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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第九章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 ~ #6編

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第1話 新ドーム名とファンクラブ名はどうする?

「さあ、今日は≪初夏≫にとって記念すべき日やでっ! 全員気合を入れるんや!」


 シオがホワイトボードをバンッと叩く。

 今日のシオはなんだかすごく鼻息が荒いな。なぜかいつものちょっとふざけてふにゃふにゃした感じがみじんもなく、キリッとした表情を見せているし。ほんまにどうしたんや……。


「それじゃあミャちゃん、あとは頼むで」


「えっ⁉ 私が進めるの?」


 急に話を振られて、まごまごする都。

 はい、完全に油断してた人ー。イスの背もたれに寄り掛かって優雅にコーヒーなんか飲んでるから無茶ぶりされるんだよ。


 都が咳ばらいをしてから立ち上がり、ホワイトボードの前に進み出る。


「オホンオホン。え~、本日はお日柄もよく~」


「校長先生ー、演説が長いぞー。本題に早く入ってー!」


 適当にヤジを飛ばしておこう。

 きっとボクの役割は、場を和ませる役ですよね。


「誰が校長先生よ! そう! 今日集まってもらったのは重要な決め事があるからです。みんなもわかっていると思うけれど、昨日でファンクラブ名称と新ドームの名称の募集が締め切られました」


「いよいよギャラクシードーム爆誕ね☆」


 ナギチ、それはどうかな?

 

「春と楓の愛の巣ね!」


 ハルル、それは候補にすら入ってないから。

 あ、自由記入で1票入っていたけど、ハルルさん、自腹切ってファンクラブに入って自分で投票しましたね? 普通そこまでする?


「ファンクラブ名も募集していたんですか~? 知らなかったです~」


「ファンクラブ名ですか! そうなんですね! サクラも知りませんでした!」


 はい、メイメイとサクにゃんはちょっと失格だよ! ちゃんと事務所のホームページの告知を見たりして関心を持とうよ? ナギチとハルルほど前のめりじゃなくても良いけどさ。ファンクラブ名とドーム名を選ぶなんて、もう一生ないかもしれない一大イベントだよ!


「みなさん、ごめんなさい……。わたくしは……とんでもない罪を犯してしまいましたわ……」


 突然、ウーミーがうつむき、懺悔を始める。

 いったい何があった?


「突然どうしたのさ? ウーミーの体重が70kg超えたって、みんなファンをやめたりしないよ?」


 ぽっちゃりのほうが人気が出るって言ったじゃん?

 今のところボクの言う通りになってるでしょ?


「まだ64.9kgですわっ! つまり四捨五入したら60kgですわっ!」


 机を叩いて立ち上がる。

 あー、うん。まあまあ良いコンディションだと思うよ。でももっと攻めて行こう!


 って、コラッ! そこのハルルとメイメイ!

 ひそひそしない!

 ウーミーの体重はいいの! これくらいが理想的なんだってば!


「みっちゃん……。もう少しでサクラの倍……」


 さすがにそこまででは……サクにゃんは40kgちょっとでしょ? それは逆に軽すぎるのよ。ウーミーもさ、それこそ80kgとかになっちゃったらヤバいかもしれないけど……。って、ショックを受けすぎて、もうウーミーが気絶しかかってるじゃんか……。体重が倍はパワーワード過ぎますよ。


「はい! 体重の話はもういいから! それで? ウーミーはどんな罪を犯したっていうのさ?」


 話が進まないから強引に話題を引き戻そう。


「はっ! わ、わたくしは……」


 そんなに思い詰めた表情をして、いったい何をしたって言うんだ……。まさか、ガチの犯罪……?


「せや。先に言うとくわ~」


 シオが何かを思い出したようだ。


「ファンクラブ応募は個人情報取り扱ってるしやな、春さんと海さんの応募は無効にさせてもらってます。ごめんな」


「ああっ! わたくし、ちゃんと母の名前を使って入会しましたのに!」


「残念やな~。会社支給の端末から応募したらバレるで~。もうちょっとうまくやったってや~」


 シオがいやらしく笑う。


「お母さんに直接応募してもらえば良かったのにね」


「その手がありましたわ! 今すぐ母に頼んできますわ!」

 

 ウーミー(64.9kg)が素早い動作で席を立ち、会議室を出て行こうとする。


「ウーミーさんや。もうファンクラブ名もドーム名も応募を締めきったからね。今からだとただのファンクラブ加入しかできないよー」


「なんということですの……。時を戻してくださいまし……」


 そんなに絶望するようなこと?

 お母さんが応募してくれたとして、その分1票増えたところで、何が変わるわけでもないと思うんだけど?


「はい注目」と、都が手を叩いて視線を集める。


「めでたく不正はなしね。すでに私たちのほうで開票と集計は終わっているで、みんなで見ていきましょうか。まずはわかりやすいほうからということで、ドーム名かしらね」


 打ちひしがれるウーミーをよそに、都が淡々と話を進めていく。

 ウーミーはさ、悪いことするのに向いてないからね。これまで通り真面目に生きよう?


------------------------

新ドーム名を決定しよう!


1. 夏大好きドーム   10,106票

2. 初夏の秘密基地   11,035票

3. ギャラクシードーム 23,502票

4. その他(自由記述) 

------------------------


「票数だけ見るとこんなところやな」


「やった~! ナギサのギャラクシードーム☆」


 ナギチ、ウィニングラン。埃が立つから静かにしてね。

 1入会につき1票なのに、けっこう票が集まったものだなあ。つまり5万人近くファンクラブ会員の応募があったってことだよね。≪初夏≫も売れたなー。


「もうちょっと票が割れると思ったんやけどな~。意外やったな」


「定期公演#4で渚さんのMCが良かったせいもあるかもしれないわね」


 都による冷静な分析。

 まあたしかにそれはありそう。あれで、ナギチに対する好感度が上がってそうだしなあ。


「ナギサちゃんおめでとうございます~。ケーキでお祝いしましょうよ~」


「そうね! ギャラクシーな1億段重ねのケーキを作らなきゃ☆」


 月まで届くといいね。でもお財布にやさしいケーキ作りをしようね。配信用のケーキじゃないなら、さすがに材料費は経費で落ちないと思うし……。


「ちょっと待ちぃ。まだ『ギャラクシードーム』に決まったわけやあらへんよ」


 シオが再びホワイトボードを強めに叩く。

 と、くるりとボードが回転し――。


『自由記入欄からもファンの意見を拾い上げよう』


 美しい字でそう書かれていた。


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