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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第九章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 ~ #6編

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第23話 定期公演#6 その5~伝説の目撃者は君だ! チャットコメントを拾って勝手に伝説を作るコーナー!(1)

「おっしゃ! MCコーナー行ってくるで~! 今日は伝説を作ったるっ!」


 謎の宣言を残し、シオが飛び出していった。


「伝説……? そういえば今日のMCコーナーって、何するんだろうね。レイは聞いてる?」


 ボクはぜんぜん把握してないや。


「はい、聞いています。わたしも少し準備を手伝ってきます」


 レイがタブレッド端末を片手に控室を出て行ってしまった。

 うーん、またボクだけ疎外感……。


「がぅ?」


「お、そうだね。今は花子がいる! よーし、今日は2人で一緒に楽しもうか」


「がぅがぅ!」


 花子がうれしそうにピンクのペンライトを振りだす。


「お、そうだよ、ピンク! サクにゃんとシオのメンカラーをちゃんと覚えたんだね。お前は賢いなあ」


 ほっぺたをプニプニしてやるぞー!

 わしゃしゃしゃ♪


「ふぅ~。ちかれた~」


 ハルル、そしてほかのメンバーが控室になだれ込んでくる。MCコーナー中はお当番の人以外はみんなプチ休憩のチャンスなのだ。


「おつおつー。みんな座って休んでくださいな。ドリンクはこちらですよー」


 キンキンに冷えたはちみつレモンのボトルをみんなに手渡していく。


「ありがとうございますですわ~」


「がぅ!」


「花子ちゃん元気ですね~。次は一緒に出ましょうよ~」


 メイメイがボクの頭の上に視線を向けながら言う。


「がぅがぅ!」


 いや、けっこうやる気満々だけど、花子はクマだからね? 急にステージに上がったら、お客さんもびっくりしちゃうかもしれないよ。


「がぅ……」


 そんな悲しそうな声で鳴くなよー。

 ほら、ボクもステージには上がらないし、今日はずっと一緒だからさ。


「がぅ!」


「がぅ☆」


「そこのデカいギャラクシーベア! 急に後ろから抱きついてくるのやめれ!」


 花子のマネをしたってダメなんだからね! 汗が染みてくるし、離れて離れて!


「カエちゃんのケチ~!」


「ケチじゃなりません! 花子は赤ちゃんだから良いのー」


「わ、私も! えいっ!」


 ぐぇぇぇぇぇぇ。


「ハルル……首、首が……」


 ハルルの抱きつきは力が強すぎる……。

 うーん、まあ冷静に考えたら別にさ、今はライブ中だし? ボクに抱きつくくらいで心の安定が保てるなら好きにしてくれてかまわないんだけどー。


「がぅ!」


「おお、花子、ごめんごめん。サクにゃんとシオがしゃべり出したね! コーナースタートだ!」


 花子に促され、考え事を中断して控室のモニターに注目する。



「皆様お待ちかね! サクラたちの伝説のコーナーが始まりました!」


「とうとう始まってしまったんやな~。ほんまごっつい伝説やで~」


「伝説ですね! デンセツの鈴木さんです!」


「それは電気設備課の鈴木さんやな!」


「「ハハハハハハハハ」」


 なにこれ?……漫才?


「前説はこれくらいにして、本題に入りましょう!」


「せやな。まずはコーナータイトルの発表や!」


 伝説……電設……前説?

 なんだこれ?


「題して~『伝説の目撃者は君だ! チャットコメントを拾って勝手に伝説を作るコーナー!』」


 なんですって?

 勝手に伝説を作る……?


“うぉー!”

“俺らも参加できるのか!”

“はい、鈴木です”

“久保田でございます”

“細谷でございます”

“本日のおすすめはKawasakiでございます”

“カワサキか……”

“カワサキか……”

“カワサキか……”


「ちゃうちゃう。おもしろコピペを完成させるコーナーやないで?」


「みなさん、もう少し考えておもしろい発言をお願いします!」


 タブレット端末を片手に2人がお客さんいじりを始める。

 サクにゃん無茶ぶりー。

 あーあ、急にコメント欄が静かになっちゃったじゃん……。みんな素直か。


「おお? だんまりは良くないやん? コーナーが成立せぇへんで?」


 配信見てくれている人たちを威圧するんじゃない!

 コーナー成立云々は企画のほうに問題があるんだよ……。


「しかたありませんね! こんな時のために用意してきたサクラの伝説の話をします!」


「よっ! 待ってました!」


 どう反応していいのか……コメント欄も困惑している。

 何この2人……。

 滑り倒してません?


「これ……大丈夫なのかな?」


 不安。

 控室を見渡してみんなの反応を……。


「さっちゃん、がんばってください、ですわ……」


 ウーミーが祈るようにモニターを見つめている。って、ほかのメンバーは……モニターすら見てないじゃないか! 全力でくつろいでいないで、仲間を応援しなさい、応援を!


 と、サクにゃんの伝説(?)の話が始まってしまった。


「この間ですね、少し空き時間があったので、本社ビルの前の公園のブランコに乗っていたんです!」


「なぜか箱ブランコが置いてある公園やな!」


「そうです! 箱ブランコは安全性の問題から危険なので全国的に撤去され続けているというあの伝説の箱ブランコです!」


「箱ブランコ自体が伝説の存在という話やんな?」


 まさかの……オチ?

 

「違います! ここからが伝説の話です!」


 危ない。まだ続きがあって良かった!


「なんと……箱ブランコの下に……」


 ごくり。


「七つ葉のクローバーがあったんです!」


「なん……やと……」


 七つ葉⁉

 そんなの見たことない!

 すごい、これは伝説だ!


「その時の七つ葉のクローバーがこちらです!」


 モニターに映し出されたのは、七つ葉のクローバーの写真だ。


「1、2、3、4、5、6、7枚……ほんまや!」


 すごい……。


“え、これは伝説……”

“すごい、な?”

“お、おう……”

“七つ葉だな”

“六つ葉までしか見つけたことないわ”

“サクラ、そろそろ伝説の話を頼む。風邪を引いちまう”

“パンツを履け!”

“伝説の話……”

“サクにゃんかわいいなあ(現実逃避)”

“ウーミーがめちゃくちゃ喜んでそうw”


 うん、お察しの通りです。ウーミーはめちゃくちゃ喜んでいますね。喜びを通り越して、感動で涙を流している……ねえ、今のそんな感動話だった?


「がぅ?」


「花子にはちょっと難しかったかな……。いや、うん。ボクにも難しかったわ……」


 ねえ! このコーナー大丈夫?

 このまま続けさせるのヤバくない?

 ていうか、レイはどこ行ったの⁉ 帰ってきてー!


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