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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第十二章 定期公演 ~ Monthly Party 2024-25 ~ #9編

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第33話 定期公演#9(≪BiAG≫コラボレーションライブ) その2~時を越えてやってきた国民的アイドルグループ

 夢のようなひと時。

 あっという間に1曲目が終わってしまった。



 ≪初夏≫の5人がステージ下手側に移動する。

 ステージのライトが全点灯し、ハルルが一歩前へ進み出た。

 

「みなさ~ん、こんばんは~! 私たちは~」


「「「「「≪The Beginning of Summer≫で~す」」」」」


 

「そしてそして~」


 ハルルが上手側の7人に向かって手を差し伸べる。


「「「「「「「≪Believe in AstroloGy≫です!」」」」」」」

 

 予想に反して、元気な挨拶。

 ブランクを感じさせることのないフレッシュな……って、当たり前か。

 このステージにいる≪BiAG≫のメンバーは、当時から18年の時を重ねた現在の存在ではないのだ。まさにあの時から時を越えてやってきた超現役、日本の頂点に立つ国民的アイドルグループ≪Believe in AstroloGy≫、その人たちなのだから。



「き、緊張しますね……。へへへ……。初めまして……≪The Beginning of Summer≫です……」


 ハルルが額から流れる汗を腕で拭いながら、大先輩たちに向かってたどたどしく話しかける。


 ハルル、そのトークの入りは大丈夫かい?

 急に不安になるんだけど……。


「何よ、ハルちゃんたら。他人行儀ね~。さっきもリハの時には一緒におしゃべりしたじゃないの~♡ お姉さんたち悲しいな~」


 えっ、軽い……。

 伝説のアイドル・秋月美月さんってこんな感じなの……?

 もっとミステリアスなイメージで、「あら、あなたたちが新人アイドルなの? 知らない名前ね」みたいな大御所感……。ううーん。記録映像ではフリートークのシーンがほとんどなくて、実はどんな人たちなのか、パーソナルな部分はあまりわかっていなかったな……。


「す、すみません、つい……。えっと、どうしようかな。なんてお呼びすればいいんだろ……えっとえっと……お母さん?」


 それは違うだろっ!


 たぶん、ボク以外の全人類が総ツッコミをした瞬間である。


 コメント欄に草が生えまくって……あーあ、SNSに『#お母さん?』が大量に……。

 やらかしたな、ハルル。


「ハルちゃん、それは私のお母さんですよ~」


 と、メイメイが助け舟に入る。

 さっそく訪れた、母娘共演のチャンス。


「サツキちゃん」


「お母さん」


 秋月美月さんとメイメイの2人がお互いに見つめ合う。



 沈黙。


 全員が固唾を飲んで見守るしかない瞬間。


「2サビの後の立ち位置間違ったでしょ~。しっかりしてくれないと困る~」


 秋月美月さんがメイメイの肩を軽く叩く。


「バレちゃいました~。ごまかせたと思ったのに~」


 メイメイは破顔し、頭をポリポリと……何これ?


「リハの時からあのステップ苦手だって見て知ってたよ~。サツキちゃんたら、練習が足りないじゃないの~?」


「うぅ~。お母さん厳しいですよ~。だってあのステップ、カエくんが苦手であんまりちゃんと教えてくれないからよくわからなくて~」


「人のせいにしないの! 1に努力、2に努力! 3、4に愛嬌、5に笑顔! アイドルの基本よ~」


「そんなの聞いたことないですよ~」


 いやいやいや、ボクの名前出さないで!

 世界が見守る超々重要なシーンで、ボクが苦手なステップの話とかどうでもいいから……って、なんだこの会話……。きっとボク以外の全人類もそう思っているよね……。


「まあまあ、美月。緊張するのはわかるけれど、それくらいにしておきなさいって。ほかの子たちが困ってるじゃないの」


 笑いながら秋月美月さんの肩を揉むのは、益田友恵ますだともえさん。≪BiAG≫の影のリーダーだ。ショートボブの黒髪で、眉毛上できっちりと切り揃えられた前髪が特長的な美人さんだ。


「トモちゃ~ん、だって私~、急に自分の娘だなんて言われても、産んだ記憶もないし~、何を話したら良いかわかんないんだもん……」


 振り返って、秋月美月さんが益田友恵さんの胸に泣きつく。


「そうよね~。私だってわからないわよ。よしよし~」


 頭を撫でる。


 伝説のアイドルがよしよしされている……。

 いや、益田友恵さんも伝説のアイドルではあるんだけども。



『産んだ記憶もない』


 冷たいな、と思いかけたけれど、まあそりゃそうかと思い直す。

 ここにいる秋月美月さんはメイメイのことを産んではいないのだ。

 麻里さんがどんなふうにこの≪BiAG≫のメンバーのAIプログラムを作り上げたのかはわからないけれど、少なくとも秋月美月さんに関して言えば、今現在、モデルとなった本人はすでに亡くなっているわけで……。つまり連続する記憶などは存在しようもない。本人の感覚的に言えば、当時のある時点から、まさにタイムスリップのように今この場所に連れてこられたというほかないわけで。


 そりゃあね、自分に娘がいる状況なんて理解することができないはずなんだよね。


「み、みなさまに、質問がありますわっ!」


 ウーミーがまっすぐに手を上げて一歩前へと進み出る。


 お?

 ここで割って入るのか⁉


 完全にフリートークだから、もちろん誰が何をしゃべっても良い。

 しかしみんな、けん制し合っているのか、躊躇しているのかわからないけれど、この謎に緩い空気を変えられずにいた。≪BiAG≫の他のメンバーでさえもだ。


 そんな膠着状態ともいえる状況で、ウーミーがぶっこんだ!


 がんばれ、ウーミー!

 負けるな、ウーミー!


 でも、初っ端で変な質問だけはしないでください!


「みなさまは、どの時点の≪Believe in AstroloGy≫のみなさまなのですか? どこまでの記憶をお持ちなのでしょうか?」


 お、おお……。

 変ではないけれど、その質問は……めちゃくちゃ重たいな……。


 答えられるのか、これ……?


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