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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第二章 学園・大学病院 編

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第23話 シオセンセ襲来

 ハルルと別れて部屋に戻る。

 楽しかったなあ。そして喪失感が半端ない。

 でも早く帰ってかき氷をレイに渡さないと溶けちゃう。

 


「おかえりなさい」


「レイ、ただいまー」


 今日もお疲れさまだねー。

 お土産を、ん?


「ご飯にしますか~? お風呂にしますか~? それとも……」


「か・き・ご・お・り?」


 メイメイ、なんでいるの!?


「ふわふわのかき氷が食べられると聞いて駆けつけました〜」


 MYスプーンを用意して準備万端のご様子。

 そんなことどこから聞きつけたのか……ってまあ、出所は1つしかないか。


「レイさん……?」


「大きそうだったので、みんなで食べられるかなと思いまして」


 レイが良いなら、ボクはもちろん良いけどね?


「見た目は大きいけど、口の中であっという間に消えるし、ペロッといけちゃうからね!」


「キンモクセイ楽しみです〜」


「香りが良さそうなのはわかるのですが、味はどんな感じなのでしょうね。想像がつきません!」


 メイメイもレイも期待が高まっている。

 ボクもホント気になってる! マンゴーと杏仁豆腐は具材もたっぷりで味もある程度見た目から想像はつくじゃない? 香り系はわからないよね。スタバのブーケティーラテみたいな感じなのかな?


「どんなだろうね。バラとキンモクセイ迷ったんだよね」


 これがおいしかったら、絶対バラも食べに行くって決めているけどね!


「いざ、期待を込めてオープン!」


 クーラーボックスを開けると、中にはなんと小さなクーラーボックスが! なるほど、2重に保冷しているようだ。


「気を取り直して、さらにオープン!」


 おお、今度はプラスチックの洗面器が出てきた!

 器と同じくらいの大きさのフタがついていて、なんなら白いボールに見える。


「厳重ですね……」


「それだけおいしいのかと……」


「氷だから溶けちゃったら大変だからね……かき氷ちゃんは無事かしらっと?」


 勢いよくボールを真っ二つに、もといフタを取ってみる。


「お、意外と形保ってるね」


 お店で食べた出来たての時よりは、ちょっと水っぽい感じはあるけれど、それでもきめ細かく削り出した氷が形を保っててすごい!


「ん〜あ~キンモクセイの香りがします〜」


「本当に良い香りですね」


 2人がかき氷に顔を近づけて匂いを嗅いでいた。

 どれどれ、ボクも嗅いでみよう。


 鼻を広げて空気をいっぱいに吸い込む。

 うおーたしかにキンモクセイの香りだ!


「えーすごいね。ホントにキンモクセイだ」


「この匂いクセになります〜」


 メイメイがスーハースーハー鼻息が荒い。


「香りも良いけど味もね? 室温にさらしたせいで、あっという間に溶け始めてるから食べよう?」

 

 キンモクセイ水になる前にいざ実食!


「かえでくんからどうぞ」


 レイが付属のプラスチックスプーンのビニールを開けて渡してくれようとする。


「いやいや、これはお土産だから、レイからどうぞ!」


「え、でも……」


 スプーンを押し返してレイの手に持たせようとしても、躊躇してなかなか受け取ろうとしない。


「ほら早く! 溶けちゃうよ!」


 半ば無理やりにスプーンを握らせる。


「間をとってゲストの私からいただきます〜。パクリッ!」


 メイメイがかき氷のてっぺんに躊躇なくMYスプーンを突き刺して、山盛りに氷を掬う。

 おっふ。さすが食堂のダイヤモンド会員、迷いなし!


「香りが! 濃厚なキンモクセイの香りが鼻を抜けて至福です〜。これは星3つですわ〜」


 最高評価いただきました!

 でもなんでウーミー風なの?


