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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第七章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 ~ #4編

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第18話 『ナギチをさがせ!』ゲーム。その詳細は?

 部屋のドアが開き、なんとナギチたちがぞろぞろと入ってきたではないですか!


「ナギチが! え、ナギチがいっぱい⁉」


 2、3、4……あっという間に12畳ほどの寝室はナギチたちで大混雑! なんなら入り口付近は部屋に入りきれないナギチで渋滞状態だ。各シングルジャケット衣装姿のナギチたちを先頭に、ボクらの学園の制服姿のナギチ、ドクターっぽい白衣姿のナギチ、ナース服姿のナギチ、パーティードレス姿のナギチ、ランドセルを背負ったナギチ、テニスウェアを着たナギチ、くっころ女騎士風のナギチ……とにかくいろいろな格好をしたナギチがいっぱいだ。


「最初は病院風の映像からスタートさせようと思います」


 レイは顔色を変えることなくつぶやく。

 するとナギチたちがそれぞれ、「よろしく~」「カエちゃんよろしくね♡」「やっほ~カエちゃん♪」などと挨拶を始めるものだから、部屋の中は大変な大騒ぎだ。インフルエンザで寝ているナギチもいるんですよ! 静かにしてくださいよ!


「『ウォーリーをさがせ!』ってこういうことなの⁉」


 あれはウォーリーのトレードマークであるところの、赤白縞々模様の衣装を着た人たちが溢れかえっているイラストの中から、ウォーリーやその仲間を探す絵本だよね。これはいろいろな衣装を身にまとったナギチの中から、本物のナギチを探すってことなのかな……。


「わたしの特殊メイクは、一見するとなぎささんと瓜二つに見えますが、すべて本物とは違う偽物の証が残されていますので、それを見つけて本物と見分けてください」


「あ、そうだよね。うん、このナギチたちは全部レイか……。あー、本物とは違う偽物の証? なんだろう……」


 とりあえず目の前にいるナギチを観察してみる。

 1stシングルのジャケット写真の衣装を着たナギチだ。濃紺の軍服に似た衣装を身に纏い、キリッとした表情を見せている。


「うーん? まあ、普段よりもかっこよく見えるけど、証ねえ……」


「顔をよく見てみてください。違和感はありませんか?」


「顔?」


 レイに促されて、1stナギチの顔をしげしげと観察する。


「なによ~。そんなに私の顔ばっかり見たら照れちゃう~♡」


 声までナギチそっくり。『脳波信号・音声変換くんType-A2』で変声しているんだろうね。しかしまあ、クネクネした動作もナギチそのものだよ……。顔? どこかおかしいかな……あっ!


「瞳の色がレイのままだ!」


 よくよく見ると、ナギチ特有の明るめのこげ茶色の瞳ではなく、紫紺に輝くレイの瞳のままだった。これはけっこう難しい!


「正解です。同じように、ほかのなぎささんにも1つずつ偽物としての印がされていますので必ず見分けることができます」


「うーん。でもその偽物の証とやらを隠してたらわからないんじゃない?」


 たとえば目をつぶってたら、これが偽物のナギチだとは見分けられない!


「まばたきをするのはしかたないですが、基本的に証は隠せないか、隠さないようにすることでゲームを成立させようと思います」


「ちゃんと見ればわかる、という状態が維持できるならクレームも出ないかな?」


 難しいゲームではあるけれど、見つけた時の満足感はけっこうあるかもしれないね。でも30秒から1分か……時間短いな。じゃあこのくっころ女騎士はどこが偽物なんだろう……。髪の色? いや、それは光の加減か。


「そのなぎささんは――」


「待って、当ててみたい!」


 自力で何とか答えを!

 うーん、どこだ、どこに偽物の証がある……。


「そんなに見つめられると……くっ殺せ! 殺してぇ♡」


「いや、見つめられただけで死ぬんじゃないよ。あとプライドの高い女騎士からキャラ変わっちゃってるから懇願するんじゃない」


 キャラ作りはわりと甘いな。

 いや、ナギチだからこれで合ってるのか……レイさんのキャラ作り、深いっす。

 

(お褒めに預かり光栄だ。そんなに褒められるくらいなら……くっ殺せ!)


 なんでよ! 褒められたら殺されずに喜んでおきなさいよ! いや、そもそもナギチで念話使ってくるんじゃない! あれ? もしかして、これが証か⁉


 腰のあたりに注目する。

 なるほど、わかりましたよ……。

 普通、帯剣する時のベルトは左側にあるはず。右利きならね。ナギチは右利き……でも、この女騎士は右側に剣ホルダーが来ている!


「左利きだから偽物……これは難しい」


「楽しんでいただけていますか?」


「うん。偽物の証がさりげなさすぎてかなり難しいね」


 初見で本物のナギチを見分けるのはけっこう大変なのでは?


「2人のナギチを加えて3択だったとしても、難易度がけっこう高い気がする……」


「わかりやすいなぎささんもいますから、そこは問題ないと思っています。たとえば最初に入っていただく予定のこちらのなぎささんなどはいかがですか?」


 レイが指さしたのはピンクのミニスカナース姿のナギチ。


「あれ? この服、今のレイと同じ……」


「そうですね。まったく同じです」


「同じ病院で働いている設定なのかな?」


「どうですか? 偽物の証はとても分かりやすいと思いますよ」


 うーん、わかりやすい? うーん?

 エッチなナースさん……。うわっ、めっちゃアピってくるじゃんか……。スカートをまくって見せようとするんじゃない!


「あ、わかった」


 あまりに簡単すぎて見逃してしまうところだった……。


「体がレイのままだわ」


 ナギチは……なんていうかもうちょっと細身で……。このミニスカナースのナギチは、顔だけナギチで体はレイ……雑コラ感半端ない!


「初心者用にわかりやすくしてみました」


「まあ、たしかに、逆にナギチに詳しくない人のほうが気づきやすいのかもしれないね……。何かエロい、みたいな?」


「少し小さめのナース服でボディーラインを強調していますからね」


 レイがさらっと言ってのける。


「えっと、その……それは自分で言っていて恥ずかしくないんですか?」


 この格好で世界に登場することになるんですけど……。


「わたしは出ていませんから大丈夫です。これはすべてなぎささんですから」


 きっぱり。

 レイのこの割り切り方はある意味尊敬するわ……。


「まあそうか。顔はナギチだからね。レイがコスプレしているとも言っていない。なるほどね?」


「わたしはナレーションを担当するということにしようと思います」


 実際は出演者のほとんどがレイなわけだけど、まあそれは視聴者の人は知らなくてもいい事実だ。知らなくていいのかな? 正解発表の時には言わないといけないのでは?


「あーえっと、それで、ボクもこの中に混じるんだっけ? ナギチのコスプレをして?」


「はい。ではかえでくんもメイクをしましょう。こちらに座ってください」


 レイが、ナギチの眠るベッドの端っこをポンポンと叩く。


 ボクもナギチになるのかあ。自信ないなあ。


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