表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

324/349

第28話 水沼渚生誕祭2024 その5~大の箱は100万円だと思います~

「最後はサツキよ。ビシッと決めてちょうだい。1分間のアピールタイムタイムスタート!」


 ハルルの掛け声とともに、トリを務めるメイメイのアピールタイムが始まる。


「えっと~。ふふっ♡」


 急に笑いだすメイメイ。


「えっとね……ふふふっ♡」


「サッちゃん何よ~? 笑ってないで説明してよ~」


 不気味な笑いを浮かべるメイメイを前にして、ナギチが若干引き気味な様子で口を尖らせる。

 いや、ホントちゃんとしてほしいんですけど!


「だって~。どれを選んでもうれしいかなって思って~」


「どれを選んでも⁉」


 ナギチの目が丸くなる。


 そんなわけないでしょ。

 わざわざ選ばせるんだから、箱の中身に優劣はあるはず。たぶんだけど、選んじゃいけない「絶対あかん箱」を選んだら負け、みたいな?


「だって~。今日ってナギサちゃんの生誕祭ですよ? 全部ご褒美に決まってるじゃないですか~」


「たしかに!」


 たしかに!

 その発想はなかった!


“メイメイ天才か!”

“そういえば生誕祭だったな”

“逆に全部罰ゲームのパターンもあるw”

“これまでの傾向からしてそこまできついのは入ってないか”

“甘々運営くるかw”

“きつい運営のところだと全部虫のパターンあるからなw”

“誕生日に虫食わされるって、アイドルやめるレベルw”


 つまりあれか?「何かあるぞ、何かあるぞ」って、盛り上げておいて、実は全部プレゼントでした~みたいな? それはたしかにありえる! 生誕祭の配信だし!


「い、一応、サッちゃんのヒントも聞いてみたいな~」


 どれを選んでもいいと言われても、どんなものがあるかは聞いておきたいね。


「えっと~、大の箱は100万円だと思います~」


「100万円⁉ 現金⁉」


 さすがにそれは……。

 どんなヒントだとその答えにたどり着くんだろう。


「ほしいですよね~、100万円! んふふっ♡」


「ほしい! でもそんなの入ってるかしら?」


 ナギチは訝しむような目で大の箱を眺める。

 さすがにそれは入ってないでしょ。


「それで中の箱は~、スイーツ1年分のチケットです~」


「スイーツ1年分⁉ どういうことなの⁉」


「1年間スイーツを食べ放題ですよ~。夢のプリン風呂に入れますよ~」


 そんな夢を持っているのはメイメイだけだと思うの。

 牛乳風呂とは違うよ? 想像してよ。プリンがいっぱいに入った風呂釜の中に、自分が一緒に入っちゃったら……さすがにそのプリンは食べられなくなっちゃうでしょ……。


「う、う~ん。1年分……」


 ナギチの反応はいまいち。

 ナギチならスイーツは自分で作ればいいっていうのもありそう。


「最後に小の箱は~、TDLの年間パスポートですよ~」


「それに決めたわ!」


 決断はやっ!

 さすがにTDL強いな!


“勝負は決したようだなw”

“絶対間違ってると思うけど大丈夫なのかwww”

“TDLのパスポートだと思ったら万力でした~のオチを見たいwww”

“マジワロス”

“大:△×〇〇/中:×〇×〇/小:△△△〇”

“もうどれが正解でも良くないかw”

“たまにはナギサの笑顔でも見て終わろうや(ゲスの微笑み)”

“逆転の虫に期待あげ!”



「は~い、全員のアピールタイムが終わりましたね! ナギサ、箱を選ぶ前に感想をもらってもいい?」


「え~、みんなぜんぜん違っててよくわからなかった! だってこれ、誰も正解知らないんでしょ?」


「そうね~。みんな自分のヒントが正解だって信じてるわ! 私もね!」


「でもこういうのって、普通は1人だけ違う答えについてのヒントを渡されていて、その人をあぶり出す形式でやらない?」


「ワードウルフね! それは今度やりましょう!」


 ナギチが正論を言っている……。

 今回のゲームはもはやただの運。誰のプレゼンに乗っかるかっていうだけの……いや、違うか。主催者の裏の意図をくみ取って、損切をして一番ダメージが少ない箱を選ぶ……でも生誕祭だから基本的にはご褒美だろって考えも……正解がわからない!


「ではそろそろナギサには誰のヒントを採用するか決めてもらいましょう!」


 シンキングタイム的なBGMをポチっと。

 じゃららららら~ん。じゃん!


「ナギサの今夜のパートナーは⁉」


「サッちゃんでお願いします!」


 選ばれたのはメイメイだー!


「わ~い、やりました~! みんな、見てる~?」


 メイメイがカメラに向かってブイサインでアピールする。


“わいわい”

“おっすおっす”

“TDL強し!”

“プリン風呂に入ろう”

“生誕祭だし、全部ご褒美説あるで”

“ほんまか?w”

“メイメイおめでとう!”

“パートナー(一緒に地獄へ)”

“虫に期待”

“どうしても虫を食べさせたいやついるなw”



「では次に、大・中・小のどの箱を選ぶか決めてもらうわけですけど、ナギサの中ではもう決まってますか?」


「もちろん決まってます!」


 力強いコメント。

 すでに目が小の箱を見つめている。


「良いですね。では~、Choose your favorite one!」


「小の箱でお願いします!」


 言ったー!

 やっぱり小だ!


「ずばり、何が入っていると思いますか?」


「TDLの年間パスポートをください!」


「夢の国に行き放題! 入っているといいですね~!」


 入ってるかなー?

 さすがにここまで盛り上げてるし、それっぽいものが入っていてほしいな……。


「それではパートナーに選ばれたサツキに残った箱の中から、どちらかの箱を選んでもらいましょう! どっち⁉」


「わたしは~、大の箱にします~」


 メイメイは一番大きな箱を力強く指さす。


「大の箱ですね! ずばり、何が入っていると思いますか?」


「100万円です!」


 近年稀に見るドヤ顔。

 たぶんそれだけは入ってないと思うんだよね……。

 どんなヒントから想像したのかわからないけど、仮に正解で100万円が出てきたら配信的にえぐいし、そもそも生誕祭の配信でそんな予算出るかな?


「100万円! もし本当に入っていたら、私にも何か奢ってください!」


「みんなにご馳走しちゃうよ~」


「やった~! TDLのパスポートほしい!」


「楽しみですわ~。放課後に今川焼をみんなで食べに行きたいですわ」


「サクラは回らないお寿司が食べたいです!」


 思い思いに100万円のお零れについての希望を。ウーミー、今川焼は100万円が当たらなくても行こうね!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