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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第五章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 ~ #1~#2編

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第52話 定期公演#2 その1~そして、私はアイドルになって、1億人の前で歌を歌って、いっぱい拍手をしてもらいたいです。

 定刻。

 配信画面から『公演開始までしばらくお待ちください』の文字が消え、Overtureが流れ始める。


 さあ、ライブスタートだ!


 会場と配信のコメント欄、どちらも一気にボルテージが上がり、テンションが最高潮に達する。

 今日の会場は、赤のペンライトが多めに感じる。ハルルのファンが多く詰めかけているのかもしれないね。それとも箱推しの人たちがなんらかの配慮をしてくれているとか?

 

 YooTubeの同接は前回のスタート時よりも多く、7万人を超えている。2回目の公演で、初回を超えているのはとても良い調子だと思う。果たして、最大瞬間風速は#1を超えられるか⁉


“定期公演はじまったー!”

“今日もコール頼むぜ!”

“負けない(負けない)”

“転生してAIになりたい”

“次こそは現地”

“配信助かる”

“うぉ~!あがる~!”

“前回より人多いな”

“声が枯れるまで叫ぶぞー(INカラオケBOX)”



 1曲目は前回同様『We’ll be the No.1 IDOL』だ。

 ボクは『The Beginning of Summer』がオープニングでも良いと思うんだけど、どうやら上の人たちはこのセットリストが好きみたい。どっちも気持ちが上がるから、もちろん好きだけどね!


 みんな叫べ叫べー! 1曲目で声を枯らすぞー!

 No.1! No.1! No.1アイドルNo.1!


「かえでくん、出番の時、声がガラガラだと困りますから抑えめにお願いします」


「はい。自重します……」


 くそぉ。なんで今日も出番なんてあるんや……。ボクだってライブを楽しみたいのにー。

 No.1! No.1!



 さて、今回のセットリスト2曲目は『サツマイモラブ』。

 前回はエンディングだったこの曲をあえてここに持ってきたらしい。でも定期公演#3はサクにゃん&ウーミーがメインMC回だし、きっとオープニングかエンディングに持ってくるよねえ。


「MCコーナーで歌われる可能性もありますよ」


 ウィスパーボイスでレイのツッコミが入る。


「ああっ、たしかに!」


 そういえば2人はどんなコーナーを考えてるんだろう。気になるねえ。#3こそは出番なしで観客に紛れたい!


「もう少しでうちの出番や~。あ~緊張する……緊張する……」


 後ろから念仏みたいな声が聞こえてくる。振り返ってみると、シルバーのドレスに身を包んだシオが、臨時控室の中をうろうろと歩き回っていた。


「心臓に毛が生えてそうなシオセンセでも緊張することなんてあるんだ?」


 と、冗談めかして言ってみるも、


「人前で歌う経験なんてしたことないんや……」


 大しておもしろくもない普通の答えが返ってきた。

 こりゃホントに緊張してるんだね。なんだ、その……緊張をほぐすツボでも押してあげようか?


「栞、大丈夫よ。1人じゃないわ。普段からステージに立っている桜さんが一緒だもの。ちゃんとリードしてくれるわよ」


 都がシオの肩を揉みながら笑いかける。


「せやな……。桜さんがいてくれてほんま助かるで。しっかし経験こそパワーやな。うちも演出演出なんて偉そうなこと言ってても、結局現場経験のパワーには勝てへんのや」


 なーんかよくわからない方向に弱気な発言だねえ。ここはあれか。ウタに渡された秘伝のアレを使う時が来たのかな?


「あーあー。マイクテストマイクテスト」


「楓? 急にどうしたの?」


 突然大きめの声量でしゃべり出したボクにみんなの注目が集まる。都なんかは怪訝そうな顔で見てきている。

 まあ、ここはボクに任せてくださいよ。


「オホンッ。えー、タイトル。『私の夢』」


 端末を開き、ウタから渡された1つのメッセージを読み上げていく。


「『私の将来の夢は、お金持ちになることです。なぜなら、お金持ちになるとみんなが私の言うことを聞くようになるからです』」


「ちょ、カエちん⁉」


 抗議の声を上げたシオを制止し、続きを読み上げていく。


「『みんなが私の言うことを聞くようになったら、まずは私の描いたマンガを1億冊買ってもらおうと思います。≪ソルティの事件簿≫シリーズを100巻まで出したいです。そして、私はアイドルになって、1億人の前で歌を歌って、いっぱい拍手をしてもらいたいです。CDも1億枚買ってもらいたいです。それからアラブの王様と結婚して大金持ちになって一生笑いながら暮らしたいです。おしまい』」


「そないなもん、いったいどこで……」


 シオが羞恥に顔を赤く染めながらボクの端末をひったくる。


「送信元……犯人はウタちゃんやないか! ウタちゃんもこないなもんどこで⁉」


「今のはいったい何? 作文かしら?」


 状況がわからず、都の頭の上にはクエスチョンマークが浮かんでいる様子。


「シオの小学校の卒業文集だよ。いやー、かわいいねー。小学生の時のシオはアイドルになりたかったんだねえ」


「ちゃうねん! うちがなりたいのは大金持ちや!」


「今日、夢が叶うね」


 1億人、にはまだ少し届かないかもしれないけど、たくさんの人がシオの歌を聞いてくれるよ。


「ちゃうねんって……」


「わたしも聴きます」


「私もしっかりと聴かせてもらうわよ」


「ボクも次のコーナーの準備しながらだからあれだけど、あとでしっかりと聴かせてもらうね」


 だから夢を叶えてきて。


「そういうんじゃないんやって……。でも、やるわ! おう、やったるで! うちの美声で世界を酔わしてやろうやないの!」


「その意気その意気! そうじゃないとシオじゃないって!」


 みんなの夢、シオの夢。

 まとめて全部叶えようよ!


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