表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第七章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 ~ #4編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

358/395

第24話 赤チームの車内にて

 赤チームは和気あいあいとした雰囲気でレンタカーに乗り込んでいく。なお、青チームのことは考えないものとする。


 レンタカーの後部座席の配置はこうだ。

 ボクは当然のように真ん中、#海桜に挟まれるようにして座っている。左隣がサクにゃんで右隣がウーミー。レイはウキウキの#海桜に譲ってくれる形で助手席に座った。



 車が走り出し、大通りに出たところでなんとなく会話を始めてみる。


「ところで最近、サクにゃんの仕事のほうはどうなの? 順調?」


「ぼちぼち……でんがな?」


 首を傾げながらサクにゃんが答える。


「なんで関西弁?」


「最近は医療研究のほうはほとんどストップ状態で、詩さんからの要請で防衛用のあれこれを試作しています!」


「あー、そういうこと。まあ、成果はぼちぼちってことか……」


 そっちのチームも巻き込んでの大プロジェクトになってましたか。

 でもそれで良いのかなあ。いやあね、ボクたちだけのことを考えればありがたいことだけど、医療研究の発展はそれよりももっとスケールが大きい……のかはわからないけれど、重要なのかなあと。あーでも、しびれドロップとか、絶対ふざけて作ってると思うし、そんな重要でもないのかな?


「前回の定期公演#3はアイツに完全に好き放題やられてしまったもんね……。今回はミステリーツアーかあ」


「やはり内通者の存在を疑っているのですわね……」


 ウーミーが少し悲しそうな声で嘆く。

 その気持ちはわかる……。仲間を疑いたくなってないもんね……。


「でもまあ、疑わざるを得ないというか、可能性として潰せるものは潰しておきたいというか、そんな感じじゃないかな? さすがにこの短期間でまた配信をジャックされたら、もう当分オンラインは無理になっちゃうだろうし」


 そういう事態は絶対に避けたいはず。

 しかしなあ。配信場所を隠して、ネットワークを特定されないようにしたらそれで万全なのかは怪しいけどね。ってそんなことは対策チームの人たちのほうがよくわかっていることだとは思う。素人が口を出すようなことではないよね。


「レイはそういうプロジェクトには参加したりしないの? セキュリティ対策とか、けっこう詳しいよね?」


 主に破るほうだろうけど。


「一応今回は特別に参加しています」


「おお、そうなんだ! それならさらに安心度が高まるね!」


「零さんが参加されているとは初耳でした!」


「うたさんから口止めされていましたから」


 しれっと言い放つレイ。


「え、それ言っちゃって良かったの⁉」


「もう当日ですし、この中に裏切り者はいないと信じていますから」


「なんというフラグ!」


 ボク知ってる。このパターンは、運転手さんがルパン三世か怪盗キッドなんだ!


「話は聞かせてもらったわよ!」


 うわー、やっぱり! って!


「そうだった。この車の運転手は花さんだったわ」


 ここにはマジの身内しかいなかった。

 たしかにここで情報が漏れたとて、って感じだね。


「どんなセキュリティ対策に参加したのかは聞かないでおこうかな。あまり深くつっこんで聞かないほうが良さそうだし」


「サクラも首を突っ込んで闇に葬られたくないです!」


「まるで黒の組織ですわ~」


 ウーミー、それだとうちの会社のほうが悪者になっちゃうからね? でもまあ、ある意味で麻里さんとかを見ると、それも間違ってはいないんだけど……せめてボクたちだけでもアイドル事業は真っ当だと信じましょうよ!



「よし、暗くなっちゃったから少し話題を変えよう」


「ではコーチはこの中だと誰が一番好みのタイプですか⁉」


「うん……その話題もやめようか……」


 もっと暗くなると思うからさ。

 #海桜、明らかに不満そうな顔をするんじゃない。もしボクが2人のうちどちらかの名前を言ったとしたら、このあと絶対ギクシャクするでしょうが! それとレイさんや、ドヤ顔しながらチラチラ後ろを振り返るんじゃない! 自分が選ばれる前提のムーブは、期待を裏切られた時にしっぺ返しがヤバいよ?


「あー、えーと、そうだ。ウーミーは最近グラビアの仕事はどうなの? 順調?」


 まあ、順調なのは知っているけどね。

 ウーミーのグラビアが載っている雑誌は発売日に全部買ってますからね! 観賞用・保存用・布教用の合計3冊ずつね!


「ありがたいことに、夏に向けて水着の仕事は増えてきましたわ~」


「そっか。今ぐらいから雑誌は夏用の写真を撮っていくんだね」


「そうだわ、海。あの話だけど――」


 運転手の花さんが話に入ってくる。

 

「IVの依頼はどうしようかしらね」


「そうですわね……」


 なぜだか花さんもウーミーもテンションが低い。

 IVというと、イメージビデオのことだよね。イメージビデオっていうと、なんというか……エッチなイメージがとても強いけれど……。


「そういう仕事も来てるんだ?」


「良いお話だとは思うのですが……」


「もしかして過激な……?」


「さすがにそれなら私のほうでカットして断るわよ」


 花さんが苦笑する。

 ですよねー。もしウーミーが着エロとかやったらどうしようかと……。


(かえでくんは着エロ見たいですか?)


 おわっ! いきなり念話で話しかけないでよ! びっくりした!


(うみ先輩の着エロに興味があるのでしょうか)


 いや……さすがにそれはもちろん興味がないって言ったらウソにはなるけどさ……見たいというよりも見せたくないというか……。


(そうですか)


 グラビア界で売れてほしいと思う反面、露骨な性の搾取はちょっと……。なんかこう、微妙な線引き? わかるよ、わかるんだよー。みんなウーミーの美しい体を静止画ではなくて映像で見たい! その気持ちはわかる。だけど、もっとこう、芸術的な美しさというか、低俗なエロの目線で見てほしくないというか、そういう気持ちが邪魔をしてだね……純粋に喜べないでいる自分がいて……ってレイさん? 聞いてます? おーい?


 うわっ、念話してきておいて無視された……。

 かなしい……。


「わたくし、やっぱり映像を撮るなら、≪初夏≫のみなさんと一緒に撮りたいですわ」


「お、それいいね! ミュージックビデオとはまた違う、オフショット的なやつね」


「何かの映像特典に入るような映像ですね! 夏の花火がいいです! みんなで浴衣を着て楽しむ映像を希望します!」


「そういえばうちってCDにそういう映像特典同梱したりしてないね。ほかのアイドルだとありがちなパターンなのに。上層部的に、何か理由があるんですか?」


「とくにそういう話が出ていなかっただけだと思うわ。そういう提案はどんどんしてちょうだい。現場から出た意見として、上層部に持って行きやすいのよ」


 おお、花さんが喜んでいる。

 この際だからいろいろアイディア出し大会しちゃおうか!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