第27話 定期公演#5 その6~ハルvsサツキ☆逆野球拳対決~着膨れするのはどっちだ⁉(2)
「ちょっと横暴な本部からのルール変更があったけど、いったん無視してMCコーナーを始めましょうかねー」
ボクはどんなことがあっても絶対脱がないからね!
なんていったって、今日のメイド服は脱げる部位がまったくないし!
「ぶ~ぶ~!」
「Booooooo!」
「だから無駄に良い発音でブーイングすんな! おい、会場も乗っかってブーイングするな! うるさいぞ! キミたちはボクの身内みたいなもんでしょ! メイメイたちの味方をするんじゃないよ。まったく……ほら、もういいからさっさとゲーム始めるよ! 先にスタートボタンを押すのはどっち⁉」
ハルルとメイメイがお見合いをしている。
交互にやるんだから、どっちが先に押しても変わらないって。
「じゃあもう、ハルルからね! はい、こっち来てスタートボタンを押す!」
「は、は~い」
慌ててハルルが駆け寄ってくる。
「1発目だし、おもしろいのを引いてね!」
「おもしろいのっ⁉ 私、何すればいいの⁉」
とたんに挙動不審になるハルル。
ホント、アドリブに弱くてかわいいなあ。
「押せばわかるさ。きっと笑いの神が助けてくれる!」
「え……が、がんばります……」
ハルルが自信なさげにタブレット端末の「スタート/ストップ」ボタンをタップする。
「最初のルーレットが始まりました~! さあ、赤か? 青か? 会場のみんなも、配信のみんなも、好きなほうのペンライトを振って応援してね!」
一斉に会場の色が赤と青の波に切り替わる。
半々ってところかな。
「ほい、じゃあハルル。ストップボタンを押して!」
タップ操作によるストップの指示から数秒。カーソルがだんだんとゆっくりになっていき、
「止まったのは【赤】だ! 最初の犠牲者ハルルだー!」
「え~私⁉」
「わ~い、私の勝ちです~。I'm the winner!」
いや、まだ1回戦だからね。
“ぬ~げ!ぬ~げ!”
“ぬ~げ!ぬ~げ!”
“ぬ~げ!ぬ~げ!”
“合コンの3次会かw”
“これはひどいノリwww”
“しょっぱなから飛ばし過ぎだぞw”
“合コンはこんな感じなのか……”
“合コンエアプwそんなわけないだろw”
「いや、だから5回戦までは【着る】しか出ないからね? しかし配信のコメント欄の人たちは泥酔でもしてるの? 自重したまえよ……」
ここにいるのはアイドルだからね? 脱げコールはダメだよ?
「はい、じゃあ『次へ』運命のパネル選択! 張り切ってどうぞー!」
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【赤が】
【≪1~3≫枚】
【≪指定部位≫に(から)】
【着る/脱ぐ】
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スタート。
くるくると3枚のドラムが回りだす。
ハルルが着るのはどれだ⁉
ストップ。
ゆっくりと運命のパネルが止まっていき……。
「おーっと、結果が出たぞー!」
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【赤が】
【3枚】
【頭に】
【着る】
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「なんとー! しょっぱなからMAXの【3枚】を引いたー! これはハルル神引きだー!」
「ちょっと~! 最初は1枚からじゃないの⁉ 頭に3枚も何を着ればいいのよ⁉」
「ハルちゃんがんばって~!」
プチパニックになっているハルルと、完全に他人事のメイメイ。
愉快愉快♪
「さあ、ハルルさん。【頭】のアイテムが置いてある山に向かってください! 着用までの制限時間は1分ですよ!」
「時間制限あるの⁉」
ハルルが慌てて走る。
あ、制限時間はボクが今勝手にルール追加しましたよ♪
「え~、どうしよう⁉ これ? これ……あ~これでいいや!」
うるさく騒ぎながら、ハルルが頭に何かをかぶっていく。
「そろそろ時間ですよー。さあ、カメラの前に見せてください!」
「は、はい!」
戻ってきたハルル。
その格好は⁉
「えーと、ハルルさん? 一応コンセプト的なものを教えてもらっても良いですか?」
「コンセプトも何も……」
「じゃあ被った3つのアイテムを教えてください」
「まずは包帯ネットでしょ。それから真っ赤なアフロのカツラ。最後に、サングラスよ!」
“雷様w”
“雷様がサングラスを頭にかけてるw”
“ハルル様”
“昔のナギサにちょっと似てるw”
“色が金髪だったらそっくりwww”
“包帯ネットはグッジョブだったのになw”
“なぜ嵩張るアフロをチョイスしたwww”
“もう絶対頭に何も乗っけられないだろw”
“3個はきついって”
“勝ちよりもおもしろに走ったなw”
“評価するぞ!ご褒美にカエデ脱げ!”
「アフロのカツラ、雷様って言われてますよ?」
「しっくりくるのがこれしかなかったの! 1分は短すぎ!」
しっくりって……。アフロのカツラをしっくりくるって表現する人はハルルだけだと思いますよ?
「まあいいでしょう。1回戦クリア! でもこのペースだと終わりが見えてこないので、もっとサクサクお願いしますね? はい、メイメイ! ハリーアップ!」
「は~い! START! ……&STOP!」
スタートした瞬間にストップボタンだと⁉
ナイス時短だ、メイメイ!
「おっと、またしても【赤】だ!」
「わ~いわ~い!」
「え~! ズルしてない⁉」
「NOTズルです。これはコンピューターによるランダム計算なのでノークレームでお願いします!」
物言いは受け付けませんよ! VARも入りません!
「はい、メイメイ! 次のパネル選択もサクッとお願いします!」
「は~い! ポチッ! ポチッ!」
またしても高速スタート&ストップ!
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【赤が】
【1枚】
【下半身に】
【着る】
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「はい出ました! 今度は1枚でしたねー。ハルルさん、【下半身】コーナーへどうぞ!」
「ぅ~」
小さく唸り声を上げながら、歩き出す。
「時間1分ですからね?」
「わかってるわよっ!」
逆ギレ!
「ほら、もう着たわよ!」
「なんでちょっと怒ってるんですか……。あ、はい、ちゃんと着られてますね。その赤いチェック柄のミニスカートかわいいですよ。2回戦クリア!」
「ふん、だ」
ご機嫌斜めのままのハルル。
かわいいと褒めてみても効果はなかった様子。
「雷様がスカートを穿いたところで、3回戦に参りましょうか! 雷様、スタートボタンをお願いします」
「……スタート」
やさぐれてるなあ。
ちゃんと頼みますよ。
「……ストップ」
「はい、止まりました。今度は【青】ですね。メイメイが着る番です。ハルルさん、3連続は回避できて良かったですねー」
「ふん、だ」
「あらら。ご機嫌が良くないようで。でも、次のパネル選択はお願いしますよ!」
「……スタート」
運命のドラムが回りだす。
「……ストップ」
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【青が】
【1枚】
【左足に】
【着る】
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「左足ですねー。これはラッキー回かな?」
手足はいくらでも重ねられそうだもんね。
「は~い。行ってきま~す」
メイメイが【左足】コーナーへ。靴下を履くとすぐに戻ってくる。
「おもしろくないので次いっちゃってください~」
「おもしろくないって自分で言わないでおいて。まあ、靴下だけだといじりどころはないけどね……。3回戦クリア! よし、サクサク行きましょう! 4回戦、メイメイのターンだね!」
こうして、2人が交互にスタート&ストップを繰り返していき、ちょうど10回目に事件は起きた。




