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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第二章 学園・大学病院 編

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第5話 ボクらのパジャマパーティー

 夕食後、予定通り、ボクたちの部屋にメイメイとハルルがやってきた。


「パジャマパーティーだ~!」


「いえ~い!」


 部屋に入るなりテンションマックスのメイメイとハルル。

 いきなりパジャマに着替えようとしないで? まだ何にも勉強してないからね?


「違う違う違う! メイメイのための勉強強化合宿ですよ⁉」


「え~、もうお風呂にも入ってきたし、パジャマパーティーしたいです~。ハルちゃんも初めてのパジャマパーティーしたいですよね?」


「え、っと、その、パジャマパーティーいえ~い!」


 ああ、あの優等生で委員長なハルルさんが壊れてしまわれた……。

 パジャマパーティーとは、こんなにも人を狂わしてしまう恐ろしい儀式なのか。


「はるさんも1人部屋でさみしかったのでしょう? かえでくん、今日は勉強はなしにして、明日からがんばるというのはどうでしょう?」


 うーん。レイがそう言うなら、まあ……。

 3対1でボクだけ勉強したいみたいになってもなんか変だし。


「じゃあ、まあ、明日からはがんばろうね?」


「「ばんざ~い!」」


 メイメイとハルルが喜びのダンスを踊り始めてしまった。

 メイメイが浮かれているのは見慣れてきたけれど、ハルルが浮かれポンチになっているのも新鮮でいいかもね?


「2人はもうお風呂に入ってこられたのですね。わたしたちはまだなので……その、しばらくお茶請けなどの買い出しに行ってきてもらってもいいですか?」


 レイがボクのほうをちらりと見た後、2人にお使いを頼んだ。

 うん、気を使ってくれてありがとう……。


「お菓子なら買ってきてありますよ~。私とハルちゃんはお留守番しているので~2人ともお風呂行ってきていいですよ~」


「ええ、私たちのことはおかまいなく~」


 2人はニコニコしながら、買ってきたお菓子やジュースをテーブルに並べ始める。


「わたしたちは内風呂で済ませるので……その……」


「は~い、ごゆっくり~」


 レイがそれとなく伝えようとしてくれているが、2人には全く伝わっていない。

 このままパジャマパーティーが始まってしまう流れ……。


(かえでくん、今日は1人でちゃんと洗えますか?)


 レイからの念話だ。

 心配そうにレイお母さんがこっちを見ている。

 子供じゃないんだから、ちゃんと1人で洗えるわい!


(脱衣所をぬらさないように使ってくださいね)


 はい……ママ。ちゃんと1人でドライヤーもします。


「湯舟は張っておいたので、かえでくん先にどうぞ」


「う、うん、ありがとう、レイ」


 ボクはお礼を言いながら、自室に着替えをとりに戻る。

 

「こ、これは……!」


 ベッドの上に置かれているのは、きれいに畳まれた着替え一式。新品の下着とふわふわもこもこなパジャマ(犬耳フードつき)だった。


 ママ……今日のパジャマパーティーは、これを着るのですか……。


(そうですよぅ。わたしもお揃いのシリーズでうさ耳パジャマを着ますよぅ)


 脳内に響くレイの声が妙に弾んでいた。

 浮かれポンチがここにもいたか。これは相当パジャマパーティー楽しみにしていたな。



* * *


「きゃ~、カエくんかわいい~。ワンワン!」


 お風呂と着替えを済ませて脱衣所から出ると、さっそくメイメイに見つかってしまった。


「……ワンワン」


 くぅ……これはきついです。恥ずかしくて死にそう……。レイ助けて……。


(ふんふふんふ~ん♪)


 はい、無視。絶対おもしろがってるね……。

 お風呂中の鼻歌をこっちに流してこないで! お風呂場だからエコーついてます、みたいな細かい演出いらないワンッ!


「ふわふわ気持ちいいです~。わたしもこういうパジャマにすれば良かったです~。普通の持ってきちゃった……」


 メイメイがボクの腕に顔をこすりつけて、ふわふわ素材を堪能している……。ち、近い……。


「カエデさんってちっちゃいから、着ぐるみ似合うね! ふわふわだ~」


 え、ちょっと! な、なんですか⁉ 

 ハルルが急に後ろから抱きついてきて、ボクの首筋あたりでスリスリしてくる。ちょ、くすぐったい!

