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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第二章 学園・大学病院 編

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第26話 スイーツ作りはどうしてこうなった?

「どうしてこうなった……」


 ボクとメイメイは、調理場の裏口に立たされていた。


「どうもこうもないわよ! あなたたちがボヤ騒ぎを起こして警報機を鳴らしたせいでしょ!」


 花さんは怒っていた。

 いや、怒っているなんてもんじゃなかった……。マジのマジギレだった……。

 シェフのとっさの判断で、管理会社への連絡がスムーズだったおかげで、ギリギリ、ビル全体でスプリンクラーが回らなくて本当に助かった……。電子機器が大変なことになったら、きっとボクたちの怒られ方もこんなもんじゃすまなかっただろう……。


「シェフの言う通りに作っていたのにおかしいです~」


 メイメイは首をひねっていた。

 

 えっ! シェフの言う通り⁉

 ぜんぜん違ったよ……。原型がないくらい好き勝手アレンジしてたじゃん……。最終的に電子レンジで卵をひよこにしようとしたじゃん……。


「2人とも反省文100枚!」


 ええ……ボクがやったんじゃないのに……。


『プリンを作ろうとしたら電子レンジが爆発しました。古い電子レンジは危ないので、早めに買い替えたほうがいいと思います』


「ちょっと、メイメイ!」


 それは反省文じゃないよ。もっと怒られるから今すぐ書き直そう?

 でも、反省文書くにもこのままのかっこうだと集中できないんですよ……。

 卵臭くて……。


「花せんせー。先に着替えを……エッグスプラッシュを食らって……体が生臭いんです……」


 それ以外にもいろいろ頭から浴びてひどいことになっているんですよ。ヌメヌメします……。


「早月をきちんと監督できなかったあなたの責任! 罰としてそのまま反省していなさい!」


 花さんは猛烈に怒っていた。

 きっと上から怒られるのは花さんなのだろう。

 メイメイを野放しにして本当にごめんなさい……。


 ボクは無言で席に座りなおした。ぬちゃー。


「料理を教えてもらう相手を間違ってしまったか……」


 メイメイが料理できなそうなのはなんとなく知ってはいた。以前もそんな話題が出たことはなかったし、自炊しているふうでもなかったし。

 でも、今回は予想できなかったなあ。

 最初からメイメイに直接料理を教わる気はなかったからね。シェフを紹介してもらって、料理講座まで開いてもらえた。そこまでは完璧な流れだったんだよ。

 シェフの目すら欺くほど、やりたい放題のメイメイさえ登場しなければ……。

 だってさー、有精卵だからって、電子レンジじゃ絶対にひよこにはならないよ……。


『今度メイメイに渡す卵はうずらにします。あれならうまくいけば手で孵化できるらしいので』


 反省文はこれで良いかなあ。

 あーあ、誰かスイーツ教えてくれる人いないかな……。



* * *


「えっ、ナギチお菓子作りできるの⁉」


「なんや、その疑いの目は!」


 失礼ながら、正直めちゃくちゃ意外だった。

 海に刺身がそのまま泳いでいると思っていそう、って考えていてすみませんでした!


「ううん、疑ってないよ! 尊敬のまなざしだよー」


「ほんまか? 人を見た目で判断したらあかんで?」


「ナギチは料理が好きなの?」


「ちゃうちゃう。スイーツ専門や」


「そうなんだ。なんでまたスイーツだけなの?」


「アイドルと言ったらスイーツ作り。そして映えや!」


 ふっふっふ、と不敵な笑みを浮かべていた。

 ナギチってなんかこう、意外とアイドル研究しているんだよね。お笑い関連に手を出しているのも、そういう勉強の成果の1つなんだろうなあ。前の時はあまり気づかなかったけれど、1つ1つの仕事が細かくてていねいというか、ちゃんとアイドルしてるんだよね。……ダンス以外。


「――という事情で何かスイーツを手作りしてみたいんですよー」


 かいつまんで経緯を説明する。


「なるほどな~。そういうことならあーしが一肌脱いだるわい!」


「きゃー、ナギチ先生ステキ―!」


 ナギチの姉御肌!

 今度は絶対メイメイ抜きで教えてください!


「ボク料理初心者なんですけど、何なら作れるでしょうか……」


 できれば爆発しないやつで……。


「失敗しないのは……クッキーやな。あとはカップケーキか。でも夏やしな~、ゼリーなんかええんちゃう?」


「おお、ゼリー! 冷たくて良さそう!」


「何をトッピングするかでオリジナリティを出せるし、映えも狙えるで~」


「映えはまあ……でも、かわいいほうがもらった時テンション上がるよね!」


 レイも喜んでくれそう!

