表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第五章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 ~ #1~#2編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

272/460

第35話 すべてお見通しです~チーズと大豆イソフラボンの効果とは

「それでは話を聞こう」


 紅茶の香りを鼻いっぱいに吸い込んでから、カップに口をつける。

 あー、しあわせ。


「話って何よ……。あなたたちが勝手に押しかけてきただけで……」


 ハルルがもみじ饅頭の包みを開けている。

 それは、ゆず餡!


 ボクはどれにしようかな。

 やっぱり定番の粒あんからかなー。


「ちっちっちっ。ハルちゃん……私たちには……もぐもぐ……すべて……もぐもぐ……お見通し……もぐもぐ……ですよ~」


 メイメイ。

 かっこいいセリフ中に悪いんだけどさ。食べるかしゃべるかどっちかにしよう?


「……………」


 あ、食べるのね。


「片づけと言いつつ、押し入れに押し込めただけの隠し撮り写真の枚数くらいはお見通しです」


 隠し撮り……不穏。

 でもそんなものがお見通しできるのはレイだけだけどね。


「何のことかしらね。アチッ」


 ハルルが紅茶を一気に飲もうとして舌をやけどしたようだ。図星をつかれた時も、ちゃんとフーフーしようね。


「掛けぶとんの下に隠した抱き枕……についた涎のシミの数くらいはお見通しです」


「ごめんなさい。もう許してください」


 ハルルが床にしゃがみ込むと、それはそれは美しい土下座した。

 最初から勝ち目のない戦いだったよ。


「抱き枕なら私も使ってますよ~。横向きに寝ると健康に良いってししょーが言ってました~」


「もちろんわたしも使っています。抱き枕も使いますし、抱かれ枕としても使われます」


 レイがちらりとボクのほうに視線を送ってくる。

 それはたぶん抱き枕とは違うものだと思うの……。それはそれは安眠できますけども。

 

「そ、そうよね! 抱き枕を使うのは普通のことよ! 私は普通よ!」


 ハルルが大きな口を開けて、生もみじ(こし餡)をまるごと口に放り込んだ。

 なんて贅沢な食べ方!



「ハルちゃんが悩んでいることはお見通しですから、何でも相談してください~」


「何でも……」


 ハルルは下を向き、フーフーして少しぬるくなった紅茶を口に含んだ。


 そうそう、困っているんでしょ。

 ボクたちはすでにその悩みを乗り越えてここにいますからね。些細なことでも答えるし、どんなことでも協力しますよ!


「パルメザンチーズって効果あるのかしら……」


 ハルルはレイの胸部を恨めしそうな目で凝視していた。


「違う、そうじゃない!」


 思わず叫んでしまったよ。


「違うの⁉ あれはデマ⁉」


「デマではないけど、そうじゃなくて……」


 その話題のためにここに来たわけではないって意味!


「効果はありますよ~」


「成長は人それぞれですが、効果はあります」


 ふむ……2人が言うと説得力がある……。

 ボクもあれからパルミジャーノ・レッジャーノに変えて本気で乳腺の発達をだね……。


「って違う! その話じゃないんだよ! いや、それも重要なんだけど、そういうのはまた今度にしよ⁉」


 一朝一夕では何ともならないし、しばらく続けて経過を見てから話し合おう?


「一度成長が始まれば一気にですよ。それとはるさんはもう少し体重を増やしたほうがよいかもしれません」


 レイさんいったい何を?


「体重を? 筋トレをしっかりしなさいってマキさんに言われたんだけど」


「はい。筋トレは大切です。しかし、バストサイズをアップするには脂肪の貯えも必要なのです」


「脂肪の貯え……」


「乳房の90%は脂肪なのです。乳腺の成長はもちろん大切ですが、乳腺が発達してもそこに蓄えるべき脂肪がなければ意味がないのですよ。筋トレはあくまで形やバランスを整えるためです」


「「なるほど、勉強になります!」」


 ボクとハルルの声がユニゾンしてしまった。


「そっか、ボクたちやせ過ぎていたから効果がいまいちだったんだ……」


「カエデちゃん、私たち、もっと太ろう!」


 ハルルとがっちりと握手を交わした。

 太りたい同盟結成。


「私は食べても太らないんですよ~。でも麻里ちゃんからもらったこのサプリメントでおっぱいはどんどん大きくなってますよ~」


 メイメイが両手で自身の胸をすくい上げるように見せてくる。

 た、たしかに……。気づけばめっちゃ大きくなってらっしゃる……。レイほどではないにしても、見た目でわかるほどの成長を……。


 うらやましい。うらやましい。うらやましい。

 でもメイメイにはそれを売りにはしてほしくないという複雑な思いが……。


「さつきさんの場合は乳腺は十分に発達していますから、それをさらに助けるためには大豆イソフラボンの摂取量を増やしていくほうが効果がありそうです。そのサプリメントも自然物から抽出した大豆イソフラボンやボロンやビタミンなどを凝縮しているだけなので、とても安全なものです」


 とても安全ね……。

 同時に渡された≪REJU≫シリーズの違法性と危険性から比べると、だいぶ違っているよね。


「ボクたちもそのサプリメントがほしい……」


「ほしいわ!」


 メイメイだけ大きくなってずるい。

 ボクたちも大きくなりたいの。


「チーズは脂肪の貯えにも効果があります。ですがそうですね。大豆イソフラボンは摂取して悪いことはありませんから、ソイプロテインを主成分にしたサプリメントの調合を依頼しておきましょう」


 レイが独り言のように何か呪文をつぶやいた。


「難しいことはわからないけど、チーズも摂取しつつ、何かサプリメントももらえるってことかな?」


「はい、準備しておきます。ですが、わたしはお2人とも今のままで十分に魅力的だと思いますよ」


 レイが自分の胸を抱くように腕を組むと、小さく微笑んだ。


 その理論はずるい。それは持っている者の意見だよ……。持たざる者には言えない強者だけの……うぅ……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