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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第九章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 ~ #6編

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第20話 定期公演#6 その2~私、とうとう好きな人ができたの!

 2曲目が終わりを迎え、本日最初のMCパートが始まる。


「みなさ~ん、こんばんは~! 私たちは~」


「「「「「≪The Beginning of Summer≫で~す」」」」」


 今日のお当番はサクにゃん。

 もう1人のお当番のシオはまだ控室で出番待ちだから、ここはサクにゃんが1人で司会進行ですよ! いつもみたいに緊張して噛み噛みしないでちゃんと進行できるかな?


「はい! 定期公演『The Beginning of Summer ~ Monthly Party 2024』#6が始まりました! みなさまに置かれましては、いかがお過ごしでしょうか⁉」


 噛んでないけどトークが硬い!

 案の定、サクにゃんはガチガチに緊張しているらしい……。

 ネコミミが左右別々にありえない回転をしてしまっているぞ!


“げんきー!”

“サクラ愛してるぞ~!”

“サクラ髪切った?”

“え~一旦CMです”

“MCとCM似てるな”

“サクにゃん緊張しないで”

“俺らは味方だぞ”

“#海桜がんばれ”

“サクラを見つめるハルルの目が妙にやさしいw”

“授業参観の親かw”



「1曲目、2曲目と続けて片想いの曲を歌ってみましたが、みなさんいかがでしたでしょうか⁉ 恋、してますか~~~~~~!」


 急に絶叫⁉

 サクにゃんどうした⁉

 ほっぺたも真っ赤だぞ⁉


「がぅ?」


 うん、花子もびっくりしたね。

 サクにゃんが大声を出すなんて珍しいよ。


「「「「イエーーーーーーーーイ!」」」」


 ステージ上の4人は大盛り上がりだ。

 さては≪初夏≫のみんなだけで打ち合わせして台本を変えてきたな?


「ええやん。夏といえば恋! 恋といえば夏やな!」


 シオが手を叩いて喜んでいる。

 うーん、そうかなあ。恋とかするとさ、急に友だちをないがしろにするって言うしさー、あんまりうれしくはないかなあ。


「恋の歌っていいわよね! キュンとするもんっ!」


「春さんは恋をしていらっしゃるんですね!」


「私はアイドルだよ。ファンのみ~んなが恋人よ!」


 うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!

 会場が一斉に赤い光の波に切り替わる。


「がぅ?」


「花子、今は赤を振るんだ! 急げ!」


 観客席を映しているモニターを指さす。

 花子は理解したようで、コクコク頷くと、爪で器用にペンライトをスイッチングしていく。


「がぅがぅ!」


 お、えらいぞー。

 そう、少しずつメンカラーを覚えていこうな。ハルルは赤だ。花子が好きな青はメイメイの色だからね。基本は青を振っておけば間違いないよ!


「はいは~い! ギャラクシー重大発表しちゃいます☆」


 ナギチが手を上げて注目を集めるように飛び跳ねる。


「私、とうとう好きな人ができたの~!」


「な、渚さん⁉」


「ナギサ、それ……ここで言って大丈夫な話……?」


「渚さん……とうとう楓さんに振られて頭が……」


 ウーミー⁉

 急にボクの名前を出さないで! 事実無根だし、一緒に事故りたくない!


“まさかの恋人宣言?”

“このグループ恋愛禁止だっけ?”

“ダブルウェーブのルールに恋愛禁止はなかったと思おう”

“マジショック”

“19歳だし卒業か?”

“100年アイドル続ける宣言どうした⁉”

“スキャンダル?”

“おいカエデなんとかしろ!”



 いや、ボクは知らないって……。

 ナギチのアドリブですよ、これ。ステージ上のみんなも困惑してるじゃん。


「ナギサちゃん。みんな心配してますよ~。私のことがそんなに好きなら、毎日ホールケーキ作ってくれたら付き合ってあげます~」


 メイメイ、話がややこしくなるから今は静かにしてて!

 それにホールケーキ1つで付き合えると思われたら、事務所宛にいっぱい贈られてきて困るからやめて!


「サッちゃんはすでに攻略済みだからいいの」


「私攻略されていたんですか~。知らなかったです~。じゃ~、ナギサちゃん、愛してますよ~」


 ええい、さらにややこしい!

 ぜんぜん甘々な雰囲気も出てないし、百合営業にもなっていないから、ホントおとなしくしてなさい!


