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第4話 アイドルマネージャー円卓会議

「まだ契約締結前ですが補足説明を。来週からみなさんにはしばらくはこの5人でチームとして動いてもらいます。アイドルの子たちのマネージメントがメインのお仕事ですが、それにはあなたたちの連携も必要になってきます」


 アイドル5人にマネージャー5人。

 表と裏の役割で連携が必要なのはわかる。


「そこで!今日は親睦を深める時間を取ってから解散にしたいと思います。みんなでお菓子でも食べながら、ね? ね?」


 秘書のお姉さんこと黒川さんが、グッドアイディア出しました、みたいな感じに手をポンと叩くと、得意げな顔でこちらの様子を覗き込んで確認してくる。


 親睦会ね……。

 周りの反応を伺うように視線を散らすと、他のジャージメンバーも困惑の表情を浮かべながらキョロキョロして出方を伺っていた。


「ほら、そこの丸テーブル出してきて、みんな円になるようにイスを並べて。私はお菓子と飲み物を取ってくるから! キビキビ動く!」


 部屋の隅を指すと、黒川女史はさっさと部屋から出ていってしまった。

 そういえばいつの間に大人3人組もいない。……あの人たちなんだったんだろう。結果も聞いてないけれど、契約書を渡されたってことは合格……なのかな。マネージャー試験に?


「ねえ、このテーブルすごく重いわ! 誰か手伝ってくれない?」


 部屋の隅のほうから声が聞こえる。

 振り向くと、ポニーテールの子が1人でテーブルを運ぼうとがんばってるようだった。両手広げても届かないくらいの円卓だし、1人で運ぶのは無理だろう。


「はーい、今行くー」


 ボクはそう答えながら、小走りでポニーテールの子のほうへと進んだ。


「ありがとう〜。あ、私、市川都(いちかわみやこ)です。よろしくね」


 ポニーテールの子が右手を差し出してくる。

 ボクは反射的に手を出し、握手で応えた。


 柔らかっ。

 市川さんの手は皮ふが薄くてふわふわしっとりで、薄皮まんじゅうみたいな感触。


「うん? どうしたの?」


 市川さんが不思議そうにこちらを覗き込んでくる。


「あ、いや、その……七瀬楓です。よ、よろしくお願いします……」


 慌てて手を引っ込めながら、ボクは名乗った。


「楓ちゃんね。よろしくよろしく〜。じゃあ、さっくりテーブル運んじゃおう!」


 市川さんは軽くウィンクしてから丸テーブルのほうへと向き直る。


 ちょっと……女子〜そういうのやめてよ。

 惚れてまうやろ……。


 市川さんが丸テーブルを持ち上げようと力を入れる度に、ポニーテールがピョコピョコ左右に跳ねる。


「ちょっと! 楓? 重いんだからサボってないで早く手伝って!」


 いくらか上気した市川さんの顔がこちらを見てくる。


「あ、ごめん」


 ボクは市川さんの正面に回り、円卓の反対側を持ち上げにかかる。


「よいしょ、よいしょ」


 2人であればなんとか持ち上がるくらいの重さではあるが、けっこうきつい。

 ここは男のボクががんばらなければ。



「うちも手伝う〜。三井栞(みついしおり)です〜。よろしゅう」


 サイドテールの長身女子が駆け寄ってきて、丸テーブル運びに参戦してくれた。


 市川さんとボクも軽く自己紹介。

 他の2人はというと、どうやらイスを並べてくれているようだ。


 3人いれば十分持ち上がる重さなので、これでフォーメーションはバッチリ。



 丸テーブルを運び終え、イスもきれいに並べ終わるかどうかという時に、黒川女史が扉を開けて戻ってきた。


 え? これからどこかに売りに行くんですかってくらい大量のお菓子と飲み物。

 なんかリアカーみたいなもので運んできたけれど、この人大丈夫か?


市川さん、三井さん、他の2人も困惑の表情を浮かべていた。


「これ? 経費だから大丈夫よ。好きなお菓子開けて食べましょう」


 黒川女史が両手いっぱいにスナック菓子やらチョコレートやらを抱えて目を輝かせている。


 気にするのそこ?

 あ、はい。仕事できる風のちょっと残念お姉さんね。


 そして第1回(?)アイドルマネージャー円卓会議が始まる!

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