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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第八章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 ~ #5編

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第22話 定期公演#5 その1~いつかNo.1になってやる!

 いつも通り熱が出た後、ボクはなんとか元の体に戻ることができていた。

 元に戻るまでレイがそばにいてくれたので不安はなかったよ。

 ≪初夏≫のメンバーもボクとレイ抜きで準備ができたし、混乱はなかった! みんな元気にステージ上でのスタンバイを終えているしバッチリだ!


 でもさー、まったく……麻里さんのせいで定期公演が無茶苦茶になるところだったよ……。

 理由を言ってくれ、理由を!


 そんなことを考えていると、配信画面から『公演開始までしばらくお待ちください』の文字が消え、Overtureが流れ始めた。


 うん、もういいや。

 気持ちを切り替えて今日もがんばるぞ! ≪初夏≫専用ドームから、定期公演#5の配信スタートだ!



 1曲目。

 オープニング曲として使用頻度の高い『We’ll be the No.1 IDOL』が始まる。


 舞台中央に集まり、5人の右手がスターマークを作るところから始まる。

 テーマはアイドル誕生物語だ。


 ずっとサビがループするご機嫌でアップテンポなダンスミュージック。これぞアイドルソングの王道と言える曲に仕上がっているといえるだろう。


------------------------------

わたしたち(No.1!)やってきた(No.1!)

かわいいでしょう(私たち)駆け出しのアイドル

知らないの?(No.1!) すぐ推して♡(No.1!) 

それがわたしたちのパワー(No.1アイドルNo.1!)

------------------------------


 ドームの照明設備によって、より派手になったライトの光に合わせ、ポップコーンが跳ねるように5人が舞台上を駆け回っていく。


「やっぱり良いなあ。この曲はテンション上がる!」


 何が良いかって、そりゃコールが初心者にもわかりやすいし、サビが続くから一体感が生まれるよね。漲るパワーを感じる。


 No.1! No.1! No.1アイドルNo.1!


 この曲が発表されたばかりの頃は、≪初夏≫はホントに駆け出しのアイドルで、ファンの数も今の100分の1くらい? もっと少なかったかもしれない。でもきっとね、≪初夏≫のみんながこの曲を歌い続けたから、ファンのみんなが推してくれて、パワーを与えてくれたんじゃないかなって思うよ。

 

 わたしたちは駆け出しのアイドル。

 でもいつかはNo.1になってやる。

 わたしたちのかわいさに誰もが振り向く時代がやってくる。

 明日のNo.1アイドルはわたしたちだ。


 爆弾テロ事件はきっかけに過ぎない。

 みんなががんばってきたからこそ、まさに今、≪The Beginning of Summer≫の時代が到来しつつあると言えるんだとボクは思っているよ。


 何一つ事件は解決していないし、SNS上でいろいろなことを言う人もいる。

 だけど、ボクたちは決してそれらの言葉に屈したりはしない。


 だって≪初夏≫のみんながこれから歩んでいく道の先には、アイドル界の頂点の座が待っているんだって信じているからね。その頂に手をかけるまで、ボクたちは立ち止まったりはしない。


 No.1! No.1! No.1アイドルNo.1!

 いつかNo.1になってやる!



 興奮冷めやらぬまま、2曲目へと突入していく。

 2曲目は『サツマイモラブ』だ。

 ひさしぶりの登場かもしれない。ホントは幻となってしまった定期公演#3の後半のセットリストにラインナップされていたからね……。


 サクにゃんとウーミーのダブルセンターの曲。

 今や『#海桜』として、ファンの間でも認知されている百合カップル(営業?)だけど、きっかけはこの曲からだったんだよね。


 まあ、忘れもしない2023年10月9日。≪初夏≫のデビューイベント。

 足をケガしたウーミーの代役として、密かに舞台になったレイ。完全にウーミーになり切っての『サツマイモラブ』はホントにすばらしかったよ。

 あのデビューイベントでレイの繰り出したラストシーンで「ほっぺにキス」というアドリブが後の『#海桜』に繋がっていくことになるとは、誰も想像できなかったよね。


「わたしの計算通りです」


 レイが微笑む。


「ホントにぃ? まあ、あれのおかげでデビューイベントも成功したし、その後の展開にもつながったから、知る人ぞ知る偉業だよね」


「それほどでもあります」


 今日はいつにも増してレイの機嫌が良さそう。

 控室は今ボクとレイの2人だけ。もう10歳児の状態ではないのに、レイの膝の上に乗せられて抱えられている状態で……。

 うん……。今ボクのほっぺにキスはしなくていいからね?


「この状況ってさ、人から見られたらけっこう変な状況だと思うんだけど……」


 外で抱っこされるのはけっこう恥ずかしいんですよ? せめて寮の部屋の中だけにしてもらえませんか?


「今は誰も見ていませんし」


 レイは悪びれる様子もなく、ボクの首筋に鼻をこすりつけてくる。


「んっ。くすぐったいよ……」


「今は誰も見ていませんし」


 もう。

 それを言われたら何にも言い返せないでしょ……。


「ああっ、『サツマイモラブ』だ! コール、コール!」


「はい。では一緒に」


 ボクは、レイの膝の上に座ったまま、ペンライトを掲げる。色はもちろん、グリーンとピンク。#海桜の色だ。


 せーの。


『カチカチ山のお嬢さん そんなに急いでどこ行くの 子ネコが落ち葉を待ってるの 石焼きぃ芋でアッチッチ ラブラブラブうみさくラブ サツマイモラブでうみさくラブ ぼくらのうみさく愛してる 春夏秋冬愛してる!』


 いいねー。

 レイもなかなかサマになってきたね!


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