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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第一章 オーディション 編

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第38話 オーディション1次

 オーディション当日の早朝。

 自宅組も集まり、ボクたちは緊急ミーティングを行った。

 

 あらかじめ用意されていたシナリオを、都からみんなへ告げられる。

 アカリさんが緊急帰国して今日のオーディションに参加できないこと。

 ボクが代役を務めること。


 みんな一様に驚いてはいたけれど、すぐに切り替えて今日の準備の話に移っていった。

 さすがだ。動揺していてもそのままではいけない。みんなプロ意識がしっかりと芽生えていた。むしろボクがこの中で一番覚悟が決まっていないのではないか、そう思えてならない。


「とにかくまずは1回通してやってみましょう」


 全体を仕切るのは都だ。

 たしかに、まずは現状を知ろう。この5人で合わせるのは今日が初めてだ。できるだけ感覚を合わせる時間を取らないと。


「えっと、1次が課題曲で歌とダンス。2次が公開生配信やんな?」


 シオが端末で今日のオーディションの要項を確認している。

 今準備できるのは歌とダンスのほうだよね。


「セッティングできてます。みなさんはそれぞれ前の指定位置へどうぞ」


「録画もまわします」


 話の裏で、レイとウタがそれぞれ準備をしてくれていた。本当に助かる。


「まずは歌だけいきましょう。ハンドマイクは持った? よし、音楽スタート」


 都の合図とともに、課題曲の歌唱に取り組む。



 歌のあわせは体感まずまずか。続いてダンス。


「レイ、ウタ、シオ。全員にヘッドセットをつけてあげて。OK? いくわよ」


 ボクはメイメイとは逆側のポジション、アカリさんのスタート位置を確認する。特に違和感はない。大丈夫。



「はい、お疲れさまでした。大きくは問題なさそうね。細かい点、見ていきましょうか」


 ボクたちはひとまずイスに腰かけて、モニターに映し出された映像をチェックしていく。


「あ、コーチ、ここ。普段サクラと灯さんがフリーで絡むシーンなんですけど、このあごを撫でるパターンは身長差があるからセクシーで映えると思うんですけど、コーチとサクラは同じくらいの身長なので、違うパターンにしませんか?」


「OK。たしかに。どんなのがいいかなあ」


「そうですね~。月並みですけどハイタッチとか?」


「まあ、ありかな?」


 そんなこんなで代役のボクが入った状態でのバランスを調整として、何度か繰り返し振りを確認していった。

 大きな問題はない。なんとか行けそうな感触を得た。


 オーディションはお昼の12時開始。あと2時間ほどある。


「ねえ、提案なんだけど」


 そう言って、都がみんなを集合させる。


「少し早めのお昼ご飯でも食べながら、みんなでちょっと話しない?」


「話?」


「このあとオーディションで、みんな緊張もしてると思うの。でもみんなここまでがんばってきた。あとはやるだけだから。体は休めて、最後の時までみんなで一緒にいたいなって思っちゃって」


 最後の時。

 もし今日のオーディションに落ちたら、このチームは解散するかもしれない。このメンバーでいられるのは今日が最後かもしれない。その事実を思い出させられる。


「あーしたち、もう家族みたいなもんやんな? 家族で一緒に食事するのええやんな?」


 ナギチが立ち上がる。一生懸命盛り上げようとしてくれているのが伝わってくる。


「私、食堂でみんなのお弁当とデザート買ってきます~」


 メイメイも立ち上がった。

 あ、でも、このあとオーディションだから、あのなんとかかんとかマックスタイプ2って巨大なパフェはダメよ?


