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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第二章 学園・大学病院 編

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第33話 18時。情報解禁

 18時。

 各メディアから情報が発信され始める。

 事務所公式サイトでも告知が開始されたので、SNSアカウントの運用スタートだ。

 予約投稿が表示されるのを確認しつつ、メンバー間のフォローを済ませる。


 フォローの通知がひっきりなしに来るようになったので、慌てて設定変更を指示。フォロワーが100人を超えたあたりから、初投稿にコメントがつき始める。


“ようやく情報解禁! オーディションの時からまってました”

“ブルーちゃんに最初から決めてた”

“ブルーちゃんにやっとあえた!”

“となりは代理ちゃん? おそろいの衣装だ!!!! 顔見たい!!!!!”

“公式から来ました”

“はじめまして。公式チャンネルの情報ください”

“かわいいですね。全身写っている写真が見たいです”

“なんて呼ばれたいですか? 公式な愛称は決まってますか?”

“声がききたい。動画載せて”

“めっさ美人。推せる”


「おお、いっきに反応が!」


「カエくん! 私にファンの人がコメントくれました~」


「そうだね。うれしいね。ブルーちゃんっていっぱい書いてあるから、オーディションの生配信見てくれた人がけっこうきてくれてるみたいだね」


 いきなり反応があるのはめちゃくちゃうれしい。

 ダブルウェーブは事務所全体の公式情報をまとめている会員サービスが存在している。

 そこで今日デビューのアイドルグループがあるという先行情報が出ていたのでそれを見てくれた人がいるんだろうね。

 ほかには、この間の公開オーディションの時も事務所の公式サイトで告知されていた。いわゆるアイドル青田買いの人たちが事務所にはついてくれていて、アイドルのデビュー時にはスタートダッシュ的に盛り上げてくれる仕組みになっている。とてもありがたい。


「そっか。この人たちが言っているように、公式チャンネルの情報載せたりしないとね。プロフ欄更新しよう」


 事務所の会員になってくれている人たちは、ボクたちよりもダブルウェーブのやり方を熟知している。抜けていることがあれば教えてくれる。ありがたやー。

 とりあえず公式チャンネルのリンクと――。

 メイメイが高速でプロフを更新していく。手慣れてるね。これは、もう任せておいてチェックするだけでいいか。


「ん。『私のことはメイメイって呼んでください』って書いてるけど、それで大丈夫?」


 念のための確認。

 プロフに書いたら公式な発信になる。あとから愛称を変えるのはとても難しい。まあ、複数の呼び方がある人もいるけどね。


「もちろんです~。世界中の人にメイメイって呼んでほしいです」


 ま、まぶしい笑顔!

 一緒に世界デビューしようね!


「がんばろう! あとは……メンカラー載せたね。好きなものはスイーツ。スイーツ動画たくさん撮ってるのでよかったら見てください、で公式チャンネルへのリンク。とりあえずOKかな」


 更新更新、と。


「あとはそろそろ次の投稿かな。自己紹介動画へのリンクを載せて宣伝しよう」


 こっちでは動画の再生数もチェック、と。

 まだ2桁か……。SNSの閲覧ほどは伸びないなあ。って! ハルルの自己紹介動画だけすでに1000再生超えてる、だと⁉


「ちょっと、ハルルの動画の再生数すごいじゃん!」


 となりに座っているハルルに声をかけてみる。


「え、ホント? 見てなかったわ。こんなに⁉ まだ5分くらいしか経ってないのに1000再生も⁉」


「よっしゃ! うちの狙い通りや!」


 ハルルは純粋に驚き、シオがガッツポーズを取る。

 ≪初夏≫公式チャンネルのフォロワーがまだ100ちょっとなのに、これは何事? あの恋愛ゲームみたいな動画がみんな好きなのか……。メイメイのスイーツ動画のほうがしあわせな気持ちになれると思うけどなあ。


「春さんおめでとうございます! サクラのロボット研究動画はぜんぜん再生されないです……」


「ありがとう。でも私が撮った動画じゃないから複雑な気持ちよ。サクラの動画はきっと理系の学生たちに人気になるわ。じわじわくるはずよ」


 じわじわねえ。いくら好きなものをテーマにっていっても、ロボット研究は大学の卒論発表じゃないんだから、ちょっと重たすぎないですかね?


「サクにゃん……次はネコ語でしゃべる動画にしてみるのはどう? ロボット研究はもうちょっとファンを調教して耐性をつけてからにしたほうが……」


「カエちん、ファンに媚びたらあかん。桜さんには桜さんの情熱を伝える義務があるんや! ほとばしる情熱を漏らさず動画にぶちまけてほしいんや!」


 シオの動画への熱い想いが語られる。

 うーん。たしかにそうかもしれない。受け狙いをして安易にファンを増やしても、自分のキャラと合わなければあとで苦しくなるだけ、か……。


「ごめんシオ、サクにゃん。ボクが間違っていたよ。ぜひロボット道を究めてください!」


「にゃー。サクラ、ぜんぜん怒ってないにゃん。にゃーにゃー。ロボにゃん動画どんどん撮るにゃん」


 サクにゃん……。あなた、媚び媚びネコ語動画撮る気ですね?

