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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第五章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 ~ #1~#2編

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第50話 本番直前! 臨時控室にて最終確認!

 ひとまず心を落ち着けるために、1人トイレへ……。

 冷たい水で顔を洗い、鏡の中の自分を見つめる。


「まったく本番前にえらい目にあった……」


 あーひどい顔だ。ボクはボクという素材を生かしきれてない……。中身がボクじゃなかったら、あんなに女の子女の子した表情もできるっていうのに……。

 この状態でちゃんとMCコーナー……いや、待ってよー。MCコーナーのはずかしメイド対決も精神にダイレクトアタックする対決じゃんか……。もうすでにライフは0どころかマイナス……。早退したい……。


「かえでくん、こちらのHP回復ポーションをどうぞ」


 いつの間にかトイレの鏡に映りこんでいるレイ。鏡越しに錠剤とペットボトルの水を差しだしていた。


「え、そんなのが? 麻里さんの開発した新薬かな?」


 これを飲めばライフが回復……って!


「あっぶなっ! これ≪REJU_s≫じゃん! だまされるところだった!」


 麻里さんの危ないお薬≪REJU_s≫を飲んで2時間も10歳の姿に戻ったら、それはそれは大事件ですよ⁉ MCコーナーどうする気なのさ⁉


「体がリフレッシュするので、実質HP全回復ではないでしょうか」


「ではないでしょうか、じゃないって! 体は強制的に違う意味でリフレッシュ(再構成)するけど、心はリフレッシュしないでしょ!」


 まったく、レイはジョークなのか本気なのかわからない時があるね。


「かえでくんかえでくん、そのカプセルをよく見てください」


「ん、何?」


 とくにどこも変なところはないように思えるけど。カプセルの表面にも≪REJU_s≫って刻印されてるし。


「それはわたしが中身を入れ替えておいたので、実は≪REJU_b≫ですよぅ」


「いや、何してんのさ! 意味のわからないいたずらはやめなさいよ……」


 sでもbでも飲んじゃったりしたら、どっちにしてもMCコーナー出られなくなるから……≪REJU_b≫だったらセーフとかないから。


「はるさんとダーリングさんの夢の対決はみんな期待しているかもしれないですよ」


「みんなって誰⁉ もしかしなくてもレイとメイメイ以外にそんな人いる?」


「はるさんも期待しているかもしれません」


「それは……ややこしくなる。≪REJU_b≫飲んで20歳になった状態でハルルと会うのは二度とやめたほうが良いと思ってるよ」


 なんとなく勘だけど、たぶんハルルにはダーリングさんがボクだったって気づいているような節があるからね。でも深くは追及してこないし、このままうやむやにするのがお互いのためなんだと思うのさ。


「ほら、もう本番まで30分切ったよ! バカなことをやってないで、ステージ横の臨時控室に行って着替えようよ」


 今日はレイも出番があるんだし、ちゃんと着替えなさいよね。まあ、ボクもあの山吹色のメイド服に着替えますけども。


「そういえばレイは着物? 誰かに手伝ってもらう? って言っても、着物の着付けができる人なんているかな」


 ナギチも着物に早着替えしないといけないわけでしょ。その辺の段取りちゃんと考えてなかったかも。


「大丈夫ですよ。わたしは1人で着られます。着物と言っても簡易的な作りになっていますから、そこまで心配しなくても平気です」


「それなら良かった。じゃあとりあえず臨時控室に行こう!」



* * *


 レイは臨時控室に到着するとすぐに、自分自身の和風のメイクだけ手早く済ませていた。服はまだクリーム色の制服――2ndシングルの別バージョンのままで、着物への着替えは済ませていない。すぐに着替えられるという言葉通り、もう少し後で着替えるつもりなのだろう。


「え、っとこれ、後ろが留まらない……」


 むしろ着替えに苦労しているのはボク。

 メイド服なんて1人で着たことがないから、いろいろなところにある隠しギミックが理解できず、着替えに大苦戦中だ。


「ここは透明なボタンで留まっているだけです。こっちはファスナーです。ここはリボンで縛ります」


「むずかしい……ありがとう」


「どういたしまして。続いてメイクもしてしまいますね」


 結局今回もレイの全自動お助けモードで着替えからメイクまでやってもらってしまった。ボクはレイがいないと何にもできないなあ。反省……。


「わたしはずっとかえでくんのそばにいますから、いつまでも頼ってくださいね」


「レイ……」


「オホンオホンオホン! 本番前にイチャつき禁止よ」


「ほんまやで~。見てるこっちがはずかしくなるで、ほんま~」


 臨時控室にいるのは都とシオだ。

 3曲目に出番があるので、シオがめずらしく音響室を離れていた。演出の指揮はウタが代理でおこなっているらしい。


「別に普通だよ。イチャついてなんて……。シオの服、ステキだね。曲イメージに合わせて?」


 シオが着ているのはロングスカートのスパンコールドレスだ。しかも銀! めっちゃ派手だけど、長身でスラッとしているシオが着ると、恐ろしくはまって見えるね。


「落ち着いたR&B調の曲やからな~。桜さんと並んで、スタンドマイクで歌うんやで」


「へぇー。見たいなあ。でも次のコーナーの準備が……」


 序盤のほんのちょっとしか見るのは難しそう。残念だなあ。


「ところで、その犬耳は何?」


 ドレスとまったく合っていないけど。


「そりゃ桜さんに合わせたに決まってるやろ?」


「決まってるやろって言われても……その耳もぴくぴく動いてるし」


 サクにゃんたちの作った脳波を感知するやつなんですね?


「ちゃんと意味があってやってるんやで。2サビから、ネコとイヌのペットロボットがたくさんやってきて、うちらの周囲を走り回る演出やからな~」


「どんな曲なのか想像がつかなくなってきた。音源は聞いたはずなのに……そんな曲じゃなかったような。おかしいな……」


「ま、あとでアーカイブでもチェックしたってや」


「そうしようかな。って、もうあと2人で開演時間じゃん!」


 ボクたち4人、そっと舞台を覗いてみる。

 

 すでに≪初夏≫の5人はスタンバイ状態。今か今かと開演を待っている様子だ。


 OK!

 今日も元気に定期公演#2(オンライン)始めていこうか!


 AIの観客たちも準備できてるー⁉


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