表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第八章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 ~ #5編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

381/442

第8話 親子で楽しむ演劇~雨の雫と妖精と~その1~妖精レースは競馬形式にする?

「よ~し、お前ら~! 今日は気張っていくぞ~!」


 おー。

 マキの掛け声に合わせて、ボクとメイメイとハルルとレイの4人が遠慮がちに小さく気合を入れる。


「どうした~、我が愛しの妖精たち? 気合が足りないと、子どもたちに若さで負けるぞ~!」


 おー。

 マキさん、今日はずいぶん気合が入っていらっしゃいますね。


「ボクたち、マキとは違ってまだ若いから大丈夫です」


 まだ10代だもの。


「おぉ⁉ ケンカ売ってんのかっ? おおぉん?」


「レイー、白タイツがメンチ切ってくるよー」


「誰が白タイツだ! 黄色のカレー、コラァ!」


 全身白タイツのマキがめっちゃ凄んでくる……。

 まあ、ボクも全身黄タイツなんですけど……これが妖精?



 というわけで、今日はマキが所属する『劇団ハインツ』の舞台の日なのだ。

 子ども向けの舞台『梅雨シーズンのモヤモヤを吹き飛ばせ! 親子で楽しむ演劇~雨の雫と妖精と~』を公演するのだー。


 今日はひさしぶりに会社の敷地を出て、とある小学校の体育館に来ているわけだけど、セキュリティ的には若干不安が残るね……。

 もちろんウタがしっかりとサポートしてくれることを条件に、今日の出演許可が下りているんだけど、それでももし何か起きたりして、子どもたちに危険が及んだらホントのホントに困る……。


≪ハロー。聞こえるかしら。楓聞こえる?≫


 お、ちょうど噂のウタの声がボクの脳内に響き渡る。

 感度良好。音声クリアですよ。


 今日も今日とて、セキュリティ対策バッチリの専用チャンネルでコントロールルームのウタから話しかけられているわけで。ボクのデジタルAI脳には、そんな音声通話用の専用ポートが開いているんですって。不思議ですね。


≪観客数も少ないし、小学生とその両親のみの参加だから問題ないとは思うけれど、念には念を入れてサポートしていくわよ≫


 助かります。

 やっぱりメイメイがいるからね……。アイツが出てこないとも限らないし。


≪楓たちは舞台に集中して。それ以外のことは私に任せなさい≫


 はーい。

 まあね、今日はオンライン配信もないから、さすがにボンバー仮面V3だって何もすることがないはず……とは思っているけれど、定期公演#4を完全スルーして何も仕掛けてこなかったのが逆に不気味すぎる……。


「お~い、カレータイツ? 早よこっちで打ち合わせするよ~。その後メイクと衣装合わせだぞ。キビキビ頼む~」


「はーい」


 じゃあウタさん、あとのことはお願いします。



* * *


「というわけだから、台本はあるけれど、今日の舞台は素で大丈夫。自由に演じていいから、子どもたちを良い感じにいじって舞台に上げたりして楽しませちゃおうぜ!」


 演劇というよりはヒーローショーのノリなのかな。

 だからボクたち妖精は戦隊カラーなのか……?


「はい~。子どもたちを全員舞台に上げちゃいましょう~」


「それはちょっと……メイメイちゃん、子どもは3人までね!」


 ナイス、マキ。

 メイメイに任せたら危ない。

 観客が消えてしまうところだった……。


「3人だけですか? 私たち5人だから、1人につき子ども1人を選んで舞台に上げるのはどうです?」


 ハルルの提案。


「ハルル、それいいね! それはちょっとおもしろいかも。みんなでしりとりする辺りの流れの辺りで子どもたちと一緒にやりたいかも」


 にぎやかなのはボクも賛成だなー。


「そのほうが盛り上がりそうですね」


 レイも賛成してくれた!


「じゃあそうしよう! 負けたらひどい罰ゲームを受けるのは、変わらないからな~! 者ども~、しっかり賢そうな子を選ぶんだぞ~?」


「そう言っておいて、マキが罰ゲームを受ける姿が目に浮かぶようだよ」


 最下位にならなきゃいいんだし余裕余裕。



「あとは妖精レースか……」


 舞台上を端から端まで走る。ボクたち5人の妖精がガチレースする謎のコーナー。

 そんなのを見て、ホントに子どもたち楽しんでくれるのかな?


 と、ここでレイが手を上げる。


「その妖精レースも、子どもたち『あり』で行くのはどうでしょうか?」


「レイ、それはどういうこと? 子どもたちも一緒に走るの?」


「いいえ、背中に乗せて、お馬さんスタイルです」


「……マジ?」


「まじです」


 レイが真剣な表情で頷く。冗談で言っているわけではなさそうだ……。タヌキの「骨取ってこい」の悪夢再び……。


「ご両親に3連単の投票権をお配りして、レースを楽しんでもらいましょう」


「3レンタンってなんですか~?」


「競馬用語です。1着、2着、3着の着順を予想する形式です。子どもたちのご両親に、わたしたちの色で着順を投票してもらい、見事正解された方には豪華プレゼント、などいかがでしょうか」


 豪華プレゼントねえ。


「レイちゃん、それすごく良い! プレゼント用意しちゃおう! うちの次回公演のチケットや今日のブロマイドをプレゼントしちゃおう!」


 マキがとっても乗り気だ!

 笑顔でレイの手を取ってブンブン振っている。今日は珍しく2人が仲良しだ!

 でも、ボクはぜんぜん乗り気じゃないです! もう四つん這いで走るのは勘弁してほしいです!


「自己紹介を考えておかないといけませんね」


「自己紹介って?」


「馬名と、自分がどんな馬なのかを紹介しましょう。脚質などが予想に役立つのではないでしょうか」


「キャクシツ……?」


 ハルルもメイメイも頭にハテナマークを浮かべている。

 レイさん、もしかして競馬詳しいんですか? ボクもぜんぜん詳しくないので……。


「わたしも競馬はそこまで詳しくはないな~。脚質は馬の走り方のことだよね? 逃げとか差しとか?」


 マキも難しい顔をしている。

 詳しくないボクたちが競馬に寄せてレースするのは大丈夫かな……?


「そうです。わたしがみなさんの自己紹介も作っておきます。あとは競馬に詳しいわたしにお任せください」


 そう言って、レイが画用紙に何かを書き始めた。

 レイは何で競馬に詳しいんだろう。未成年なのにね。


「よっし! 目玉のレースはレイちゃんに任せちゃおう! 本命はタヌキダッシュのカエデかな? かな?」


「マキ、あの動画見たの? あれは……うん、もう忘れて……」


「マキさん、ダメですよ。あげませんからね! 私のタヌキちゃんですからね!」


 ハルル、すぐに抱きついてくるんじゃない。

 あの時だけのペット役だから……。


 しかしなんであの動画で人気が出るんだよ……。いや、ハルルの人気が出るのは良いことなんだけど……あの動画は納得いかないなあ。


 まあ、ハルルの推しメン設定が増えたから良いんだけど……納得いかないなあ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