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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第十章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 ~ #7編

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第7話 では次の課題で成績が最も良かった者に、先ほどの映像のデータをあげよう

「それではさっそく特別合宿を始めようか」


 ボク、ハルル、そしてマキの3人は、麻里さんに連れられて、地下にある第1スタジオに来ていた。


「私だけハグしてもらってない……」


 あれからずっとへそを曲げたままのハルル。

 ハルルさ、麻里さんのことちょっと好きすぎじゃない? まあ、ハグしてもらうと気持ち的にはほわっとするけど、実際はそこまで良いものじゃないよ? 胸ぺったんこだし。


「じゃあカエデちゃんが抱きしめて」


「えー」


 なんでボクが……。

 ぜんぜん関係ないじゃん。


「抱きしめて」


 わがままなお姫様だなあ。


「がぅ?」


 うん、甘えん坊ハルルが抱きしめてほしいんだって。

 まあそれでレッスンに集中できるならやりますよ。花子はちょっとおとなしくしていてね。


「はい、よしよし。ハルルは良い子」


 ハルルの頭を胸に抱いて、麻里さんの真似をして頭頂部にキス……はちょっとやりすぎだと思うので、ほっぺたをこすりつけるくらいにしてみる。

 ……あれ? なんかすっごく良い匂いするじゃん……。


 スンスン。


「ハルルはかわいいね」


 スンスンスンスン。


 そういえば、前にバスの中でおへその匂いを嗅いだ時も良い匂いがしたっけ……。

 ハルルって何の香水使ってるんだろう。


 スンスンスンスンスンスン。


 うーん、クセになる……。


「ちょっとカエデちゃん? くすぐったいわ」


「あ、ごめんごめん。もう大丈夫? 元気になった?」


 慌てて掴んでいたハルルの頭を放す。つい夢中になってしまった……。

 ハルル……。


「カエデの浮気現場はばっちり押さえました、と。はい通報」


 スマホを構えてニヤニヤしているマキがいた……。


「浮気っ⁉ 何言ってるのさ⁉」


「はい訴訟! わたしという婚約者がありながら、あんな必死にハルちゃんの頭の匂いを嗅いだりして~。あ~あ、わたし、捨てられるのね! よよよよ……」


 泣き崩れるんじゃない!

 歌舞伎か!

 いや、そもそも婚約者って何さ⁉


 マキが近寄ってきて、なぜか耳打ちしてくる。


「ねぇ、カエデ~。ハルちゃんの匂いって……そんなに良かった?」


「いや、ちょっとなんかほら……」


 素直に「良い匂いでした」とは言いづらい雰囲気……。


「もしかして……勃っちゃった?」


「勃……つわけないでしょ! ついてないわ!」


 今はボク、女なんですぅ!

 マキったらお下品! そんな下ネタを言うためにわざわざ耳打ちしてくるんじゃないよ、まったくもう!


「楓、もしかして勃ったほうがいいのか? それなら……」


「麻里さんまで何を言ってるんですか? あ、絶対やめてくださいよ⁉」


 まさかこれ以上体におかしな改造をされたらたまったもんじゃない! 何かが勃つ機能とか、絶対やめてくださいよ⁉ これはフリではない! 繰り返す、これはフリではない!


「わ、私のことで争わないで!」


「ハルル、それはたぶん違う……」


 顔を真っ赤にしながら、「今だ!」みたいな顔しないの。『人生で一度は言ってみたいセリフ』のチャンスっぽかったのはわかるけどさー。


「あのー、大物講師の人ー。何か収拾つかなくなるので、そろそろ特別レッスンに入ってもらったりできますか?」


 マキとハルルがいつまでもふざけていると、このまま何のレッスンも受けないまま合宿が終了することもあり得ますよ?


「ああ、そうだな。そろそろ真面目に授業を始めよう」


 麻里さんが白衣を翻す。

 ホント頼みますよー。

 

「スクリーンを見ろ。これが最初の課題だ」


 白い壁に映される映像。


【ハルルはかわいいね】


「ちょっと! これさっきのやつ! 何しれっと録画してるんですか⁉」 


「お、おお? 流すものを間違えてしまったようだ。すまんすまん」


 絶対ウソだ! わざと流したでしょ!


「麻里さん! その映像のコピーくださいっ!」


「ハルル⁉ 何を言ってんの⁉」


「麻里ちゃんわたしもほしい~♡」


 マキまで悪ノリをして……。

 マジで勘弁してー。


「では次の課題で成績が最も良かった者に、先ほどの映像データをあげよう」


「「やった~!」」


 喜ぶ2人。まったくうれしくないボク。


「では早速課題の映像を――」


「麻里さんちょっと……」


「なんだ、楓?」


 麻里さんの手が止まる。


「ボクの成績が良かったら、その映像消して」


 そんなのが出まわったら、一生脅されるに決まっているでしょ!

 消して!


「まあ、いいだろう。楓の成績が最も良かったらこの映像はどこにも流出することがないものとする」


 絶対約束しましたからね?

 絶対の絶対ですからね?


「では課題だ。まずは基礎編」


 と、始まった授業の内容はいたって真面目なものだった。

 1つ1つ発声練習などの基礎課題に取り組むうちに、声での演技とは何かをほんの少しだけ理解できたような気がした。ご褒美とやらはめちゃくちゃ不真面目なものなのにね。


 まだ合宿1日目なのに、なんだかいけそうな気がしてきた!


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