「ナギサ。ファンのみんなが不安に思うからちゃんと説明して? 好きな人って人間?」


 ハルル、それは失礼……でもないか。どうせ宇宙人とかそういうオチだと思ってるでしょ。実はボクもちょっと思ってる。


「人間よ。この間ね……運命の人に出逢っちゃったの♡」


 ナギチが頬を赤らめ、その場で飛び跳ねながら1回転する。

 これはマジでマジなやつでは?


「どどどどんな方なんですか⁉」


「気になるわね。研究室の人? それとも事務所の人? 私たち、外出する機会がないから、出逢うにしてもその辺りよね?」


 ハルル探偵の推理が始まる。


「会場の皆様、そして配信をご覧の皆様のために補足情報です! サクラたちは現在、テロ対策の一環で、基本的には会社の敷地から外に出ることは禁止されています。今日のように敷地外でのお仕事の時は、外出届が受理された上でセキュリティの方が複数名同行しての移動になっているんです!」


 サクにゃんの説明を受けて、コメント欄がざわつく。


“噂はガチだったか”

“本気の対策だな”

“ちゃんと守っていてえらい”

“はよ犯人捕まれ”

“握手会は夢のまた夢か”

“外仕事なし宣言かよ”

“そういえば最近は映画ドラマの出演ないもんな”

“オファーいっぱいきてるだろうに”

“俺が捕まえてやる!”

“メイメイには指一本触れさせないぞ”



 あまりにショッキングな内容だったためか、すっかり話題がテロ方面へ傾いてしまった。ナギチの恋愛話はいずこへ?


「ちょっとちょっと~! みんな! 私の話を聞いてよ!」


「渚さんの恋のお相手のお話の途中でしたわね……。わたくしたちの知っている方なんですの? お答えくださいまし」


 ウーミーレポーターがマイクを向けてナギチにインタビューを始める。


「どうかな~。深夜に本社ビルの廊下ですれ違ったのよ~。背が高くてスラッとしていてかっこ良かった♡ 髪が長いんだけど、それを後ろで縛っていたの。それがツボ~♡」


 ああ、完全に恋する乙女じゃん。

 事務所関係者かあ。うーん、でも、こんなこと発表しちゃって≪初夏≫の人気に影響が出たらどうしよう。今頃スキャンダルでSNSが荒らされてるんじゃ……。


「ナギサ。一応聞くけど、それ本社の何階?」


「え? 37階だけど?」


 あ……それって。


「私とサツキの寮部屋があるフロアーよね……?」


「そうね~。サッちゃんの部屋でケーキ作りしててね、それからゲームしてたら遅くなっちゃったから、急いで自分の寮に帰るところだったのよ~」


 と、ナギチ。


 ああ、はい。

 完璧に思い出しました。


 1週間ほど前ですよね……。

 確かこんな感じ。


 ほわんほわんほわんほわーん。


『今日は気分を変えて、≪REJU_b≫を飲んでみませんか?』


 あれはそう、レイさんの気まぐれで始まった事件でしたね。

 いつもの日課――お風呂の時間に、10歳の姿になる≪REJU_s≫ではなく、20歳の姿になる≪REJU_b≫のカプセルを飲んだ日がありました。


『その姿ではるさんの部屋を訪問してきてください』


 お風呂から上がった後、レイさんのとんでもない無茶ぶりがありましたね。37階にエレベーターで降りてみたけれど、やっぱり勇気が出なくて、エレベーターホールからすぐに引き返して――まさかあの時、ナギチに目撃されていたなんて。


 犯人はボク(仮称:ダーリングさん)でした。


「ナギサ……37階は女性専用フロアーよ」


「えっ⁉」


 ナギチが驚いて目を見開いていると、ドームの天井からゆっくりと巨大モニターが下りてくる。


「なんでしょうか⁉ モニターが下りてきました!」


 サクにゃんが指をさしてみんなの注目を集める。

 モニターが下り切ると、10秒ほどの無音の映像が映し出された。


「あっ、この人!」


 ナギチが声を上げる。

 そこに映っていたのは、エレベーターから降り、エレベーターホールの角まで歩いていく人物の姿だった。その人物はすぐに引き返し、またエレベーターに乗ってどこかに行ってしまった。


 続けて2カット目。

 当該人物の顔のところがアップになった映像が流れる。

 はい、間違いなくボクですね。


「この人よ! 私の運命の人!」


 ナギチが宣言する。


「そう……なのね……」


 ハルルはこれ以上ないまでに苦い顔をすると、モニターから目をそむけた。


 どうするの、これ……。

 あの麻里さん? どういうつもりでこれを配信に乗せて流したんですか?


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