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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第十章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 ~ #7編

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第24話 あれ? キミ、この間の校内新聞に載ってた子だ。将来有望な……宮川その子さん!

 ボクとその子は道路を挟んで向かい側のアパレルショップへと向かう。

 手動のドアに手をかけると、蝶番の油が切れているのか、キィーという不気味な音を立てて開いた。


「こ、この店は……」


「ちょっと怖いですね……」


 目の前に広がるのは、白と黒の世界。

 店内のインテリアも、並んでいる商品も、ほとんどすべてが白と黒。

 それに照明が限界まで落とされていて、店内はひどく薄暗い。

 雰囲気あり過ぎ……。


 ボクは早くもお店に足を踏み入れたことを後悔した。


「いらっしゃいませ~。試着したかったら気軽に言ってくださいね~」


 えっ、怖い。

 店員のお姉さんの顔、ピアスだらけ……。すっごくていねいな接客なのに、顔がめっちゃ怖い……。「おい、何も買わないで店を出るなんて非常識な真似、するわけないよな? そこのレザーのジャケット10万円だからさ、会社のツケで買ってくれや」って顔して見てくる……。ごめんなさい、ボクは社員じゃないから、会社のカードとか持ってないんです……。それにあまりお金の持ち合わせもなくて……。


「楓さん? 大丈夫ですか? 顔色が悪いですけど……」


 その子がボクのマントの裾を引っ張り、小声で話しかけてくる。


「えっと……と、とりあえず、その子に似合いそうな服を探そう……」


「無理には良いですって……。こういう一点もののゴシックファッションはすごく高いですよ……」


 でもお店に入ったからには何かを買わないと生きて出られないよ……。生き血をミサに使われちゃう!


「キミたちは学園の生徒さんだよね? 価格の心配はしなくて大丈夫だよ。このお店は私みたいな学園の卒業生や現役の生徒、講師なんかが商品を提供しているから、ほとんど原価みたいなものだし、安心して」


「え、っと、そう、なんですね。アンシンシターヨカッタナー」


「お姉さんは学園の卒業生なんですか? 被服科の卒業生ってことですか?」


 その子が一歩前へ。パンクなお姉さんに話しかける。

 おい、勇気あるな、その子!


「そうだよ~。私は音楽もやってたんだけど、そっちはあんまりでね。今は服飾一本でやってるんだ」


「わ、私も被服科で!」


 よれよれのサマーニットの裾をギュッと掴む。


「そうなんだ。あれ? キミ、この間の校内新聞に載ってた子だ。将来有望な……宮川その子さん!」


 おお、その子ってば有名人じゃん。

 たしか服関係の何かの大会で優勝したって、MINAさんが言ってたね。


「えっ、ええ。はい。そうです……」


「ゴシックファッション興味あるの? 新聞記事によると……アクセサリーや小物が専門じゃなかったかな? たしか、表通りのセレクトショップにも出品していたよね」


 プロの人にめちゃチェックされてるじゃん。

 その子ってホントにすごいんだ……。


「ででででも、実はゴシックにも興味があって!」


 えっ、そうなの⁉

 ちょっと意外だ。その子ってファッションには興味ないのかと思っていたよ。小物を作ることだけが生きがい、みたいな?

 

「それはうれしいね。わたしの作った服、ぜひ見てよ。こっちが私のコーナーだから」


 そう言うと、パンクなお姉さんはその子の手を引いて、店の奥へと進んでいく。

 もしかして、ボク空気?

 まあ、とりあえずついていきますけど……。



「この辺りがそう。一番の自信作はこれかな!」


 パンクなお姉さんが取り出したのは、Aラインの真っ黒なレースミニワンピースだった。ところどころに白い糸で刺繍された十字架がかわいらしい。お姉さんの作品、顔に似合わずガーリーな……。レザーのジャケットじゃないんだ……。


「これね~、ノースリーブのワンピースに、こっちの羽織りを革ベルトでつなげるようになってるんだ」


「とても素敵です。この手触りは……?」


「ああ、それね。よく気づいてくれたね。ゴシックだから全体的に黒いじゃない? でも夏にも着られるように裏生地に冷感素材を使っているんだ。こういう服こそ実用的に作りたいんだ。オシャレはガマンなんて時代は古いから」

 

 お姉さんは少し自慢げな様子で、鼻ピアスをチャリンと鳴らした。


「なるほど……。勉強になります……。このワンピースの写真撮っても良いですか?」


 その子がスマホを取り出してからお姉さんに尋ねる。


「もちろんいいよ~。参考になるならうれしいな。なんだったら私が作った服、写真だけじゃなくて持っていってもいいよ」


「それはさすがに……」


 恐縮しながらも、その子のスマホのカメラの連写音が止まらない。勉強熱心だ……。


「宮川さん。服はね、見るだけじゃわからないんだよ。着てみて、私の魂を感じ取ってほしいな」


 お姉さん……めっちゃかっこいい。

 

「その子ー、そんなヨレヨレのニットばかり着ていないで、せっかくだからお姉さんの服を着させてもらいなよ。あ、ちゃんとお金は払います。ボクがプレゼントするって約束だったんで」


 財布にいくら入っていたかな……。


「律儀だね。七瀬楓さんだよね。キミのことも知ってるよ」


 パンクなお姉さんがニヤリと笑う。

 ヤバい……。ボクの名前がバレてる⁉ まさかカツアゲされる⁉


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