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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第九章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 ~ #6編

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第21話 定期公演#6 その3~ナギサ、本気で好きなの?

 うわー、これどうするのさ。

 ねえ麻里さん! これって世界に公開して良かった映像ですか? 映像に映っている人がボクに似てるって話題になったりしないですか⁉


「はぁ~、やっぱりかっこいい♡」


 恋するナギチの蕩けたような声が会場に響き渡る。


「渚さん、話を整理してもよろしいかしら?」


 黙ったままのハルルに代わり、ウーミーがしゃべりだす。


「渚さんの恋のお相手は、この映像の方に間違いないんですの?」


「うん♡」


「深夜に本社ビルの居住区に出入りできる人物ということで、事務所関係者であることがほぼ確定的ですわね。ですが、本社ビルの37階は女性専用フロアーですわ……。つまり――」


「ずばり女の人ですね!」


 サクにゃんがドヤ顔で一番良いところを持って行く。


「ええ、さっちゃんの推理、とても冴えていますわ~」


 ウーミーやさしい……。

 手柄を取られても怒らない。


「私、37階に住んでいるのに、こんな人と会ったことないですよ~?」


 と、メイメイが首を傾げる。

 メイメイはあれが20歳のボク(仮称:ダーリングさん)だって知ってますよね? 知らない振りの演技? もしかしたら完全に忘れられています?


「ナギサ!」


 突然ハルルが大声を上げる。


「な、何?」


「あなた、本気なの……?」


 ハルルがナギチの肩にドンッと手を乗せ、そのままがっちりと掴む。ナギチの足が、気持ち2cmくらい床にめり込んで……はいないか。それくらい衝撃が……。


「えっと……何が?」


「だから、ダー……さっきの映像の人のことよ!」


「本気っていうのは……好きかってこと?」


「そうよ、ナギサ……あなた、あの人のことが本気で好きなの?」


「う~ん……でも女の人だし」


「それが何か⁉」


 ハルル、目がマジで怖いよ……。


「えっとえっと……すごくかっこいいし、お友だちになれたらな~って思ってます……」


 気まずそうにナギチが目を反らす。


「本気ではないのね? 結婚してアイドルを卒業したいと思っているわけではないのね?」


 その質問に、ステージ上の4人が息を飲む。


「ちょ、っとかっこいいな……っていうのを誇張して言っちゃっただけ……かな」


 ナギチが冷や汗を流しながらなんとか答えを絞り出した。目が泳いで、ほかのメンバーに助けを求めているみたいだ。


「は~~~~。そう……良かった……」


 ハルルが深く頷き、ゆっくりとナギチの肩から手を離した。何が良かったんだろう……。ライバルが本気じゃなくて? それともナギチが卒業しようとしていなくて? どっちの意味だ……。


「みなさ~ん! 今のはナギサのドッキリだったみたいですよ~! 私、あの人知ってるもん。普通に事務所の人で正真正銘、女の人ですからね~。ナギサは卒業せえへんで~~~~~~~~!」


 ハルル大絶叫!

 グループを守るためか、それとも……いいや、これ以上は考えないでおこう。コメント欄の反応はどうだ……?


“ナギサはやめへんで~w”

“まあせやなw”

“女性スタッフ、なるほど”

“百合?”

“イケメン女子のスタッフおるんやなw”

“今度配信に出演させて対談しようw”

“びっくりさせんなよ”

“俺は信じてたぜ(よかった)”

“卒業せえへんで~”

“ウーミーとサクラの顔w”

“また打ち合わせなしでやったなw”



 ふぅ、コメント欄は変に炎上していない様子で良かった……。いつもの茶番だと思われたらしい。まあ、実際そうなんだけどさ。恋愛系統はガチ恋もいるだろうし、どうなるかわからないから怖いよ……。


「はっ! 春さんは、さっきの映像のスタッフさんとお知り合い何ですか⁉ サクラも会ってみたいです!」


「せっかくですから、わたくしも会ってみたいですわ~」


 サクにゃんとウーミーがハルルに迫る。

 あまりこの話題は広げずに終わりたいなあ。そろそろ3曲目に行かない?


「ダー……あの人は、基本、海外勤務なのよ。たまに日本に戻ることもある、らしいわ」


 海外勤務。

 ボクが作ったダーリングさんの設定だ。


「そうなんですか~。なかなか会えなさそうですね……」


 しょんぼりとサクにゃんのネコミミが垂れ下がる。


「私もぜんぜん会えていないから……会いたいわ」


 ぐっ。

 ハルル、今のは気持ちがこもり過ぎです……。しかし今、一瞬こっちの控室のほうに視線を送ってきた? 気のせい?


「海外勤務の女性? そないなスタッフおったかな……?」


 シオが顎を撫でている。

 まずいな。この中でより深くスタッフ構成を知っているシオにはちゃんと説明しておいたほうが良いか⁉ 薬のことも知っているわけだし、協力を仰いでおくのも1つの手だよね。 レイ、どう思う?


 レイさん? おーい?


「その人って~、37階で何をしていたのかな~?」


 メイメイがぼそりとつぶやいた。

 ちょっとー! もうこの話、広げるのやめよう? 危ないって! レイさん、黙っていないでそろそろ止めて?


「一時帰国して、寮を宿泊施設代わりにしていたんじゃない?」


 おお、ハルル、それっぽい!

 うまくかわして3曲目に行こう!


「そんなふうに寮の部屋は貸し出していなかったような気がします~」


「日本に滞在する時のために、部屋を持っているのかもしれないわね」


「そうですか~? 見たことない人ですけどね~」


 ちょっとメイメイさん?

 いつまで食い下がるつもり? もういいでしょ!


「なんか変な感じになっちゃったけど、サクラ、そろそろ次の曲に行きましょう?」


 おー! ハルル、助かるよ!

 サクにゃん、次行っちゃって!


「はい! 3曲目はまたまた恋の歌!『たとえ報われなくても僕は君を愛してる』」


 サクにゃんのタイトルコールに合わせて、5人がスタンバイする。


 前奏スタート。


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