 かき氷をおいしそうに食べてたから、冷たいスイーツは好きでしょう!


「ナギチ先生、ゼリーでお願いします!」


「よっしゃ、まかしとき~。早速買い出しに行くで~。レッツゴ~!」


「はい先生!」


 ナギチの号令に従って2階の雑貨屋さんへゴー。


「まずはゼラチンパウダー。それとフルーツ缶とサイダーやな。あとはグラニュー糖とレモンの果汁……よし、そろったで」


「おおーそろった! 意外と材料少ない」


 何を言っているのかさっぱりわからないけれど、こんな材料でゼリーができるのかあ。


「場所はカエちゃんの部屋でええか? 今日はレイちゃんは教授のところだやろし、問題ないやろ」


「そうですね。戻りは夜になるでしょうから大丈夫かと」


 今日レイは師匠のところで定期健診をしているらしい。

 帰ってきたらゼリーができていて、きっとレイも驚くぞー!

 わくわく。



「さっそく作り始めるで~。まずはよく手を洗ってな」


「はい先生!」


 まずは念入りに手を洗って、と。


「ゼラチンパウダーと水を少しずつ混ぜて、レンジで10秒。溶けるまで10秒追加な」


 ふむふむ。ぽよんぽよん。


「粗熱を取って、あとはちょっと冷えてくるまで待つ。その間にフルーツ缶を開ける」


 フルーツミックスの缶詰。最後に上に乗せるチェリーもあるよ!


「ゼラチンが冷えてきたら、サイダーとレモン汁を入れてゆっくり混ぜる」


 ゆっくり。炭酸が抜けないように。


「そんなもんでええやろ。ラップをして冷蔵庫で15分くらい冷やしてな」


「なるほど!」


 冷蔵庫に入れて、タイマーをセット。ピピッ!


「その間にフルーツをちょっと細かく切る。それくらいは包丁使えるんか?」


「ま、まあ、たぶん……?」


「よしゃ、包丁はやめや。こっちのお皿の上に出して~スプーンで十分や」


「おお、それなら!」


 みかんやキウイを1口サイズにスプーンで細切れにしていく。

 これなら楽勝!


 タイマーが鳴って15分経過を知らせてくる。


「ほい、時間やな。冷蔵庫を確認しいや」


 冷蔵庫を開けて、ゼラチンの様子を見る。

 どうなんだろう。良いのか悪いのかさっぱり……。


「ゆらしてみ」


 プルンプルン。

 ゼリーって言われるとゼリーっぽいけれど、微妙にゆるい?


「ええ感じやな」


「あ、そうなの? ゼリーってもうちょっと固い物かと」


「今回のゼリーは途中でフルーツを重ねて混ぜるからそんなもんでええんや。固いのは若干難しいんやで?」


 そうなんだ。これで合ってるならいいね!


「こっちの器に、ゼリーを4分の1くらいスプーンですくって入れて、その上にフルーツを少し入れて、またゼリーを4分の1くらい入れて、と繰り返す」


「こうですかね?」


「ええで。なかなか筋がいい。おっと、あまり器いっぱいまで入れずに、そんなもんや。最後にチェリーを乗せたら完成や!」


「やったー! 完成!」


 すごい! ちゃんとフルーツゼリーだ!


「うまくできたなあ。あとはふんわりラップをかけて、レイちゃんが帰ってくるまで冷蔵庫で冷やしておくとええで」


 おお、冷え冷えー。


「残りの材料で何個か作っておいたから、これも冷蔵庫に入れといてな」


「ナギチ先生仕事が速い!」


「なれたらカエちゃんもすぐできるようになるで。スイーツ作りは回数をこなしたらある程度は誰でもできるようになんねん」


 なるほどね。

 ちょっとがんばって続けてみようかな。

 完成するとうれしいものだね。


「今日は本当にありがとうございました! また今度違うスイーツを教えてください!」


「お、今日ので楽しくなったんか? 次はあーしたちのデビュー後にSNSに載せる用の特別映えるやつを作るから、しっかり手伝ってもらうで?」


「はい、がんばります!」


 スイーツ作れる女子はポイント高いよねえ。

 ナギチ先生ステキよ!


 レイ、喜んでくれるといいな。

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