第17話 レイプロデューサーのMCコーナー企画
「今回の定期公演#4で、ナギチを主役に最大同接を記録するために何をすれば良いですか⁉」
教えて、レイプロデューサー!
「そうですね……」とつぶやいたまま、レイは黙り、しばらく考え込んでしまった。
さすがにこれはレイでも即答できないかあ。
ナギチに演技を求めるのは厳しいし、もともとダンスも厳しい。取り柄と言えば、歌、そして超絶乙女というところくらいか……。あと美少女……美少女!
「そうか! ナギチがかわいいだけの動画を撮ればいいんじゃないかな!」
何だ簡単なことじゃないか。
長所を最大限活かして、ナギチの宇宙で2番目にかわいい(レイ判定)姿を惜しげもなく披露する。勝ったな!
「3分以上、絵が持ちそうにないので却下します」
「えっ、ダメ? わりとマジで本気だったのに……」
「なぎささんは、良くも悪くも出オチ芸人なのです。瞬発力のショートショートならギリギリといったところでしょうか」
ナギチのマネージャーさん、自分のアイドルに対してけっこう厳しい評価ですね! いやまあ、言っていることは多少わかりますけどね……。そういう意味ではこの間の配信で見せたショートコントはすばらしかった!
「なぎささんには、いつかカルピスのCMの仕事を取ってこようと思っています」
「え、そこ目指して行くの⁉」
あのCMに出演できたら、まぎれもなく人気タレント……。しかもあれって、清純派の女優やタレントが起用されるんじゃなかったっけ。ああ、ナギチならしゃべらなければ、見た目だけでそっち路線もいけるのか……。いけるか?
「かえでくんにはどん兵衛のCMを取ってきますね」
「いや、ボクはそういうのはちょっと……。猫役の次にキツネ役って……」
動物の擬人化キャラクターと言えば、みたいな立ち位置を狙ってるわけではないんですよ? それにアイドルのマネージャーがテレビCMに出演してたらおかしいでしょ。「急に現れたどんぎつねは誰だ?」って変にざわざわしちゃう。
「テレビCMで人気を博し、オリジナルソングを発表して新宿アルタ前でゲリラライブをします」
「それ、マジで警察に怒られるやつだから。それとアルタなくなるらしいよ」
「残念です……。では国会議事堂の正門にバンクシーの絵を描きながら歌うのはどうでしょうか」
「いろいろ逮捕されるわっ! それにバンクシーはバンクシー本人が描かないとただの迷惑な落書きだからね? いや、バンクシー本人でも国会議事堂はたぶん逮捕されるわ!」
それだけはシャレにならない!
「いや、もうボクの話は良いからさ……。定期公演#4でナギチを主役にした企画の話をしたいんだけど、何か思いついたりした?」
レイさんたら脱線しすぎですよ。
「実は2時間前には思いついていました。もう準備を始めています」
「ボクがここに来るより前じゃん! 先に言ってよー!」
今までの時間は何だったのさ!
それに準備って?
「今回の定期公演では『ウォーリーをさがせ!』をやりたいと思います」
「ウォーリー? あの赤と白の縞々模様の服着た人を探す絵本?」
「そうです。そのウォーリーをなぎささん版でやりたいと思います」
つまり、『ナギサをさがせ!』ってこと?
「たくさんのなぎささんの中から、本物のなぎささんとかえでくんがコスプレしたなぎささんを探してもらおうという企画です」
「たくさんのナギチ……。それにもボクもナギチのコスプレをする……わかったようでわからない」
「絵本ではなく動画を撮影します」
「ああ、動画ね?」
「動画を見ながら視聴者の方にはなぎささんを探して楽しんでもらおうという企画です」
「なんとなくわかってきたかも?」
視聴者参加型企画だ!
「最初は数人の登場人物の中になぎささんとコスプレをしたかえでくんが隠れている状態ですね。だんだんと登場人物が増えていくイメージです。一度動画を流した後、ヒント動画としてスローモーションにして怪しいところを見せます。その後、正解を発表する動画を流します」
「『ウォーリーをさがせ!』を動画でやるとそうなるんだ。動画だから動くんだよね?」
絵本のように静止画だとさすがに味気ないかな。
かといって動くとバレやすいのかもしれないし、難しいなあ。
「はい、ある程度は動きや声をつけて、お芝居のような形式を想定しています。なぎささんの容態がよくなってくれば、部屋以外での撮影も可能になるかもしれませんし」
「そうだねえ。部屋の中以外も撮影できたらいいんだけどね。でも、まずは今撮っていくんだよね?」
「そうなります。一度テスト撮影してみますので、かえでくんは見物していてもらえますか?」
「OK。ボクが入らないバージョンだね。まあ、ナギチがベッドに寝ているのは知っているから、答えはわかっているんだけどさ」
レイがどんなイメージでこの『ナギサをさがせ!』を始めようとしているのかを知りたい。お手並み拝見と行きましょうか。
と、ナギチの寝室のドアが開き、続々とナギチたちが入ってきた。
ナギチたちが入ってきた、だと⁉




