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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第二章 学園・大学病院 編

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第32話 初投稿はどうする?

「正式な衣装はこれかあ。みんな似合っててかわいいね」


 14時。

 予定通り≪初夏≫の5人は宣材写真撮影を始めている。

 濃紺を基調とした軍服っぽいワンピースのステージ衣装だ。フリルとロイヤルブルーのリボンがたくさんついていてかわいい。

 しかしまあ、こういうのってメディア露出の当日に撮影するものなのかな? ギリギリすぎやしない?


「カエくんも似合ってますよ~」


「あ、うん……ありがとう、メイメイ!」


 そして、マネージャーもステージ衣装って着るものなんですかね⁉

 なぜかボクたちマネージャー5人にも、≪初夏≫と色違いの衣装が配られて、撮影の際に着用を命じられていた。

 ちなみに、いつものジャージと同じ。えんじ色だ。


 なんなら≪初夏≫の撮影前に、照明のチェックやらの都合で、≪ペンタグラム≫のほうが先にカメラリハと称して、宣材写真を撮っちゃっているからね?

 まあ、リハーサルだし、さすがにどこにも露出はしないとは思うけれど……。



 ≪初夏≫5人での撮影が終わり、ソロ用の写真撮影が始まる。

 ここで撮っている中からSNSのアイコン用の写真を選んだりするんだよね。あとはグッズ用? まさかいきなりブロマイドを売ったりは……うーん、するかもしれないな。


 無難に撮影を終えたハルルの後、意外や意外、サクにゃんが苦戦していた。

 カメラマンの要求にうまく答えられず、オロオロしてしまっている様子。バディのシオはそれをニヤニヤしながら眺めている。ちょっとは助けなさいよ!

 あーでもない、こーでもないと、カメラマンから指示されて、ようやくなんとかネコミミありで落ち着いたみたいで、サクにゃんはソロ撮影を終えていた。


 次はメイメイだ!

 うおおおおおおお! めっちゃ決まってるぅぅぅぅぅぅ!

 ひいき目なしに立ち姿がモデルのそれ。あれからもMINAさんに教えてもらったりしてるな、これは。

 衣装も青だし、勝ったなこれは!

 めちゃんこかっこよくて、今日もメイメイのファンになりました!



* * *


 無事撮影も終わって、全員にSNSアカウントが配られた。

 おー、さっき撮ったばかりのアーティスト写真がアイコンになってるー。みんなホントにデビューするんだなあ。


 SNS運用時の注意事項は簡単にまとめるとこうだ。

・投稿可能時刻は8時~24時の間とする。

・投稿のペースはバディとの話し合いによって決定するように。

・外では特定を避けるためにリアルタイム投稿しないように。

・写真や動画をアップする時は、バディのチェックを受けるように。

・新曲の情報などは、メディア解禁日を確認して厳守するように。

・ダブルウェーブ公式、ダブルウェーブ所属タレント以外のアカウントのフォローは原則禁止。共演者等のフォローについてはバディと相談の上決定するように。

・アカウント切り替え間違いによる事故を防ぐために、個人のSNS運用は非推奨。どうしても個人のSNSアカウントを利用したい場合は支給端末以外で行うこと。

・投稿のコメント欄に反応したい場合は、コメント欄に直接返信せず、新しい投稿を立ててなるべく個人向けではないように反応すること。

・他メンバーの投稿は積極的に引用投稿して、相互にファンが行き来することを意識するように。


 うーむ。細かい。もうほかに何言われたか忘れた。

 要するに炎上するな、ということなのだろう。

 メイメイはそんなに多くの投稿をするほうではないし、自撮り写真も少ないし、まあ、あまり心配はしていない。

 隣で青い顔をしているサクにゃんのほうが心配すぎる!


「うちの自動チェックツールをかましたるし、そんなに心配しなさんなって」


 シオがサクにゃんの背中をバンバン叩いていた。

 シオさん、それはほかのみんなも使えるツールですか?



 そうこうしている間に、もうすぐ18時。

 デビュー告知の時間だ!

 公式サイトの投稿は予約済みになっているし、各メディアへの情報配信も新しい衣装の写真に差し替えが済んでいる。準備はばっちり。

 

 ≪The Beginning of Summer≫公式チャンネルも準備が終わっていて、公開と同時に複数本の動画が閲覧可能になる手筈になっている。

 あとは、公式サイトにSNSアカウント情報が出れば、各メンバーの活動開始だ。


 ワクワク半分、ドキドキ半分。


 メイメイのほうをちらりと見る。

 意外と落ち着いている、というか、いつも通り?


「メイメイは緊張したりしないの?」


「私ですか~? 今日は生配信枠もないですし、とくには緊張してないですね~」


 そういうものなのか。メイメイは大物だなあ。

 自分のプロフィールが公開されて、世の中に広まっていくというのに、そこに思うところは何もないのかな。


「まずはどんな投稿をするか決めてる? そろそろ予約投稿したほうがいいかな?」


 最初は無難にあいさつかな。

 1つ目から写真を載せるか迷うところ。


「そうですね~。あ~そうだ。カエくん、ちょっとこっちに寄ってください」


「ん? 何?」


 少しメイメイのほうにイスを寄せると、メイメイがボクに顔を寄せて自撮りした。

 初のツーショット自撮り! ください!


「ん~、色違いの衣装かわいいです~」


 メイメイはカメラ目線で、超絶かわいく撮れていた。プロのメイクさんの撮影用メイクはいつにも増してきれいに映るなあ! 

 一方ボクは、いきなり顔を寄せられたことに驚き、目を見開いているところだった。


「メイメイ、ボクの顔はそのまま載せちゃダメだよ?」


 初投稿に使われたら困る。


「なんでですか~。こんなにかわいいのに~」


「いや、ボクはマネージャーで一般人だからね? ちゃんと顔がわからないように加工してからなら許可を出すけど」


 ぶーぶー文句を言いながら、メイメイはボクの顔のところにニコちゃんマークのスタンプをかぶせる。

 他のメンバーやスタッフの映り込みもなし、ヨシッ!


「『はじめまして、≪The Beginning of Summer≫夏目早月です。大好きなマネージャーさんとツーショット♡』これでいきます~」


 おおおおおおお⁉

 だだだだだだ大好きだとおおおおおおおお!

 大丈夫? 炎上しない? もしかしてボク、明日死ぬの?


 ぼんやりとメイメイを見つめてしまう。

 あ、そうだ。


「ねえ、メイメイ。グループ名のことなんだけど。急に≪六花≫から≪The Beginning of Summer≫に変わったじゃない? そういうのってどうなの? みんなぜんぜん何も言わないけど」


 もっとグループ名に愛着があって、事務所に抗議したりとか、そういう動きはないんだなあと思うとちょっと不思議。


「私はすんなり入ってきましたよ。もともと≪六花≫という名前は、デビューするまでの愛称みたいな位置づけで決めてましたから。今からデビューなので、もう私たちはつぼみじゃないです。新しい私たちがこれから始まるのでがんばります!」


 なるほど。そういう納得の仕方なんだね。勝手に気を揉んでいただけってことかあ。みんな大人なんだなあ。


「わかった! 教えてくれてありがとね。≪The Beginning of Summer≫スタートだね!」

 

「はい、私、がんばりますね!」


 うん、一緒にがんばろうね!

 とうとうメイメイが世界に見つかっちゃうなあ。

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