「わたしも一緒に食堂に来ます」


「うん、レイちゃんいこ~」


 昨晩からより一層仲良くなった雰囲気のある2人。複雑……。


「あ、私も一緒に行きます」


 ハルルが遅れて立ち上がった。これで女子高生3人そろい踏みか。


「零、春さん、早月さんが買い出し。ほかのメンバーは机を丸くしたりして待ってましょうか」



* * *


「それではいただきます」


 サンドイッチやサラダなど、軽食が並んでいる。

 さすがにこれから歌って踊る前なので、がっつり食べることはできないから、これくらいがちょうどいい。

 固形物はちょっと、という人のために、ゼリー飲料も準備されていた。気が利くね。


「あ、これ、おいしい。サンドイッチに挟んであるのはサーモンのマリネ?」


「さすがシオちゃんお目が高い! それは食堂のおばちゃんの隠れメニュー、サーモンマリネサンドなんですよ~」


 出た、隠れメニュー。メイメイはホント食堂のおばちゃんと仲がいいなあ。この明太子ポテトサラダも、たぶん通常メニューにはないよね?



「ねえ、みんな。聞いてくれる?」


 わいわいと食事をしている中、都がみんなの視線を集める。


「私思うのよ。このチームは本当にすごい! ほかにどんな参加者がいるか知らないけど、絶対勝てる! そう思うのよ。こんなに仲が良くてチームワーク抜群で、歌もダンスもたった2週間ほどの間にとんでもなく成長してるもの。毎日見てるとわかるのよ。対バンから1週間、とくに細部まで磨かれてきている実感があるわ」


 都はうっとりとした表情で、ここしばらくの出来事を思い出しながら話し出す。


「だから最後だなんて思いたくないの。このメンバーでずっとやっていきたい。私たちの目標は何だったかしら。オーディションに合格すること?」


「武道館に行きたいです~! 満員の武道館で歌って踊りたいです~!」


 メイメイが立ち上がって堂々と宣言した。ナギチも立ち上がってメイメイと肩を組む。


「そうや、アイドルの聖地。武道館でライブをするんがあーしらの目標や!」


「サクラも武道館に行きたいです! あのペンライトの波を、本物を見たいです!」


「そうだね、みんなで行こう!」


 今日が最後になんてさせない。オーディションは通過点だ。ちょちょいとクリアしてやるさ!



* * *


 12時になり、オーディションが始まる。

 しかし、会場には≪六花≫の4人とボクたちと、審査を務める人たちだけのようだ。


「良い表情ね。準備はできているかしら」


 花さんが会場に現れた。


「あの、他の参加者は?」


「言ってなかったわね。ほかの参加者はそれぞれ別の階か、時間をずらした日程になっているわ。オーディション参加者は同じ学園に通う生徒も多いということで、極力誰がエントリーしているかは伏せられているし、オーディション中に接触をしないようにも配慮されているの」


 そういうものなんだ。競わせたいのかそうじゃないのか、いまいちつかみきれない方針だ。

 だいたいオーディション自体、どれくらいの規模のものなのか、参加者が何人くらいいるのか知らされていないのだ。

 でもまあ、関係ないか。ボクたちはボクたちの全力を出すだけだから。


「外で待っているマネージャーたちの分もしっかり実力を出し切りなさいね。そろそろ私も退室します。幸運を祈っているわ」


 花さんは、全員と握手すると、ゆっくりと会場をあとにした。



 花さんの退室を確認した後、ハルルが全員を集めて円陣を組む。


「いよいよ始まるわ。課題曲のパフォーマンス、私たちの集大成を見せる時よ。この時のためにここまで準備してきた。みんな覚悟は決まった? Call Enchant! We Can! We Can! We Can definitely do it!<私たちなら絶対にできる!>」


 リーダーハルルの力強い宣言だ。体が一気に熱くなるのを感じる。


「サクラ、行けます!」


「あーしも準備OKや!」


「私もバッチリです~」


「ボクもいけます!」


 ハルルが全員の顔をしっかりと確認してうなずき、右手にブイサインを作り円陣の中央へ。次々にみんなブイサインを出し、5人合わせてスターマークを作る。ああ、体が燃えるように熱い。


「Are you ready? We are still buds. But...blooms soon!<わたしたちはまだ蕾だ。だけど、もうすぐ花咲く蕾だ!>」


「「「「「We are ≪Rikka≫!!」」」」」


 ボクたちの戦いが始まるっ!

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