 ねえ、ちょっとハルルの距離感なんか近くない⁉


「な~に? 私だってカエデさん……ううん、カエデちゃんを抱っこしたいの! 文句ある⁉」

 

「いいえ、ない……ですけど」


「けど何⁉」


 うわー逆ギレ……ん? なんかちょっと目が座っている、というか……顔もちょっと赤いし……まさか、酔ってる⁉

 ボクが訝し気な目を向けているのに気づいたのか、メイメイが笑いながらハルルのほっぺたをグリグリしだした。


「あ~、ハルちゃんね、さっき洋酒たっぷりのフルーツケーキを一口食べちゃって~」


 ああ、そういうこと? ハルルはアルコールに弱い人なのね。これって、酔っ払いのダル絡みだったのね。


「カエデちゅゎ~ん、ちっちゃくってかわいくって好きよ~。カエデちゃんは~私の大事な大事なお友だちなの~」


 酔っ払いのハグ攻撃ー。

 こういうストレートなのもうれしいけど……ん、あれ? 急に羽交い絞めにしてきていたハルルの拘束が解けたぞ。

 ボクはここにいて、ハルルの声があっちから聞こえてきて?


 ハルルの声がする方向を見る。ハルルはソファーの上で何かを抱きかかえてゴロゴロ転がっていた。


「カエデちゃ~ん! 急に黙っちゃって~。恥ずかしがり屋さんね~」


 あれは……ボクと同じかっこうをした、カエデ人形⁉


(変わり身ですよ)


 はっ、レイ!


(かえでくんの身に危険を感じたので、すり替えておきました)


 いつの間に⁉


 近寄って見ても……おお、すごい。本物のボクにしか見えない。

 触ってみても、肌とか普通にやわらかいし、これは……?


(師匠の研究成果です)


 麻里さんってホント何の研究している人なの……。



「ハルルにお酒の入った食べ物を与えないように注意しようね……」


「え~かわいいからいいじゃないですか~」


 のんきな反応をするメイメイ。

 まあ、かわいいけど……かわいいけどね?


「でも、この状態のハルルを外に出したら、普通に炎上案件だからね?」


 カメラの前で食レポみたいな仕事もあるだろうし、アルコール成分には気をつけないとなあ。

 かわいいけどね。



* * *


「お2人もこれに着替えてくださいね」


 お風呂から出てきてホカホカのレイうさぎが、メイメイとハルルにパジャマを手渡す。


「わ~い、レイちゃんありがとう! うさぎかわいいです~。私は何の動物だろ~? やった~! トラさんだ! がお~」


 メイメイが渡されたパジャマを広げて頬ずりしている。レイさん用意がいいですね。ってハルルは……いつまでソファーでゴロゴロしてるんだ……。


 レイがもう1つのパジャマを片手にハルルに近づく。背中をトントンと叩いてから起き上がらせて、ポケットから出した何かを手渡す。


「ん、これ飲むの?……にがっ!」


 何かを口に入れたハルルが大声で叫んだ。若干涙目になっている。


「レイさん……これ何⁉」


「酔い覚ましですね」


「え、私酔ってた⁉」


「そのブランデー入りのフルーツケーキで酔っ払っていたようですよ」


「またやっちゃった~。ケーキのお酒には気をつけていたんだけど、つい……」


 ハルルは食べかけのケーキを見ながら、ばつが悪そうに頭を掻いていた。


「ハルル、お酒弱いんだね。まあ、気をつけよう……さすがに外でそれやったらやばいと思うよ……」


「ちょっと記憶がなくて……私そんなにやばかった⁉」


「ハルちゃんとってもかわいかったですよ~。見ますか?」


 メイメイがうれしそうに自分の端末で撮った動画を見せる。そ、それはやめて差し上げて……。

 ハルルの顔が見る見る真っ赤になっていく。


「うわああああ。許して~、カエデちゃんごめんなさ~い」


 動画の再現かのように、ソファーの上でのたうち回るハルル。もちろんカエデ人形なしで。


「ま、まあ、身内なら大丈夫じゃないかな? ボクたち家族だし……友だちだから大丈夫だよ!」


 ゴロゴロがピタッと止まる。


「カエデちゅゎ~ん! 好き好き~!」


 グハッ!

 ハルルの高速タックルで、床にたたきつけられダウン。

 酔ってても酔ってなくても変わらないじゃん……ガクッ。


 こうしてボクらのパジャマパーティー第1夜は更けていく。

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