「わ、わたしもいただきます!」


 レイの手に握られたスプーンが高速でかき氷の山に突き刺さる。

 遠慮せずにどうぞどうぞ。


「ん〜おいしいですね!」


 レイは目をつぶり、ほっぺたに手を当てて香りと冷たさを堪能しているご様子。

 かなり好評だ!


「よし、ボクもちょっとだけいただこう」


 まだあまり溶けていないあたりを、と。


「ンフー、良い香りー!」


 甘さと香りが鼻に抜けて、これはある意味マンゴーを超えたね!

 果実がない分あっさりテイストなんだけど、鼻をくすぐるキンモクセイの香りの中毒性がやばい。こんな食べ物の誕生をなぜ神は許してしまったのか!


 

「「「ごちそうさまでした」」」


 3人で食べたらあっという間になくなってしまった。


「ほかの花の香りシリーズも制覇したい! 今度みんなで行こう!」


「ぜひいきましょう!」


 レイが乗り気だ。喜んでもらえて良かった。ハルルサンキュー!


「私はシェフを連れて視察に……」


 メイメイはあの食堂で一体どんな立場なの?

 もはやお客さんの域を超えてしまってないですかね?


 ピンポーン。

 部屋のインターフォンが鳴る。


「おや? 誰か来たね」


「わたしがお呼びした方かと。見てきます」


 レイが立ち上がり、玄関のほうへ向かう。

 なんだろう。何かの注文かな? でも宅配はエントランス経由で専用配送だから、チャイムは鳴らされないか。


「うちがきたで~」


 レイのお客さんはシオだったようだ。

 わりと上機嫌な雰囲気でご登場。


「いらっしゃい、シオセンセ」


「お、今日の主役と、早月さんか。仲良しやんな~」


「は~い。私もお邪魔してます~。メイカエレイ探偵団はいつも仲良しです~」


 たしかになぜか3人でいることが多いね。

 レイのバディのナギチは研究で忙しそうで、あまり遊んでくれないもんね……。


「シオセンセは今日どうしたの? レイに呼ばれたんだっけ?」


 レイのほうを見やると、レイは静かにうなずいていた。


「頼まれてた編集、一気にやっつけといたで。大ボリュームの超大作で困ってもうてん。苦肉の策で3部作に分けておいたわ。これなら第1弾だけで自己紹介に使えるやろ」


 シオとレイの会話の内容がぜんぜん見えない。

 何かの動画の話か。自己紹介って言ってるし。


「まあ、今回はおもしろい体験させてもろたわ。1人称視点をそれぞれ撮るなんてよう思いついたな」


「ええ、ただの1人称だとありきたりかと思いまして」


「その発想は天才やわ。これはバズるで! 心の声の原稿も秀逸やし、気合入ったわ!」


 なんだか2人で盛り上がっている様子。なんだがそうとう良い出来の動画に仕上がっているようですね?


「楽しい動画ですか~? 私も見たいです~」


 メイメイが手を挙げた。

 ボクもボクも!


「みんなで見よか! 春さんを待ったほうがええか?」


「いいえ、まずはこのメンバーで。はるさんには提出後に報告しましょう。みやこさんにはさっき話は通しておいたので大丈夫かと」


「さよか。ミャちゃんが知ってるなら安心やんな」


 ふむ。わりと話が大きそうなことだけはわかる。

 話をまとめるとこうかな?

 シオセンセが編集したのは、レイがなにやら天才的な発想で思いついたハルルの自己紹介動画3部作で、興奮するほどの良い出来栄えになっている? そして都に許可を取って、花さんに第1部を提出して正式な自己紹介動画とした?

 ふむ。なるほどよくわからない。


「よし、配線つながったわ。テレビに映すで~」


『新垣 春♡あなたとデートしたいな』


 ふむ……題字がなんか、カラオケで流れる映像みたいな入り方……。

 って、あああああああああ!!


「ちょっと! これ!!」


 さっきのハルルとボクのデートの映像じゃん!


「しっ、カエちん黙ってて」


 え、何でボク怒られてるの?