 ファンに媚びない情熱はどうしたああああああああ!



「ほら、みんな! しゃべってばかりじゃダメよ。手を動かして! 初日の動きはとっても重要よ」


 都から檄が飛ぶ。


 やばい、にゃんにゃんサクにゃんに夢中になって忘れてた!

 メイメイのほうを見ると、端末に向かって一心不乱に何かを打ち込んでいた。


「メイメイ? いったい何を?」


「マンガ原作用の小説を書いてました~」


「えっ、マンガ原作⁉ 今⁉ 今はほら、注目が集まっているうちにSNS投稿しよう?」


 マイペースすぎる! とっさに言葉が出てこず、普通に注意してしまった。

 ていうか、メイメイって小説とか書くんだ?


「私のことを知ってもらうにはいいのかな~って思って、原作小説を投稿したので、そのリンクをつけようかと」


「ちょちょちょ! 待って待って! 公式経由じゃないものはダメだよ、怒られちゃう!」


 危ない。

 一瞬でも目を離したらとんでもないことが起きてしまう予感……。


「さっきアカウント作って書き始めたから公式です~」


「公式っていうのは、そういうことではないんだけど……。事務所の許可したサービスで、事務所の用意したアカウントを使わないと何かあった時に対処できなくなるからダメなんだよ……」


「良いアイディアだと思ったんですけど~」


 メイメイはとても残念そうだった。

 しかし意外だ。

 口下手な分、文字は饒舌だったりするのかな?


「これまでも原作小説書いてたりするの? どんなジャンルなの?」


「はい~。寝る前に毎日書いてますよ~。今書いているのはアイドルに恋した女の子の話です~」


「恋愛系なんだね。どんなお話なの?」


 単純な興味。

 メイメイの考える恋愛ってどんな話なんだろう。


「人気VTuberアイドルの子に恋をしている子のお話です。毎日その子の配信を見ているんですけど、そのアイドルの子が好きすぎて、そのアイドルの子みたいになりたくて、ってお話です」


 ふむふむ?


「VTuberの子は、歌ったり踊ったりゲームしたりする配信を毎日していて~、そうそう、ちょっとSっぽい女の子なんです~。視聴者さんを『ドル箱ちゃんたち』って呼んでたりします」


「え? そのVTuberって女の子なの?」


「もちろんそうですよ~」


 もちろんときたか。アイドルに恋した女の子の話……ゆりゆりだ~!


「主人公の女の子も……その、ドル箱ちゃんの1人なの?」


「そうですよ~。お小遣いからスパチャして、いつもVTuberの柊アクア(ひいらぎあくあ)ちゃんから『少ない!やりなおし!』って言われてます~」


 ちょっと! 最低だな。柊アクアちゃん!


「主人公の火野麻衣華(ひのまいか)ちゃんは、柊アクアちゃんのことが好きすぎて、実はお金いっぱい持ってるのに、わざとちょっとしかスパチャしないで怒られて。でも怒られてたらいつか覚えてもらえるかなって、がんばっています~」


 その火野麻衣華ちゃんも大概だな!


「火野麻衣華ちゃんは柊アクアちゃんの配信がない時は、柊アクアちゃんになりきってダンジョンで遊んでいます~」


「なりきり……。本人になりたいほど好きなんだ……」


 火野麻衣華ちゃんの性癖がディープすぎる!

 今のところ登場人物2人ともちょっとおかしい。


「キャラメイクも完璧で、いつも『本人ですか?』って声をかけられてます」


「大丈夫なの、それ? 権利関係とか」


「『スパチャもしないでアクアに話かけるなんて、子分のオークに襲わせるわよ!』の決めゼリフでいつもはぐらかしているから大丈夫ですよ~。ギルドにも入らずにソロプレイなので~」


 アクアちゃんの決めゼリフが強い……。オークに襲わせるって! いや、そのなりきりプレイって楽しいのかな……。


「でもある時、ダンジョンの中で初心者のキャラに声をかけられて~」


 ふむ?


「それが実は柊アクアちゃん本人で~」


 え、なにその気になる展開!


「こらっ、楓! 早月さん! ずっとおしゃべりしていないで手を動かしなさい!」


 都の雷が落ちてしまった……。めっちゃ気になるところで……。


「メイメイ、とりあえず撮りだめてあるスイーツの写真とか投稿しようかっ!」


「はいです!」


 メイメイは背筋をピンと伸ばして、写真選定に入った。


「小説のリンクはダメだけど、あとで読みたいから、いつものメッセでリンク送って?」


「恥ずかしいからイヤです~」


 ええっ⁉ 世界中に発信しようとしてたのに⁉

 あとで検索してやるー!

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