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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第五章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 ~ #1~#2編

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第30話 定期公演#1 その4~危険水域アルマンディンガーネット

「そろそろ私、次の曲の準備してくるわね。みなさん、またあとでお会いしましょう~」


 ハルルがカメラに向かって手を振ってから小走りに舞台から降りて、臨時控室に向かう。


「次は初披露のソロユニット曲、ハルちゃんとミャコちゃんの『危険水域アルマンディンガーネット』ですからね~」


「ソロユニット曲ですね!『危険水域アルマンディンガーネット』はどんな曲でしたっけ?」


 サクにゃんが話を広げていく。


「えっと~、とってもかっこいい曲ですけど~、歌詞が謎めいてますよね~」


「サビがとっても早口で、わたくしにはとても歌えそうにありませんわ……」


 舞台上の会話が続く。

 と、ハルルが臨時控室に戻ってきた。


「おかえりおかえりー。良いパフォーマンスだったよ!」


「ありがとう! 時間ないから急いで着替えちゃうね」


 ハルルがヘッドセットを外して、制服のボタンに手をかける。


「衣装はこちらです」


 すかさずレイが『危険水域アルマンディンガーネット』用のステージ衣装を取り出し、ハルルの目の前の衣装ハンガーへと移した。

 濃紺の軍服風の衣装に、真っ赤なバラをあしらったデザインだ。ビニールっぽい素材で光に当てると反射するのが特徴的。

 都はすでに衣装を着用済みで、マリンキャップの具合を鏡で確認していた。


「あの……」


 ハルルの着替えの手が止まり、なぜかこっちをじっと見てくる。


「どしたの? 早く着替えなよ。あと60秒で次の曲だよ」


「はずかしい……」


 えっ⁉ こんな時に何を言っているの⁉


「後ろ向いてて……」


 ええ……。この間の舞台挨拶の時は一緒に温泉入ったのに? ハルルはずっとタオルを巻いてたけどさ。


「かえでくん……めっ!」


 え、ボクが悪いの⁉

 わかりましたよ……。後ろ向きますけど、鏡がたくさんあるからあんまり意味がないかと……。


「目をつぶってて」


 はい。

 今さら何を……とは言っても、ボクも積極的に見られたいわけじゃないし、まあそういうものか……。


「はるさん、これで大丈夫なので急いで着替えましょう」


「レイちゃん、いつもありがとう」


 うーん、レイは良いのか。なんか釈然としない。



* * *


 シオからインカムで「GO」がかかり、今まさに着替えを終えたハルルと都がステージへと飛び出していく。

 2人ともファイト!



「おまたせ~! 準備できたわよ~」


「おまたせしました」


 2人のマイクがオンになり、しゃべりながら舞台へと上がっていく。


「あ~、ハルちゃんとミャコちゃんだ~! 衣装かわいい~!」


 メイメイが2人を笑顔で出迎えた。


「ありがとう! 次はソロユニット曲のコーナーよ。定期公演では私たちのソロユニット曲をちょっとずつ紹介していくので、みなさん楽しみにしてくださいね」


 ハルルの説明に対して、コメント欄の反応は――。


“ソロユニット曲?”

“ソロユニット曲だよ!”

“説明しよう。ソロユニット曲とは、アイドルとマネージャーのバディによるユニット曲のことなのだ”

“説明おじさん助かる”

“待ってました!”

“生で聞けるのたすかる”

“生じゃないんだが助かる”

“現場で聞きたかった……”

“マネージャーが歌うの?”

“おう、新人か?ここでは当たり前のことなんだぜ”

“ここではマネージャーが歌うのは常識だぜ?”


 それは常識じゃないが……。

 まあ、ウェルカムな雰囲気かな? 突然出てきた都のことも、古参の誰かがちゃんと説明してくれてる。排他的ではないこの雰囲気、ホントに良かったよ。


「私、新垣春と~」


「マネージャーの市川都(いちかわみやこ)がお届けします」


「「『危険水域アルマンディンガーネット』」」


 スポットライトが2人へと集中。

 他のメンバーは静かに舞台から捌けていく。



 ハルルの長ゼリフから始まるこの曲。

 セリフといっても意味のある文章ではない。あえていうなら呪文のようなもの?

 歌詞カードを眺めても、ホントに何も意味が理解できない。そんな謎の呪文で構成されている曲も、最後まで進めば何か謎が解けそうな雰囲気を醸し出しているが、結局何もわからないで終わる。

 そんな曲だ。


------------------------------

 朝起きると ボクは鳥と空を飛んでいた

 南の海は 今日も真っ赤な血で染まっている

 外を歩けば ミミズクの声が耳に残り

 屋敷の中を 浮かばれない魂たちが徘徊する

------------------------------


 ハルルも都もよくこんな難しい歌詞が頭に入るよ……。頭の良い2人にだからこの曲が任されているというのもあるのかな……。

 


「みなさん、おつかれさまです。さつきさん以外は一度休憩を取ってください」


 ボクが『危険水域アルマンディンガーネット』に想いを巡らせている間に、メイメイ、サクにゃん、ウーミー、ナギチの4人が臨時控室に戻ってきていた。

 今日一番、人口密度が高い。


「さつきさんはこちらの衣装に着替えてください」


 そう言って衣装ハンガーにかけられたのは、星屑の意匠を凝らしたロングドレス。このあとのMCコーナー『メイプルの冒険~出会い編~』でメイメイが演じるお城に住むお嬢様のイメージだ。

 ちなみにボクは、メイメイちゃんの歌声に惹かれて、お屋敷の敷地内に侵入した謎の人物、メープルちゃんの役で出演する。商人っぽいイメージなのでわりと地味目な衣装。上からフード付きのマントをすっぽりかぶって、下はぴっちりしたタイツって感じだ。もう着替えは終わって準備万端。


「さつきさん、着替え、お手伝いしますね」


 メイメイはさっきまでの制服を脱ぎ、すっかり下着姿になっている。レイの補助のもと、背中が開いたドレスに腕を通しているところだった。


 メイメイはきれいだ。

 着替えていても、着替え終わっても、何をしていても絵になる。


 さすがに今度は後ろ向いてて、とか言われないよね。まったく、ハルルもこんな仕事してるんだから、早着替えの時くらい見られるのはガマンしてほしいものだよ。


(かえでくん、めっ!)


 え、また⁉ 理不尽!


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