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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第五章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 ~ #1~#2編

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第33話 AIキャラによるバーチャル観客は予想外のバズり? それとも狙い通り?

「同接10万人! すごすぎない⁉」


・無料ライブ同接10万人達成

・独自開発のAIキャラクターをバーチャル観客として動員

・バーチャル観客によるライブレポートの配信決定

・警視庁と連携した警備体制の報告

・定期公演#2(オンライン配信)の開催日を告知


 定期公演#1の翌日に打ったプレスリリースは、なかなかに華々しいものだった。主要なネットメディアにほぼ漏れなく取り上げられているらしい。爆弾テロで注目が集まっているだけに、これはなかなかでかいですよ!


「そっちよりもAIのほうがずいぶん関心を集めているらしいわよ」


 都がそう言いながらシオのほうをちらりと見た。

 同接10万人達成だってすごいことだと思うんだけどなあ。


「うちは良かれと思ってな~。≪初夏≫のみんながガラガラの観客席を前に歌うのが不憫だっただけなんや……」


 シオの言葉を鵜呑みにするなら、ライブ本体よりもAI観客のことでバズらせるつもりはなかった、と? うーん、怪しいなあ。じゃあなんでライブ中、事前に用意していたっぽいコメントで、オンラインのお客さんにドヤって発表したのさ?


「あれは先に相談してほしかったけどねー。いつものプロジェクションマッピングじゃないなら、そうじゃないってさー」


 オンライン配信のコメント欄でドヤった話云々はおいておくとしてもだ。ボクはミュージカル中に1万人のAIたちから笑われる羽目になったんですよ? あーかなしい。PTSDになりそー。


「AIの調教はウタちゃんの分野やで。準備できてて実運用いけるっていうから……」


「あら、責任転嫁ね。私は学習フェーズから試験運用フェーズに移行した、と言っただけなのだけれど?」


 ウタが、縋りつくシオを軽くあしらっている。

 まあ、いつもの光景だね。はいはい平和平和。


「わたしはAI観客たちの特別レポートで、『子守歌』について言及されているのがとてもうれしかったです」


 レイはうっとりした表情で、サイト上にアップされたレポートを何度も繰り返し読んでいる。


「まあ、実際レイの作詞は良かったんだと思うよ? マキの演出意図だとあそこは笑いどころのはずだったんだけど、なんかもう感動方向に振り切れてたみたいだし」


 あとから配信のコメント欄をざっと確認したけれど、概ねAIの観客たちと同じような反応だった。


 姫とプロデューサーの叶わぬ恋が泣ける、と。


 ボクとメイメイがそういう関係なんじゃないかと勘違いする人も出てきているみたいで、SNS上ではプチ炎上しているけれど、それは放っておけばそのうち鎮火するでしょう……ね? 

 古参のファンたちはそんなことがないってわかってるだろうし、そういうふうに騒いでいるのは比較的ファン歴の浅い、もしくはメイメイの配信を見ていない人たちのようだし。


「定期公演#2もオンラインで行くのよね。また代々森体育館だし、同じ感じで行くのかしら?」


 都がシオとウタのほうに目を向ける。

 同じ感じ、というのは、AI観客を使うのか、という意味なのだろう。


「せやな~。これだけ世間様の注目を集めたっちゅ~ことは、まったく同じというわけにもいかへんやろし……客席側を映すカメラも必要かもしれへんな」


 どこに向けた配慮なのかわからないけれど、そっちに注目している人が多いのは事実か……。なんかやだなー。もっと≪初夏≫のみんなのパフォーマンスに注目してほしいんだけど。


「非公式やけど、あの観客たちを他のライブでも使わせてくれっちゅ~問い合わせがいくつか来てるらしいわ」


「大きめの企業からも相談が来ていたわね。わりと良いお値段を提示されていたわね」


 シオとウタがにやりと笑う。

 目がお金のマークになっていますよ? 純粋に研究のためにAIを育てているんじゃなかったのかな? ボクの弟と妹たちをお金稼ぎに使わないでほしい……。


「観客を貸し出すって、なんか変な感じだよ。人間にはオンラインチケットを売って、AIには会場に座らせるの?」


 それって正しいのかな?

 ボクたちは犯罪がらみの問題でしかたなくオンライン配信を強いられているわけだけど、そうじゃないなら、ちゃんとファンの人たちと直に触れ合ってほしいものだよ。


「ちゃうねん。うちらは代々森っちゅ~リアルにでかい会場を押さえてるじゃんか。打診が来てる企業さんたちは、会場を押さえない形のライブで実現しようとしているらしいんやわ」


「というと?」


「たとえばやけど、バーチャル空間としての東京ドームを用意するやろ? で、実際は狭いレッスンスタジオでパフォーマンスをするんや。背景映像をバーチャルの東京ドームに差し替えて~」


 はいはい、なるほどね。

 AIの観客たちには体がないし、実際の東京ドームが必ずしも必要ではない。だから観客席がバーチャル空間だろうがリアル空間だろうが関係ないってわけかー。


「でもそれって何が目的なの? 見栄?」


「かえでくん、それはさすがに先方に失礼なのではないでしょうか」


 レイがため息をつく。

 えー、でもリアルの東京ドームで人が集められないから、AIキャラで観客席埋めます。しかも実際に東京ドームの会場も借りません。って見栄以外に何かある?


「まだアポイントに応じていないから確かなことはわからないのだけれど、見栄以外にも目的はあると思うわよ」


「せやな。パッと思いつくんは話題作りやな。あとはなんやろな……」


「私たちの技術力を探りに来ている可能性も考えられるわね」


「それは心配しすぎひんでも。AIキャラを派遣しただけで何か情報得られるとは思えへん」


「技術者ならそれくらいわかりそうなものだけれど、もしかしたら、私たちが想像できないような方法で何かの情報を得ようとしている可能性は否定できないわよ」


 ウタとシオの考察が続く。

 産業スパイ的なことを疑っている、というのだけはわかるけれど、それってもはやうちらの事務所の話じゃなくて、研究チーム側の範囲ですよね。


「そっちのチームはアポを受けるつもりなのね? こっちは警視庁やらマスコミやらの対応で手いっぱいだから、ヘルプは出せないわよ」


 都がうんざりといった具合にため息をついている。

 そっちのチームとは、シオとウタの所属する脳研究のチームのことで、こっちのチームとは都、サクにゃん、ナギチの所属する医療ロボットの研究チームのことだろう。


「AIの研究はデリケートやしな。何も売る気はないで。何を目的としているのか話を聞くだけや」


「それならいいのだけれど。くれぐれも気をつけて」


「りょ~かいやで」


 置いてけぼりのボクとレイ。

 みんな忙しそうだなあ。


 定期公演#2は3/16(土)。約1カ月だ。


 ハルルがメインMCだし、とりあえず陣中見舞いでもしようかな。


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