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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第五章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 ~ #1~#2編

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第42話 お互いに存在を認識できないようにするステルスモード

「だからその子よ。宮川その子さん」


 イントネーション!

 日本語ってムズカシイネ!


「その子さんね! あー、あの人だ。被服科の人だ!」


 たしか何か服飾関係の大会で優勝していたような。


「小物作りが得意な人ね。駅前のセレクトショップにコーナーを持ってるわよ」


「すごい。すでにプロだ……」


 売り物を作れるって何か尊敬する!


「何言ってるのよ。私も、あなたもとっくにプロよ」


 MINAさんが笑う。


「あ、そっか。ぜんぜん気づいてなかった!」


 そうだった。

 ボクたちも気づけばプロフェッショナル。芸能活動をしてその対価をいただいている身でした。ボクはマネジメントのプロフェッショナルだけどね!


「話を戻すけど、その子をね、海以外の撮影でも見かけるようになって……。他の現場もそうだし、ドラマの撮影や映画の撮影……朝西の時にもいたわね」


「うっそ! ぜんぜん知らなかったよ!」


 あの現場ってギャラリー入れるところだったっけ⁉ 普通に全体撮影スタジオだったよね⁉


「朝西は厳密に言えば違うかしらね。スタッフとして働いていたもの」


「スタッフってことは、洋子ちゃんのところの?」


「そうね。臨時のヘルプとして入っていたみたい」


「なるほどー」


 エキストラ出演のほうだけじゃなくて、スタッフのほうにも声がかかっていたってことね。でもそれは偶然なのか、MINAさん目当てなのか……。


「それで、映画の撮影の時の写真がSNSに流出してたみたいで……」


「それってかなりまずくない?」


「ええ、かなりまずいわね……」


 百歩譲ってプライベートで見に行った撮影現場のオフショットを許可とらずにSNSに上げるところまでなら、見つかったら注意されるくらいで、良くはないけどまあ許されると思う。


 でも――。


「スタッフとして働いている現場の、しかも情報解禁前の写真は……」


「うちの会社が製作委員会に名を連ねていることもあるし、演者やスタッフの多く、それと原作も関係者だからってことで、すぐに削除することで大事にはされなかったみたいなのよね……」


 ギリギリ政治的なあれこれで穏便な解決にしてもらえた、ってことなのかな。


「それは良かったけど、普通にアウトオブアウト……」


「会社からはしっかりと事情聴取、というよりも尋問よね。かなりきつめに何が起きたのか調査が入ったみたいなの。アイス溶けてるわよ」


「ああっ! ボクの抹茶パフェ!」


 気づけばデロデロ。

 バニラアイスと抹茶が溶け合って、すでに抹茶ラテ状態に……。話に夢中になっていたよ。かなしい。


「食べて食べて♡」


「もう食べるというより飲む感じに……でもないか、冬で良かった! まだ中のほうはアイスのまま残ってた!」


 おいしい!

 本格的な濃い抹茶がかかってて渋みが利いてるー♪

 しあわせー♡


「あごのところ、アイスついてるわよ」


「えっ、どこ⁉」


 慌ててペーパーで拭いてみる。


「もっと下よ。ほら、顔こっちに」


 促されるままに立ち上がり、向かいに座るMINAさんのほうに首を伸ばした。


「届かないからこっちに来て」


 ん、思ったよりもテーブルが広いか。

 しかたない。

 MINAさんが座るソファー席のほうに移動する。


「はい、拭けた」


「ありがとー。もうほかにはついてない?」


 そう尋ねると、MINAさんがボクの頬に手を当てて、顔全体を確認してくれる。


「大丈夫よ~。かわいいかわいい♡」


 かわいいかは聞いてないんですけど……悪い気はしないっ!


「ありがとー。助かりました」


「こ~こ~か~!」


「ひっ!」


 地鳴りのような低い声が頭の後ろから浴びせかけられる。


「カエデちゃんの匂いがす~る~。こ~こ~か~!」


 顔を見上げると、まるで靄がかかったようにうっすらではあるけれど、ソファーの上にハルルの顔が見えてくる。


「ハルル⁉ ステルスモードは⁉」


 レイ、バレないって言ったじゃん⁉


(これはいったい……。お互いに存在を認識できないようにするステルスモードのはずです)


 でもなんか靄が晴れてきて、だんだんとハルルの顔が鮮明に見えてきてるんですけど⁉


(はるさんの愛の力が師匠の科学力を超えた、ということでしょうか)


 ということでしょうか、って言われても!

 どうすればいいの⁉


 レイ⁉ レイー!


「み、みつかる!」


「どうしよう⁉」


 レイの庇護を失ったボクとMINAさんは、互いに手を取り合って、ソファー席で縮こまることしかできなかった。


「み~つ~け~た~わ~よ~」


 般若と目が合った。

 

 合ってしまった……。


 も、もうダメッ!


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