第24話 『メイメイのゲリラ雷雨』第65回目2
「わたしも配信参加する~♡」
って、ルーナちゃん⁉
いつの間に現れた⁉
「ルーナちゃん……いらっしゃいませ~」
メイメイが歓迎の意を示す。
でも表情が一瞬だけ、ほんの一瞬だけ暗くなったように見えたのが気になる。
やっぱりルーナに対して思うところがあるのだろうか。「憎むことはできない」って言っていたけれど、やっぱりモヤモヤは残っているんだろうなあ。なんでメイメイに執拗に絡んできたのかとか、何でお母さんの名前を出したのかとか、その辺りは一切語られていないからね……。いずれ麻里さんを交えて話をしなければとは思っているけれど……。
「早月ちゃん、好き~♡ チュ~♡」
「あ、コラ! ボクのアイドルにお触り禁止!」
まるでふわふわした雲のように飛んできて、メイメイの首に絡みつくルーナを引き剥がす。
公衆の面前でキスなんてされたらたまらない!
「楓ちゃんのケチ~。わたしは早月ちゃん推しなの~」
「それはそれはどうも。CDをご購入いただき、オンライン個別トーク会の枠を予約してくださいね」
“塩対応w”
“ルーナちゃんかわいそw”
“ルーナPにも予約させるのかよ!”
“ルーナちゃんの予約枠はいつ開放されますか?”
“ルーナちゃんチュッチュ”
“ロリコン?”
“美しい少女を愛でる会のほうからきました”
“メイメイさんの枠、100枠買いました!”
“さすが……”
“さすサイキ”
“気合入ってるな”
“次こそは握手会を頼みます”
“握手会はトラブルも多いからな~”
“オトク会でも良いよ。メイメイと話せるなら”
そうね。みんな薄々はわかっているよね。
ライブはお客さんを入れてやれるようになったとしても、やっぱり握手会の実現って、別の意味でなかなかハードルが高いんだよ。ファンの人数も増えてきたし、古参だけでワイワイって感じでもないからね……。
「は~い、ここで宣伝させてくださ~い! チュッ♡ バキュ~ン♡」
ルーナが手で指鉄砲の形を作り、人差し指にキス。固定カメラに向かって鉄砲を撃つ仕草を見せた。
コメント欄が「うっ」とか「バタン」とか「撃たれちゃった」発言で埋め尽くされていく。お前らノリがいいな……。
「宣伝? 何か情報を持ってきてくれたのかな?」
「なんですか~? そこの熱闘風呂に入ってガマンできたら、30秒だけCMして良いですよ~」
ここ、ボイストレーニングブースだし、熱闘風呂とかないからね。
「それでは熱闘風呂に入りま~す。早着替え用のスペースはどこかな~」
「ルーナちゃん……いちいちメイメイの小ボケに乗らなくて良いから。早いところ宣伝とやらをちょうだい?」
痛い痛い。
メイメイ、無言で背中を叩かないで。
熱闘風呂ね……たぶん朝西の映像特典辺りでいずれ出てくるんじゃないの? 知らんけど。
「1秒待ってね。ん~はい!」
1秒。
そう言った一瞬の間に、カメラの前でルーナが衣装チェンジをする。
真っ白なノースリーブのワンピース。
『チーム・ホワイト』の衣装だ。
でも……カメラ前で早着替えはやめて……。コメント欄が「マジック?」「合成?」ってざわついちゃっているじゃん。種も仕掛けもないのはダメだって……。
「どう? ルーナちゃんかわいい? かわいい~って思う人は、『ルーナちゃんかわいい♡』しよ♡」
“ルーナちゃんかわいい♡”
“ルーナちゃんかわいい♡”
“ルーナちゃんかわいい♡”
“ルーナちゃんかわいい♡”
“ルーナちゃんかわいい♡”
“ルーナちゃんかわいい♡”
“ルーナちゃんかわいい♡”
あー、コメント欄がバカになっちゃった……。
まあでも、その調子で早着替えのことは忘れてもらって……。
「いや~ん♡ みんな『ルーナちゃんかわいい♡』って♡ 楓ちゃんは? 楓ちゃんは『ルーナちゃんかわいい♡』してくれないの?」
そんな上目遣いで……。
その顔は反則だって……。
「……ルーナちゃんかわいい」
「聞いた? みんな聞いちゃった? どうしようどうしよう! 楓ちゃんが『ルーナちゃん好き好き結婚して~♡』って! どうしよう? わたし、結婚しても良いかな? カナ⁉」
「言ってません。ノー結婚!」
まったく……。
こんな話題を配信で公開していたらさ、痛い目を見るのはルーナちゃんだよ?
ボクは知らないからね?
「コラ~~~~~~~~~~~~!」
ほら、来ちゃった。
「私のカエデちゃんに何してるんじゃ~~~~~~~~~~!」
絶対見てるんだから、気をつけないと……死ぬよ?