『急にいなくなるんだもん、びっくりしたよ』

“けっこう人が多くて、すぐにはぐれちゃいそう……”

『じゃあ、はぐれないように手でもつなぐ?』


 ああ、ボクの1人称視点のデート動画なんだ。

 ボクのセリフはテロップになってて、見た人がデートの疑似体験をする作りね。こういうのあるある。


『ホントに? 私、変じゃない?』

“ホント似合ってるって! それで街を歩いたらアイドルにスカウトされちゃう”

『そんなに褒めちゃう? うれしいけど、やっぱり自信ないよ……』

“ハルルはかわいい! ホントにかわいいから自信をもって!”

『ありがとう。うれしい!』

“やっぱりアイドルにならないで”

『えっ?』

“ハルルがアイドルになったらボクだけのハルルじゃなくなっちゃう……そんなのいやだ!”

『え……でも……』


 → 「ずっとボクだけのアイドルでいてほしい!」

   「ごめん、なんでもない。ハルルのこと応援してる!」


 なにこれ? こんなシーンあったっけ? ボクもハルルもこんなこと言っていない気が……。

 しかも動画で選択肢出てるんですけど? これ、どこからか恋愛ゲームになってない?


「カエちん、どうするんや⁉」


「どうするんやって言われても……え、これボクが選択する流れなの?」


「かえでくん、早く選んでください! 時間制限があります」


 え、時間制限⁉ ホントだ! あと15秒⁉


「え、ええええと、こっち!」



“ごめん、なんでもない。ハルルのこと応援してる!”

『うん、ありがとう……。私、アイドルになってステージに立つね! 次のライブ、見に来てくれる?』

“……もちろん! 赤のサイリウムをたくさん振るよ!”

『ありがとう。わたし、いくね……。バイバイ……』

~Fin.~


「カエくん、これバッドエンドですよ~!」


「カエちん、なにしてんねん!」


「かえでくん……その選択肢はあり得ないです……」


 ええ……。選べっていうから選んだのに、ボクが悪いの……。


「そっち選ぶやつおるんやな。いや、う~ん、そうか。もしかしたら、ほんまに春さんのことを思うんなら、こっちが正解なんかもしれんな……メリーバッドエンド的な……」


 シオがうーんと唸って考え込んでしまった。

 あなたが作った動画ですよね? 制作者が制作者の意図を考察するって何事?


「わたしは、王道のほうが好きですよぅ」


「私は……そう言われると難しいです~」


 意見割れてるってことは、ありえなくない絶妙な選択肢なんじゃん。ねえねえ、ボク何でさっきめっちゃ罵倒されたの?


「ねえ、これ、さっきのハルルとボクのデートを撮影したものだよね? 最後の選択肢のシーンなんてあった記憶ないんだけど……」


「CG合成や!」


 CGなのかあ。

 シオセンセのCGはなめらかすぎて、本物との境目がわからないよ!


「このハルルのセリフも合成?」


「そんなんサンプリングデータがあるから余裕や」


 マジですか……。


「この動画をハルルの自己紹介動画に?」


「そやで。春さんの表情めっちゃええやろ。演技ではこの表情はでえへんで。カエちんええ仕事やったな。グッジョブ!」


「う、うん、ありがとう?」


 レイが撮影についてきてそうなのはなんとなくわかってたけれど、堂々と公式動画用に使うとは思っても見なかったよ。

 ハルルの自信を取り戻すためのデートだったのに、とんでもないことになっちゃったな。


「さて、茶番はしまいや。ここからがほんまの宴の始まりやで!」


 自己紹介動画が茶番? めっちゃいい出来だったけど? これ見たら普通にハルルのファンになりますよね?


「しおりさん、ありがとうございます。長年の夢が叶います」


「まあまあまあ、そんなにかしこまらんと、宴を楽しもうや」


 シオセンセのわっるい顔が出ている。これは嫌な予感しかしないやつ……。


「裏エピソード1、スタートやで!」

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