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第24話 水沼渚生誕祭2024 その1~このグダグダな配信に急ぎテコ入れをせよ!

「みんなのナギチだよ! アイラブユ~♡≪The Beginning of Summer≫がみなさんの街にもやってきましたよ~!」


 ナギチがめずらしく最初のコールをしたいと手を上げたものだから任せてみたらこれだよ……。


 1人だけカメラの正面に立って……目立ちたがり屋さんめ!

 だけどまあ、今日だけは許しちゃう。


「せ~の~!」


「「「「水沼渚生誕祭2024」」」」


 ナギチ以外の4人が声を揃えてのタイトルコール!

 今日はナギチの生誕祭。誕生日の4/18からは2日遅れだけど、土曜日のゴールデンタイムに生配信ですからねー。


 スタッフたち総出でクラッカーを鳴らして回る。ナギチ本人たっての希望により、サクにゃんの時の倍の量でお届けしていますよ。

 もちろん、ハッピーバースデーのBGMも倍の音量で流してます。いや、うるさいわっ! 普通の音量に戻します……。


「わ~ん、ぜんぜん気づかなかった~! みんなありがとう~♡」


 ナギチの両手を小刻みに振って、めちゃくちゃわざとらしい演技をしてますね!

 あざと……くはない。なんかもう、ナギチだしな、って感じ?

 

“ハッピバースデー!”

“おめでとナギサ”

“今日もとばしてんな~w”

“ケーキマダー?”

“やっぱり自分でケーキ作るのか?”

“そりゃそうだろ。ほかメンに任せたら、な?”


 な? じゃないでしょ。みんなひどいな……。でもまあ、そりゃそうだろってね! ナギチ以外がケーキ作るわけないでしょ!


「ナギサ~。今日はサプライズパーティーじゃないからね。早く席に着いて」


 暴走気味のナギチをハルルがぴしゃりと窘める。

 さっすがリーダー! しびれるあこがれるー!

 

 というわけで、やっとオープニングの混乱が収まって全員席に着く。

 生誕祭だからといって、スタート位置は変わらず。配信のスタート時は固定化された席順だ。

 前列に左からハルルとサクにゃん。後列にナギチ、ウーミー、メイメイ。


「ナギサちゃんおめでとう~! とにかく早くケーキ食べましょうよ~」


 メイメイさん。本音が出ちゃってます! もうちょっとだけお祝い感出してあげてー!


「おめでとうございますですわ~。渚さんが一番のお姉さんですわね」


 決して悪気がないウーミーの発言に一瞬、空気が凍り付く。


 ナギチは怒るのか、笑って流すのか……ど、どっちだ⁉


「水沼渚19歳になりました! もう10代ラストの年でございますっ! でもアイドルはあと100年続けるから安心してね☆」


 お、おぅ。

 いつものナギチだった……。セーフ。まあ、最近のアイドルは20代でも30代でも「早く引退しろよー」なんて言われない、多様性の時代になってきてますからね?


「私はナギサちゃんより若いから、あと200年続けますよ~」


「1歳しか違わないでしょ!」


「今は2歳です~」


 メイメイとナギチの低レベルな争い。


「この中ではサクラが一番若いので、サクラはアイドル5億年続けますね!」


 混ざるな混ざるな。

 年齢の話はこれ以上広げなくていいから!


“平和だな~”

“平和平和”

“さて、渚のバースデーも祝ったし、そろそろ死地(職場)へ向かうか”

“夜勤お疲れ様です!”

“これも推しに積むためよ”

“しぬなよ!”

“あと5億年CD買いつづけるのか”

“5億年CDあるのか”

“そりゃなんか脳に埋め込むあれだろ。キアヌ・リーヴスの”

“マトリョーシカ”

“マトリックスだよ!”


 ほらー、コメント欄飽きちゃってるじゃん。

 まだ開始数分なのにさ。


【ハルル、なんとかして!】


 緊急ヘルプ。

 

【このグダグダな配信に急ぎテコ入れをせよ!】


「オホン。え~、宴もたけなわではございますが~、そろそろ会をお開きにしたいと思います」


「なんでよっ! 私まだぜんぜん祝ってもらってないわよ!」


 ナギチが立ち上がって抗議!

 さすがにまだ5分ですからね……ケーキも出てきてないし。


「ナギサ、配信を強制終了させたくなければ、最年長の余裕を見せてちょうだい」


 ハルルの悪魔的な微笑みにさすがのナギチも黙るしかなかった。

 

 最年長の余裕。

 はしゃいでいる年上を黙らせる魔法の言葉ですね……。


「それでは仕切り直して~、生誕祭恒例のゲームコーナー!」


 イエーイ! パチパチパチパチパチ!


 生誕祭恒例?


“またプロポーズ?”

“あれはバレンタインじゃなかったか?”

“サクラの時はなんか小芝居だったし”

“小芝居言うなw”

“寝てただけのナギチ”

“うちのサクラががんばっていたでしょうが!”

“ウーミーもなー”

“怪人Xまだ~?”


 ふむ。コメント欄も混乱している。

 そしてボクも混乱している。


 なんていったって、ゲームコーナーなんて台本にないからねっ!

 隣を見ればニヤニヤ笑うだけのシオ。

 いつもいつも台本通りに進まない配信を見て、とうとうおかしくなってしまわれたか……。


「ミャコさんかも~ん!」


 ハルルが都の名前を呼ぶ。

 そういえば配信スタート時にはその辺にいたはずなのに、都はどこへいったんだろう?


「は~い、少々おまちくださ~い」


 スピーカーから聞こえてくるのは都の声?

 ステージ上を確認しても、ハルル以外の4人はポカンとしている。これはなんか2人で準備してたな? たぶんシオも巻き込んで。


 うーん、嫌な予感しかしない……。

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