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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第十章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 ~ #7編

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第26話 定期公演#7の前日夜~麻里さん現地入り

 さて、今日は定期公演#7の開催日前日。

 もう日も落ちて真っ暗な時間。

 

 ということでボクたちは――。


「会場に前日入りだー!」


 今回もその子のアイディアを採用! ボクとレイと花子は、定期公演前日の夜から会場に前乗りだ。


 理由?

 その子によると、「みんな楓さんと一緒に移動したがるので、このままだと戦争に発展して人類が滅亡する未来が視えます。争いを回避するには会場に前日入りして準備でもしていたらどうですか?」だってさ。そのことをレイに確認したら、レイの占いでも似たような結果が出ているって言うんだから驚き……。


 なんでボクが一緒にいるだけで人類が滅亡するんだよ。

 って思ったりもするわけだけど、実際定期公演#6の時にその案を採用してみたら、トラブルなく会場までの移動が行えたんだからすごいよね。その子バンザイ。スピっててもまあ許せるってものだよ。


「無事つきましたね。夜も遅いですし、さっそく仕事をすませてしまいましょう」


 一息間もなく、レイが本社ビルから運んできた機材を車から降ろし始める。ボクも慌てて車に駆け寄り、一緒に荷物を下ろしていく。



「ところで花子さんや? お前の故郷に帰ってきたわけだけど、なんかこう、もっと感動的なあれはないの?」


 花子はボクの頭の上に乗ったまま、まったく微動だにしない。

 普通さ、「懐かしいなー」とか「帰ってきたぞー。うおー!」とかあるでしょ。テンション上がりまくって、森に向かって走っていってもいいんだよ? 今は機材搬入があるから遊んでやれないし。


「がぅ?」


 不思議そうな顔をするんじゃない。

 もう故郷の風を忘れてしまったのかな?


「はなこさんは、お腹が減っているみたいです。移動が遅くなってしまいましたし、もう夜も遅いですから、早く荷物をエントランスまで運んで、はなこさんにご飯を食べさせてあげましょう」


 ああ、たしかにね。

 渋滞に嵌まって大変だった……。


「麻里さん、ここまでありがとうございます。運転疲れたでしょう」


 渋滞中の運転は気を遣うっていうからね。


「いいや? だから自動運転だと言っているだろう。お前たちとずっとおしゃべりしていたのを忘れたのか?」


 ああ、そうだったわ。

 ハンドルを握っているふりをしていただけで、ただの無人タクシーなんだ、これ。常識で麻里さんを語ってはいけなかった……。


「今日ってこの後どうするんですか? 本社に戻ります?」


「明日に備えてここに泊まるさ。どうもきな臭いしな……」


「えっ、何かあるんですか……?」


「ここ1週間くらいなんだが、外部からの侵入を試みる動きが活発化していてな。どうにも怪しい……」


 麻里さんの表情が険しくなる。


「それってサーバー攻撃的な?」


「そうだ。ネットワークに侵入をする目的にしては攻撃が軽いが、あらゆる手段でちょっかいをかけてきているよ」


「それこそこっちに来ちゃって大丈夫なんですか? サーバールーム的なところで対策したほうが?」


「お前は何百年前の人間なんだ? 凄腕のハッカーと対決するのに、直接サーバーにケーブルをつないでキーボードカタカタターンなんてのは、ドラマや映画の話なんだよ。今日日そんな対応はすべてAI任せさ」


 鼻で笑われた……。

 つまり、ボクの仲間ががんばっているってことか。頼むぞ!


「じゃあ何でそんなに深刻そうな顔してるんですか……」


「だからきな臭いと言っているんだ」


 ぜんぜんつながらない。

 なにが「だから」なのか。


「陽動の可能性を疑っている」


「陽動ですか? つまりどういうことです?」


「がぅ?」


 なんだろうね。

 花子もピンと来ていないみたい。


「零、説明してやれ。私は先に風呂に入らせてもらう」


「はい、師匠」


 えー、ここで丸投げ?

 お風呂なら後で一緒に入ればいいのに。


「かえでくん。師匠とお風呂に入るのは禁止です」


「なんでよ? どうせ幼女じゃん」


 と、小声で囁く。

 万が一麻里さんに聞かれてなんか気分を害されても困る。

 幼女とお風呂なら健全だし問題ないでしょ。


「ダメです。お風呂の時はかえでくんも幼女ですから、間違いがあっては困ります」


 それ、どういう理屈なの。幼女同士で何か起きるわけないでしょ。いや、幼女じゃなくても何も起きないけどさ。

 それに心はボクのままだから、別にどうということは……それを言ったら麻里さんも心は大人なわけだからそもそも何も問題はないか。


「とにかくダメです。わたしと、はなこさんと3人で入りましょう」


「がぅがぅ!」


 花子がボクの頭の髪の毛をペロペロしてくる。

 あ、花子。それやるとレイに怒られるよ。ってダメなのはハムハムか。ペロペロはセーフ?


「まあいいや。それでさっきの麻里さんの話は? 陽動の可能性ってやつ」


 ちゃんと聞いておかないと。


「はい。これまでのボンバー仮面V3の手口を分析した結果、かなり高い確率で、今回の定期公演#7の配信中に、物理的な侵入を試みるとの予測が出ています」


「物理的な侵入⁉ 配信ジャックじゃなくて、またボクたちの目の前に現れるってこと?」


「そうです。その確率が一番高いとの演算結果が出ています。89.13214%の確率で、定期公演#7の配信が始まった直後、または前半パート中に現れるそうです」


 めっちゃ高い確率だ……。

 でもなあ、ここのセキュリティ対策はかなりのものでしょう? なんなら、対テロ対策マニュアルもあるくらいだし、武力行使による制圧も不可能なのでは?


「単独での侵入、または大規模な軍事行動、どちらにも対応するために、師匠が前日入りして指揮を取られるとのことです」


 なんだか大変なことになってきた……。

 こんな時にウタもテロ対策の現場を離れて、お当番MCをしないといけないのか。大丈夫なのかな……。


「師匠がいれば大丈夫です」


 そうだね。

 楽観的って思われるかもしれないけど、なぜだかボクもそう思うよ。


 あの人に勝てる人間なんてこの世にはいない。

 なぜだかそう思えるんだ。


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