みなさんでもちまわるというのはどうでしょうか?」


「なかなかおもろいアイディアやわ~。メンバー同士の絡みにもなるやろうし、次の人にお題を出しつつ、リレー形式で回していくんがよさそうやね」


 シオがウーミーのアイディアを肉付けしていく。


「お題に答える写真を用意するのは楽しそうですね~」


 メイメイも賛成のようだ。


「アイディアとしては良さそうだけど、毎時回していくのはけっこう大変そうだね……。1人1日1回くらいに回ってくるようにする?」


「8時台と23時台は可能な限り全員あいさつをするわけだから、9時、12時、15時、18時、21時のあたりを目安にしていくといいわね」


 さすがタイムキープに定評のあるウタさん。

 すぐさまシオがホワイトボードに書き加えていく。


「あとは無理のない程度に、日常のことを投稿して、自分のことを知ってもらえるようにしていきましょうか」


 都のまとめにみんなうなずく。

 これでいったんこなれるまでやってみて、どんな反応が来るかかなあ。


「あの~。私からもいいですか~?」


 まとまったので会議は終わり、という雰囲気の中、メイメイが手を挙げた。


「何かしら、早月さん」


「初投稿の時に~、カエくんとのツーショット写真を載せようとしたら、マネージャーの顔は載せちゃダメって言われたんですけど~、やっぱりダメなんですか~?」


 ええ⁉ あの話、まだ引っ張ってたの?


「メイメイ、マネージャーは芸能人じゃないからね? 他のアイドルさんたちも一般人の顔は映らないようにちゃんと加工しているよ?」


「でもでも~、せっかくかわいい衣装もあるし、マネージャーのみんなのこともファンの人たちに知ってほしいです~」


 うーん。どうしたものか。誰か助けて!


「うちは別にキレイに撮ってくれればSNSに載ってもかまへんで?」


 シオさん⁉ まさかの裏切りですか⁉


「私も別にかまわないわよ。春さんから一度も相談されてないから今のところ撮っていないだけかしらね」


「え、そうなんですか? 私は暗黙の了解でマネージャーは写真に撮っちゃダメかと思って……ミャコさんがいいならツーショット撮りたいです!」


「ええ、撮りましょう」


 赤の2人がすごく楽しそう。


「みんながそうなら私も別にかまわないわよ」


「わたしも……少しはずかしいですけれど、みなさんと一緒に盛り上げていきたいと思います」


 ウタもレイも肯定。何この流れ……。

 

「わ~い。じゃあせっかくだから、今全員で会議してました~の写真を撮って投稿しませんか~?」


 マジか。

 うー、まあ、みんながいいなら別にそこまで反対することでもないかな。


「私、写真撮ってくれそうな誰かを適当に捕まえてきますね」


 メイメイがスキップで会議室を出ていく。


「私たちは並んで待ちましょうか。前列に≪The Beginning of Summer≫のみんな。その後ろにそれぞれのバディが立つような構成にしましょう」



 並んで待っていると、メイメイが花さんの手を引いて帰ってきた。


「なんや。花ちゃんやんか」


「休憩にコーヒーを買いに出たら、写真撮れって強引に連れてこられたわ」


 それはそれはお疲れ様です。


「――というわけで、今日の会議の様子をSNSに投稿しようと思いまして」


 都が端的に説明する。


「ふ~ん、そうなの。投稿用なら全員衣装に着替えたバージョンも撮りましょう。せっかくの初集合写真なのにラフな普段着だけじゃ味気ないわよ」


 なるほど、そういう考え方もあるか。


「全員の端末でいろいろなパターンを撮るわ。ここに端末並べなさい。全員それぞれのアカウントで投稿するんでしょう?」


 花さんさすがだわ。テキパキ。


「まずは私服の写真を撮っていくわ。集合以外も撮るから適当にしゃべったりお菓子食べたりしていなさい」


 ソロ写真やバディ写真、何人かまとまってポーズを取ったりと、5人の端末のカメラロールにたくさんの写真がたまっていく。

 私服の集合写真から、衣装に着替えての写真撮影まで、ものの30分程度でかなりの枚数が撮られた。


「これでいいわね? 私は仕事に戻るから、各自バディと相談しながら写真にOKNGをつけて投稿しなさいね」


「「「「ありがとうございました!」」」」


 みんなで最敬礼してお礼をすると、花さんは「がんばりなさいよ」と笑いながら会議室から出ていった。


 その日の会議写真は、各自4枚を厳選することにして、悩みに悩んだ末投稿した。

 その投稿で、5人とも自身のこれまでの最大ファボ数を大幅に更新したのだった。

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