表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第九章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 ~ #6編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

407/441

第3話 世界征服は小さいってか!

 メイメイは「お母さんに会う」という目的を失っても、なおアイドルを続けている自分のことをどう思っているのだろう。


 ボクがそんなことを考えていると、ずっと沈黙していたメイメイが口を開いた。


「私~考えていたんですけど~、『ハルサクメイナギウミ一生アイドルしますドーム』が良いと思います~」


 それは……。


「全部まとめたということかしら?」


 都が恐る恐るといった様子で尋ねる。


「そうですよ~。みんなの好きを1つにまとめたら、も~っと好きになりますよ~!」


 ただまとめただけ。一瞬そう見えたけれど、もっと深い意味があったんだね。

 みんなの好きをまとめたら、もっともっと大きな好きになる。たしかにそうかもしれない。


 みんなと一緒にいたい。みんなと好きを共有したい。


 それがメイメイの答えなのかなあ。

 だったらボクは――。


「いいじゃん。すっごくいいじゃん。ボクも好きだよ」


 メイメイの好きを1番に応援する。その役目はボクだけのものだ。


「わたくしも『ハルサクメイナギウミ一生アイドルしますドーム』に1票入れますわ!」


「ギャラクシーじゃなくなるのはちょっと残念だけど、みんなの好きがいっぱいのほうがいい☆」


「私だって一生アイドルしたいもん。だから賛成よ!」


 ウーミー、ナギチ、そしてハルルが賛同の意思を示す。あとは呆気にとられて口を開けたままのサクにゃん次第か。


「サクラは……わからないです」


 そう言ってからうつむく。

 すっかり垂れ下がってしまったネコミミ。サクにゃんの表情がどんなものなのかは窺い知ることができない。


「サクラは、一生アイドルできるかわからないです……。でも今みなさんとこうしている今は……とっても楽しいです……」


 そう言ってからゆっくりと顔を上げたサクにゃんの目尻には、今にも零れそうなほど涙が溜まっていた。


「サクラは医療の発展に貢献したいです。そのためにアイドルを始めました。でもみなさんは一生アイドルをしたいと言う……。サクラと目指しているゴールが違うかもしれないです。でも! みんなでアイドルをするその先に、たくさんの人を笑顔にできる未来が待っているのだとしたら、それはサクラの目指しているゴールと同じなのかもしれないです!」


「さっちゃん……」


「サクラはみっちゃんが好きだし、コーチも好きだし、早月さんや春さんや渚さんも好きだし、みんなみんな好きです。だから、みんなでファンの人たちを笑顔にできるなら、ずっとアイドルしたいです!」


 とうとう涙が零れ落ちる。

 けれどそれがサクにゃんの頬から離れることはなかった。

 ウーミーが抱きしめ、サクにゃんがそれに応える。サクにゃんの涙はすべてウーミーの中に吸い込まれていった。

 そして2人を囲むようにハルルとメイメイとナギチが手を繋ぐ。


「みんなずっと一緒ですよ~。私だってお母さんを超えないといけないし、みんなと一緒じゃないと嫌ですよ~」


「私だってマキさんを超える女優にならないといけないし、そのためにはまだまだアイドル活動の中で修行しなきゃだし!」


「えっと、私は……宇宙一のアイドルになるまで死ねない☆」


 みんな少しずつ違っていてそれでいいんだ。

 武道館でライブをすることは1つの目標ではあるけれど、きっとゴールなんかじゃないんだって、最近わかってきたんだ。


 この5人ならその先がある。


 武道館のその先へ。

 それこそ日本を飛び出し海外へ。


 そして宇宙へ――。


 不可能だと思うかい?

 ボクはそんなこと微塵も思わない。


 実現不可能だって?

 バカ言っちゃいけないよ。

 最高にかわいい宇宙服くらい、簡単に作れちゃうメンバーがそろっているんだよ?


 いいじゃん。

 宇宙から地球へ。そして外の銀河に向けてライブをしてやろうじゃん。

 それでこそギャラクシーなアイドルになれるってもんだよね。


 きっとその時はさ、メイメイだってお母さんを――秋月美月さんを超えたって胸を張って言えるんじゃないかな。どこかにいる宇宙人のファンを獲得したりしたら、そりゃ堂々の勝ちさ。

 なんかさあ、勝手な想像だけど、メイメイって宇宙人にも人気出そうだよね。地球の枠にはおさまらないっていうやつ? そうだよ、宇宙人相手にゲリラ豪雨配信をしてやろうじゃないの。その時はボクだって喜んでふわふわを踊るよ!


「カエちん、何をニヤニヤしとるんや?」


 シオがほっぺたをつついてくる。


「んー、未来のことを妄想してた」


「未来か……。夢はでっかく世界征服やんな」


「世界征服? 違うって。そんな小さいことじゃないよ」


「世界征服は小さいってか! 言うやないか~」


「だってさ、みんなは地球なんて小さな枠に収まるようなしょっぼいアイドルじゃないでしょ。目指すは宇宙制覇だよ!」


 それを聞いてシオが膝から崩れるようにしゃがみ込むと、そのまま床を転げまわって笑いだす。


「ええやんええやん。急にカエちんビックマウスやんか。うちはそういうのむっちゃ好きやで~。あ~、この場面すぐにマンガにせな!」


 スッと音もなく立ち上がると、「ミャちゃん、後は頼むで」と都の肩を早々に会議室から出て行ってしまった。


「とても感動的な場面で……。急に司会進行を任されてしまったわ」


 やれやれと、首を鳴らしながら前に進み出る都。


「最終確認するけれど、『ハルサクメイナギウミ一生アイドルしますドーム』に正式決定で良いのね?」


 都の言葉に、力強く頷く≪初夏≫の5人。


 ああ、とても良いドーム名になったね。ドームの名前に負けないように、一生本気でアイドルしよう!

 

 あ、ファンクラブ名も決めないといけないんだっけ……。ちょっとドーム名だけで盛り上がり過ぎちゃったな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