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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第五章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 ~ #1~#2編

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第36話 定期公演#2の企画~現段階で白紙!

「ぜんぜん違う方向に脱線してしまったけれど、ボクたちはバストアップの話をしに来たわけじゃない!」


 探偵団はまじめな集まりなんだよ!

 いや、別にバストアップの話が不真面目ってわけじゃないんだけどさ……。


「じゃああなたたちは何をしに来たのよ?」


 ハルルは、紅茶の最後の1滴を飲み干した。

 それを見て、レイがすぐに立ち上がってキッチンへと向かう。


「それはもちろん次の定期公演の話だよ」


「そうね……定期公演、ね……」


 ハルルの目から急速に光が失われていく。

 やっぱり追い詰められてんじゃん……。


「ボクたちで良ければ相談に乗るよ。今は何に困ってるの?」


 裏方でも衣装でも、なんなら話によっては出演だってやぶさかではない。


「困ってる……わ」


「脚本ならわたしが書きますよ~」


 そうそう、ここには未来の大作家、メイメイ様がいらっしゃるのですよ。劇がやりたいならすんばらしいものを書いてくれますよー。


「私は何をすれば……何が得意なの?」


 あ、やばい。

 これ、マジで企画がまだ真っ白なパターンか?

 あと1カ月だっていうのに……。


「おっと。まだ何も方針が決まってない感じ? 都には相談してる?」


「相談してるわ……。いろいろアイディアを出してくれるんだけど、どれもピンとこなくて……」


 申し訳なさそうに、体育座りをして膝を抱えてしまった。


「そうだねー。うーん。参考までにメイメイのMCコーナーはどうやって決めたんだっけ?」


 まずはボクたちの振り返り。そこにヒントがあるかもしれないからね。


「えっと~。好きなことは何かな~って考えていって~。スイーツ、手品、歌、ダンス……それでカエくんが劇はどうって言ってくれたんでしたよね~」


「そうだったそうだった。手品はマジで危ないからやめよう。歌やダンスも良いんだけど、そもそも≪初夏≫自体が歌とダンスのグループだから、できればそれとは違うことをやったほうが良いかなーってところから出たアイディアなんだよね」


「歌とダンスはダメ……」


 ハルルがつぶやく。


「いやいや、ぜんぜんダメじゃなくて、そこから離れたものをやっても良いかなってだけだよ。メイメイは小説を書く趣味があるから、そこからヒントを得た感じかな」


「趣味……?」


「で、マキに相談したら、劇よりもミュージカルのほうが良いってアドバイスをもらって、結果あんな感じになった、と」


 端折ると流れはこんなところだったかな。

 

「私の趣味……得意なことって何……?」


 ハルルが宙を眺めて固まってしまった。

 完全に脳がフリーズしていらっしゃる……。


「ハルルは何でもできるからねえ。何でもできると逆に困っちゃうかな?」


「私、何にもできない……。みんなみたいに強みがない……」


 鬱モードに。

 これはまずいなあ。いつかのハルルが再び……。


「≪初夏≫人気No.1アイドルが何を言っているのやら。最近のメディア露出でサクにゃんの人気が上がってきたとは言っても、やっぱりハルルが1番人気じゃない?」


 かなり僅差まできているけれど、SNSのフォロワー数は、いまだにハルルが1番多いのだ。がんばっているリーダーがみんな好きなんだよね。


「とてもありがたいことです……こんな何もない私を推してくださって……」


 メンヘラちゃんにジョブチェンジ。

 困ったなあ。


「新しい紅茶入りました。どうぞ」


 レイがみんなのカップに熱々の紅茶を注いでくれる。


「ありがとう。レイも座って一緒に考えよう」


「はい。はるさんの悩みを整理しましょう」


 レイが紅茶のポットをテーブルに置き、座った。ボクの膝の上に?


「レイ……なぜそこに?」


「空いていました」


「普通、誰しも膝の上は空いているものだよね。そっちの座布団の上に座ってくれる?」


「わかりました」


 レイは素直にすぐに立ち上がると、ボクの隣の座布団に腰を下ろした。


「はるさん。つまりこういうことです」


「えっ、どういうこと?」


 えっ、どういうこと?

 たぶんみんなぜんぜんわからなかったと思うよ⁉


「はるさんは、かえでくんと一緒にいる時、とても生き生きされていますよね」


「生き生き……」


「見ていて微笑ましいくらい楽しそうです」


「そ、そうかしら……」


 上目遣いにこちらを見てくる。

 いや、それでボクに同意を求められても……それはちょっとはずかしいんですけど。


「だから、企画は1つしか思い浮かびません」


 レイがそう言ってから、紅茶のカップに口をつける。


「というと?」


 全員が息をのみ、レイの次の言葉を待った。


「生もみじ饅頭が食べたいです」


 なん、だと……ここで賄賂の要求だと……⁉


「は、はい! どうぞ!」


 ハルルが無造作に箱から両手ですくい上げると、レイの前にもみじ饅頭をどさりと置いた。


「ありがとうございます」


 抹茶餡のもみじ饅頭を1つ摘まみ上げると、ていねいに包装をはいでいく。

 そして1口かじり、再び紅茶のカップに口をつける。


 ちなみにその間にチョコとクリームのもみじ饅頭がメイメイの口の中に消えていった。


「レイさん? そろそろ企画のお話を……」


「はい。そうでしたね。はるさんに1つ質問です」


「何でしょうか⁉」


「いたずらするのとされるのはどっちがお好きですか?」


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